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2020年3月

2020年3月22日 (日)

「週刊文春 3月26日号」③ 2年間は「自分らしく」/定年後の「まさか」

 

今日は令和2年3月22日。

  

前記事に引き続き、

週刊文春 2020年3月26日号」より。

  

ほぼ全部を読みましたので、印象に残った文章を引用します。

  

近藤サトさんの言葉。

岡崎の味噌蔵などを見学して、この発言。

  

「ゆっくり時間をかけて熟成させることで、あの豊かな味わいが生

まれるんですね。ビンテージワインにしても、エイジングビーフに

してもみんな大好きなのに、人間のエイジングだけがダメだなんて

おかしいですよね。エイジングって素晴らしい。経験が浅いと、つ

い他人のことが気になって、競いあってしまうけれど、経験を積む

ことで、自分らしく人生を楽しめるようになるんです。わたしがグ

レイヘアにしたのも、自分らしくありたいと思ったから。それも人

としての熟成だと思います」。 

(13p) 

  

「自分らしく」が私には響きました。

定年まであと2年の今、経験の質はさておき、

量は、1年先輩の人以外には負けていません。

自分らしくを貫きたいです。

つい先ほど、ハマコウさんへのコメント返信でも宣言しました。☟

ここでも道草 「数学教師 井本陽久」を見る/無責任ではない「ありのままでいい」(2020年3月19日投稿)

今やりたいことがあります。

私がたくさん所有している映像を、他の先生と一緒に見ること。

実はもう始めています。

またそのことは書きます。

   

   

「定年退職の手続き 完全ガイド」のコーナー。

退職金のこと、再就職のこと、失業保険のこと、

マネープランの立て方などが書いてありました。

その最後・・・・

  

ここまで、定年時に必須の主要な手続きをフォローしてきた。しか

し、人生は手続きだけでは済まない。ときに、「まさか」の事態が

起きうる。最後にそれに触れておきたい。

代表的な「まさか」が熟年離婚だ。特に夫が定年のタイミングで、

妻から切り出される”定年離婚”。これによってマネープランも大き

く変わってしまう。(中略)

予防策はあるのだろうか。

「リタイア後のサラリーマンは、どうしても家の中にいる時間が増

えます。食事や買い物、洗濯など妻に依存すると、夫の存在が重荷

になりがち。定年後の手続きに『離婚届の提出』が加わることがな

いよう、現役時代からの自立の心がけが大切になります」(スター

トライン行政書士事務所代表、横倉肇氏)

家事の分担、緊密なコミュニケーションーー。定年後の人生は長い。

仕事の問題のみならず、来し方をチェックしこれからを考えるきっ

かけにもしたい。

(47p)

   

  

今回、ほぼ9か月間の休職は、

定年後の生活の予行演習みたいでした。

きっと定年後は、こうやって2人で昼ご飯を食べるんだろうなあと。

経験上思うのは、「緊密なコミュニケーション」も大事だけど、

適当に間を空けることも大事だと思いました。

適度な距離感がいい。試行錯誤ですね。

血もつながっていないのに、偶然出会った人が、

長年寄り添ってくれていることを大事にしたいです。

 

  

「週刊文春 3月26日号」② 手記を受け取った記者

  

今日は令和2年3月22日。

  

前記事に引き続き

週刊文春 2020年3月26日号」より。

  

赤木俊夫さんの手記に関する記事を書いたのは、

大阪日日新聞記者の相澤冬樹さんです。

こんな記事がありました。

   

私(相澤)がこの「手記」を初めて手にしたのは、赤木さんが亡

くなって半年あまりがった11月17日のことだった。大阪・梅

田の喫茶店。そこで私は赤木俊夫さんの妻、晶子さん(仮名)と

初めてお会いした。NHKで森友事件を取材した私が、記者を外

されNHKを辞めたことをどこかの記事で知り、会いたいという

話だった。

(25p)

  

相澤さんにも、何か事情があるようです。

次のような文章もありました。

  

当時、私は『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が

辞めた理由」』という本を文藝春秋から出す直前で(後略)

25p)

  

この本に興味をもちました。

Amazonより、目次を転載します。

  

