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2017年1月 5日 (木)

「山下白雨」はどこから描かれた富士山か?

 

今日は1月5日。

  

前投稿に引き続き、昨年4月16日に放映された

「美の巨人たち 葛飾北斎 『冨嶽三十六景 山下白雨』」より。

  

番組のタイトルにもなっていたので、「山下白雨」の方が

少々詳しく紹介されていました。

  

Rimg2190

太田記念美術館です。

浮世絵を紹介している美術館だそうです。

HPを見てみました。次のサイトに書いてあったことを引用します。

太田記念美術館HP 美術館概要

  

太田記念美術館は、かつて東邦生命相互保険会社の

社長を務めていた五代太田清藏(1893~1977)が

蒐集した浮世絵コレクションを、広く大勢の方々に

公開するために設立された美術館です。(中略)

五代太田清藏のコレクションは生前ほとんど公開されることは

ありませんでしたが、昭和52年(1977)、83歳で没した後、

遺族たちが広く我が国の美術振興の一助とすることを決意し、

美術館を開館します。

昭和52年(1977)11月、銀座の東邦生命旧本社ビルの7階で

約2年間の活動を続けた後、昭和55年(1980)1月13日、

現在と同じ、東京都渋谷区神宮前1丁目において、

美術館を正式にオープンいたしました。

  

この住所は、もしや。

Photo

↑Yahoo!地図より。

やはりそうです。夏休みに行った場所です。

知っていたら行くことができた場所です。

でも早朝だったからなあ。

  

この太田記念美術館に「山下白雨」は飾ってあります。

Rimg2189

「山下白雨」は「さんかはくう」と読みます。

「山下」は「やました」と読みたくなりますが、

そうではありませんでした。

「白雨」とは、夏の夕立のことだそうです。

ナレーターは次のように説明していました。聞き書きします。

 

もくもくとたちこめるのは、入道雲でしょうか。

一方で地上近くには、暗雲がたちこめています。

画面の半分をおおう黒の衝撃。

切り裂くように光る稲光の線です。

山の天気は変わりやすいものです。

激しい雨の音が聞こえてきませんか。

それでも森羅万象、いかなることにも動じない、

悠然と構えているのが、山肌が露わになった夏の富士です。

緩やかな稜線。その先にきりりと剣を突き刺す、山の頂。

黒富士の威厳。

  

このような説明でした。素晴らしい。

ナレーターはさらりと読んで消えてしまいますが、

この原稿もどなたかが頭をひねって書いたものですよね。

聞き書きすると、説明を考えた人のことを思います。

つい太字にしてしまいます。

  

そうか、この絵は「黒富士」なんだとも思いました。

「赤富士」に対して「黒富士」

「赤富士」の「静」に対して、「黒富士」の「動」なのだそうです。

  

さて「山下白雨」はどこから描いた富士なのでしょう。

前投稿で紹介した田代博さんの視点です↓

Rimg2200

Rimg2201

剣が峰が中央に見えることから、

白糸の滝付近を推理しました。

Rimg2202  

白糸の滝からの富士山の写真と「山下白雨」を並べました↓

Rimg2203

確かに頂上付近の形は一致します。

しかし、大きく違うところがありました。

「山下白雨」には、左手に向こう側にある山々が見えています↓

Rimg2204

しかし、白糸の滝からはその山々(御坂山地)は見えません。

Rimg2205  

田代さんは、コンピュータ上で操作をします。

Rimg2206 ↑地上から見た富士山

Rimg2207 ↑見ている場所を2500mまで上げます。

すると・・・

Rimg2209

御坂山地が見えてくるのです。

そして、「凱風快晴」と同じように、富士山を2倍の高さにして

「山下白雨」と重ねると、まあまあ一致します。 

Rimg2210

  

飛行機、気球すらなかった時代に、

高い場所で見た時のことを想像して描いたという推理でした。

そんなことまでしたのか、北斎。そんな気持ちです。

推理に耐えうる絵であったことがうれしいです。

そうなると他の「冨嶽三十六景」も「どこから見て描いた?」

の視点で見ていきたくなります。

まあ、どなたかが追究していると思いますが。 

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