第1章 森友報道は「忖度」で始まった

第2章 一転して大報道合戦~小学校認可の行方~

第3章 クロ現製作ですったもんだ~けんかの末に仲間に~

第4章 注目を集めた籠池理事長夫妻の人物像

第5章 国有地問題から補助金詐欺へ~焦点を移す検察の捜査~

第6章 背任の実態に迫る特ダネに報道局長激怒

第7章 籠池前理事長逮捕の舞台裏

第8章 取材体制変更で担当を外された私

第9章 森友事件追及弁護団(仮称・阪口弁護団)の活躍

第10章 近畿財務局職員の自殺が残した謎

第11章「口裏合わせ」の特ダネに圧力再び~プロの記者はこうして取材する~

第12章 強者記者列伝~5本の指に入る記者+と、もう一人の優れもの記者~

第13章 個性豊かな検事たちとの愉快なやり取り

第14章 急転直下の検察捜査、財務省は全員不起訴 ~そして私は記者を外された~

終章 NHKから大阪日日新聞へ~森友事件の取材は続く~

  

  

NHKの番組を授業で使っているし、教材研究でも使っている身としては、

気になる内容です。

また読みたくなった本です。

さっそく図書館に予約です。

2020年3月21日 (土)

「週刊文春 3月26日号」① 赤木俊夫さんの手記

今日は令和2年3月21日。

  

今日(3月21日)の朝日新聞朝刊「天声人語」です。

  

紙つぶてという言葉がある。紙に書かれた文字がつぶてとなり、と

きに権力者たちの急所を突く。1970年、軍事政権下の韓国で、

金芝河(キムジハ)さんが発表した風刺詩「五賊」がまさにそうだ

った。▼財閥や国会議員などを5人の悪党になぞらえ、攻撃した。

高級公務員に対しては「できることでも絶対やらず、できないこと

でもすんなりと、机の上は書類の束、机の下には紙幣(さつ)の束」

(渋谷仙太郎訳)などと書いた。詩人は逮捕された▼こちらも、鋭

く重い紙つぶてが投げられた話である。森友文書の改ざんに加担さ

せられ、死を選んだ近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの手記が明ら

かになった。生の最後の場面で書いたと思われる記述は、迫真であ

る▼改ざんの指示が財務省の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)

から来たこと。彼の部下たちが修正箇所をどんどん拡大し、現場の

近畿財務局に押しつけたこと。その指示に、あっけらかんと従う者

すら一部にいたこと・・・▼手記が示したのは、不正な行為、違法

な作業が止まることなく進む巨大組織の姿である。赤木さんの妻は、

国や佐川氏を相手に訴訟を起こした。手記を前にしても再調査すら

しようとしない財務省とは、組織を守るだけの存在なのか▼冒頭の

詩には高級公務員のこんな生態も描かれ、どきりとする。「目上の

者には愛玩犬、目下の者には狩猟犬」。上には従う愛玩犬の群れが

思い浮かぶ。そして最終的にしっぽを振った相手、すなわち安倍首

相にも、つぶては投げられている。

  

   

赤木俊夫さんの手記発表のニュースに関心を持ちました。

「桜を見る会」もおかしいと思い、ブログにも書きましたが、

今回の件もおかしいです。

おかしいことが、こんなにも明らかになっているのに、

うやむやになっていくことが信じられない気持ちです。

  

赤木俊夫さんの手記が掲載された

週刊文春 2020年3月26日号」を

購入して読みました。

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赤木さんが自殺に追い込まれるまでの葛藤がわかりました。

うつ病と診断され、休職。

減った給料。

奥さんに申し訳なく思うところ、共感できます。

   

赤木さんのような真面目な人が死を選ばなくてはならない

世の中はおかしいです。

真面目が馬鹿を見ない世の中であるべきです。

教師をやっていたら、その思いは強いです。

 

「近松よろず始末処」② 難読漢字6

  

今日は令和2年3月21日。

  

前記事に引き続き、

「近松よろず始末処」(築山桂著/ポプラ社)

より。

  

 

見慣れない漢字がいくつも登場しました。

舞台が江戸時代のためでしょう。

  

破落戸

 

読みは「ごろつき」でした。

「ならずもの」とも読めるそうですが、

この本では「ごろつき」とふり仮名がふられていました。

何度も出てきましたが、最初に登場した時だけふり仮名あり。

そこを見逃していて、何と読むのだろうと思って調べました。

ちなみに初登場は次の文でした。

 

そのままのたれ死にしていれば、よくある哀れな破落戸の一生だ

った。

(8p)

  

   

 

訝る

  

そんなことを訝る暇もなかった。

(214p)

読みは「いぶか・る」

意味は「疑わしく思う」引用:コトバンク

この字、次のようにも使われていました。

  

一瞬、怪訝そうな顏をした番頭は・・・

(59P)

  

「怪訝」は「けげん」

これもあまり使わなくなった言い回しです。

  

   

  

諍い

  

近松とは諍いを起こしたくない。

(249P)

  

読みは「いさか・い」です。

意味を見ると、「言い争い。言い合い。また、けんか。」引用:コトバンク

ごんべんが付いているだけに、言い争いですね。

 

 

怯む

  

虎彦は思わず怯んだが・・・

(263P)

  

読みは「ひる・む」

意味は「おじけづいてしりごみする。気後れする。」

引用:コトバンク

  

  

嬲る

     

遊ぶ半分で嬲られ・・・

(258P)

 

この字は、初登場でもふり仮名が付いていなくて困りました。

読みは「なぶ・る」でした。

意味は「弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、

もてあそんだりする。/からかってばかにする。愚弄する。」

引用:コトバンク

  

  

 

躱す

  

とっさに身を躱す。

(287P)

  

これも読めませんでした。

調べたら、読みは「かわ・す」

意味は「ぶつからないように身を翻して避ける。」引用:コトバンク

  

  

漢字の勉強にもなった本でした。

2020年3月20日 (金)

「近松よろず始末処」① 「好色一代男」の主人公の名前

今日は令和2年3月20日。

  

勤務している中学校の図書館で借りた本。

2冊目の読破。  

中野信子さんの説に乗って、

あまり手にしなさそうな装丁の本を選びましたが、

どうでしょう?

スラスラ読んでしまいました。

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「近松よろず始末処」(築山桂著/ポプラ社)

  

江戸時代を舞台にした本でした。

実在した近松門左衛門も出てくるので、

授業で江戸時代を教えたら、

「学校の図書館に面白い本があるよ」と

薦めることができます。

 

  

引用します。

  

近松門左衛門が、井原西鶴の『好色一代男』について、

主人公の虎彦に語るシーン。

    

「確かに色事の話ではあるが、そればかりではない。世之介という

一人の男の生き方を、男女の営みを通して描いたものだ。20年も

前の作品だが、今も色あせておらん。・・・・まあ、女子供の読む

ものではなかろうが」

(179~180p)

  

ここで注目は、『好色一代男』の主人公の名前です。

「世之介」だったのですね。

初めて知りました。

思い出すのが、映画「横道世之介」(2013年)

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2年ほど前にテレビ放映されたのを録画しましたが、

まだ見ていない映画です。

主人公の名前は世之介。

長崎から上京した青年、世之介がいろいろな人と出会う

1年間を描いたものだそうです。

この世之介という名前は、『好色一代男』の主人公名が

元である可能性が高いです。

Wikipedia 横道世之介には次のように書いてありました。

  

作者(原作者:吉田修一)によると、主人公名を作品タイトルに

する方針に沿い、まず世之介の名前が決定。「名字は韻を踏んだ

ほうがいい。」という助言を踏まえ、作者の郷里でもある長崎で

横着者を指す「横道もの」という言葉および、横道に逸れるとい

ったニュアンスを意識し、決まったとのこと

  

残念、世之介については触れていませんでした。

これを機会に録画してある映画を見たくなりましたが、

原作本「横道世之介」も読みたくなりました。

「続横道世之介」も興味津々の内容。

2019年2月発刊。

amazonの「内容紹介」です。☟

   

バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつ

なぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期

にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目

指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。

そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京

で、小さな奇跡が生まれる。 

  

実際の東京オリンピック、どうなるんだろう。

  

  

  

「近松よろず始末処」のこと、次の記事でも書きます。

2020年3月19日 (木)

「数学教師 井本陽久」を見る/無責任ではない「ありのままでいい」

今日は令和2年3月19日。

  

また勉強になる番組を見ました。

勉強になり、再確認することができた番組でした。

  

本年1月7日放映の「プロフェッショナル 仕事の流儀

数学教師 井本陽久(はるひさ)」です。

見ただけではもったいないと思った言葉を聞き書きしました。

ここに書き留めます。

   

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井本:自分がとにかく授業で一番大切にしていることは、

  できるできないじゃなくて、

  理解する理解していないじゃなくて、

  今考えているかどうか、

  ということだけを見ているので、

  そうすると授業って変わりますよね。

  少なくともずっと黒板で正解をずっと書く授業って

  何にも考えてないわけだから。

  

  

授業中に生徒が考えている状況をつくるために工夫する。

自分の考えをもつように仕向けていくこと。

今までも気をつけてきましたが、井本先生のように、

時間をたっぷり使う考える時間も生み出したいですね。

授業が終わっても考えているような・・・

社会科ならどのような問いだろうか。

       

   

井本:正解か不正解か。

  そこで評価するのはあんまり意味が無いというふうに思いますね。

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  学校でつける評価っていうのは、

  求めた答えを出せるかどうかってことなので、

  それを正確に再現する力はつくかもしれないけど

  別の壁がポンと立ちはだかったときに、

  自分でどうにかするってことはできないですよね。

  なぜかって。試行錯誤を知らないから。

   

「施行錯誤」もキーワードだと思います。

そこにはうまくいかない失敗もあるわけです。

失敗をしても、あきらめずに成功に向けて行動することは、

社会人にも大切な力です。

   

 

井本:(相手に)用があって、何かするって、

  ちょっと(関係が)遠いじゃないですか。

  でも用もないのに、訳の分からないことをするっていうのが、

  純粋にその子に興味をもっているっていうことですよね。

  たぶん興味を持っているよっていうのを、

  つまり好き好きっていうのをペタペタって貼りたいっていうのが

  たぶん僕の根底にあるんだと思いますね。

  不思議なのは、好き好きってペタペタ貼っていると、

  もっと好きになるんです。

  やってみるといいです。

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井本先生、通りすがりの生徒に盛んに触れています。

小突いています。

  

私にとって「くすぐり(擽り)」は、子どもたちに関心があるぞ、

好きだよという表現だと思います。

勤務校は、ボディータッチ禁止のルールがありますが、

私の大事な指導方法なので、学級ではやっています。

※参考:ここでも道草 この1年間のキーワードは「くすぐり」(2018年3月23日投稿)

   

   

井本:学校とか世間っていう評価軸とか取っ払っちゃえば、

  (子どもの)魅力はたくさんあるんですよね。

  特に自信のない子ほど周りの評価軸を気にするじゃないですか。

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  だから子どもにとっての大人の意味って、

  (子どもが)何かやっていて、ふっと大人の顔を見た時に、

  ほほ笑んでもらえることだと思います。

  子どもがふっと見たときにほほ笑み返せる、返すこと。

  あの瞬間って、めっちゃ大きいですよ。

  

 

具体的に大人の態度を示してくれました。

賛成です。

子どもにとって、大人がにこにこして見守ってくれているのは、

安心感が得られてプラスなのでしょう。

微笑みを返すことぐらいしないとね、大人は、教師は。

    

  

ナレーター:こうあるべきという社会が決めた評価や価値観。

  それにとらわれず、今、目の前にいる子だけを見つめると

  井本は決めている。

井本:今のこの子がここにいるのにね、

  この子のままでダメなはずがない。    

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井本:こういう力が必要だ、ていうことを目的に置いて、

  教育をするのが教育だとすれば、

  子どもは見えなくなるんですよ。

  だって見ているのは”こうなってほしい(目標)”というところだから、

  それ(目標)を見て、その子を見たなら、

  これが足りているか足りていないかという視点でしか、

  (子どもを)見れないんですよね。

  その子自身が見えない。

   

なるほどと思います。

目標に重点が置かれると、その子の足りないところに目が行き、

その部分を教育することが目的になってしまいます。

この番組で知った新しい視点です。

さらに次のような視点を示してくれました。

   

井本:たとえば将来、未来の「社会」っていうのは、

  「社会」が先にあるんじゃなくて、

  彼ら自身が(将来)暮らしているのが「社会」。

  「社会」がこうだから、彼らを(教育しようというのは)、

  めっちゃあべこべですよね。

  息苦しくないですか。

  それって変ですよね。

  だから「社会」なんて見なくていいと思います。

  「社会」は彼らがつくるものであって、

  こちらが(教師が)先に規定するもんじゃない。

  そんな感じがするんですね。

   

井本先生は、手振り身振りで話をしたものなので、

この文面を読んだだけでは意味が通じないかもしれません。

簡単に言えば、「社会に出たら挨拶が必要。しっかり挨拶をしよう」

「社会に出たら我慢が大事。姿勢よく人の話を聞こう」

「社会」はこうだから、こうしようというのはおかしい。

将来の「社会」を作るのは、

その時代に暮らす子どもたちであるという考え方。

この考え方は、数か月前に、尾木直樹先生、西郷孝彦先生が、

テレビ番組で話していました。

私にとっては新鮮な発想でした。

  

  

井本先生は、養護施設にもかかわっています。

22年間、月に2回、養護施設に通い、

夕食後、勉強を見ているそうです。

どういうきっかけがあったかは知りませんが、

子どもを教えることが好きなんだと思います。

井本先生はこう言っています。

 

井本:大人を独占するって経験がたぶん少ないじゃないですか。

  お互いに大事にされて、うれしいって感じじゃないですか。

  僕も結局そうなんで。

  

私も養護施設の子どもとかかわります。

お互いに大事にしあえる関係を作りたいです。

  

ナレーター:井本さんは、いつもありのままでいいと口にする。

  それは後悔の中で、子ども達から教えてもらった信念。

 

井本さんの担任している子で、自殺したいという子がいました。

話を聞くと、優しく優等生の子ども。

その状態をキープするために、他人を気にして、

評価を気にして、疲れてしまったようです。

この体験を経たことで・・・・

  

ナレーター:井本さんは世間の評価や価値観が、

  いかに子どもたちを追い込むかを痛感した。

  しかし、痛恨の出来事があった。

  

その出来事とは。

問題のある子どもを自分の学級で引き受けた井本さん。

その子がかわいい子であるとは思いつつも、

担任としての責任感で、無事卒業させたいという思いで、

「勉強をしろ」「素行を直せ」を言い続けてしまいました。

1年後、その子は学校を去りました。

  

井本:教師としての責任感みたいなものが、

  入っちゃうとだめなんですよ。

  見えなくなるんですね。

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ナレーター:あれほど憎んでいた、子どもたちを縛る評価や価値観。

  それにとらわれ、押しつけてしまった自分。

  井本さんは大好きだった学校に通うことができなくなった。

井本:朝起きて、熱を測ると熱があるんですよ。

  学校に電話して、きょうはすみません、休みますって言って、

  電話切って、しばらくすると熱が下がるんですよ。

  ”不登校”ってこれだなと思って。

    

井本先生は不登校になってしまったのです。

それほどの体験だったわけです。

立ち直った井本先生は次のように考えます。

   

井本:自分がもっている価値観っていうんですかね。

 そういうどうしようもない価値観っていうものを

 捨ててみたいな、こうじゃなきゃいけないみたいなものを

 どんどん子どもを通して捨てさせてもらったので。

 本当に子どもたちを通してですよね。僕は完全に。 

                               Rimg2140

ナレーター:いつしか心から思えるようになった。

  そのままでいい。

  そのままがいい。

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ナレーター:ありのままでいいというのは、きれいごとで、

  無責任のように思える。

  でも井本さんの言葉はそう聞こえない。

  それは今も自分の中で闘っていて、ありったけの勇気を込めて

  伝える言葉だから。

  

「ありのままでいい」に説得力があるんだろうなあ。

私も目指したい。

それは自分自身にも言えることだと思います。

他人に言うように、自分自身にも「ありのままでいい」と言いたい。

ありのままじゃいけないと思って無理する自分は、

もう見たくないです。

  

井本先生の発言。

 

ナレーター:自分の中から追いやったはずの、

  できるできないという評価や価値観。

  今でもとらわれそうになることがある。

井本:彼ら(こどもたち)を信じるっていうこと、

  信じる?重いなあ。

  信じるじゃなくて、

  いや、もうダメな子なんかいないですよ。

  そういう感じですかね。

  ダメな子なんかいない。

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井本先生は、「プロフェッショナル」とは?と聞かれて、

次のように答えています。

  

井本:今の君も、これまでの君の人生も

  ぜんぶOK、大丈夫。

  心から思ってあげられること。

  愛ですね。

  

  

子どもたちを肯定して、期待している先生だと思いました。

この先生の教育は、異端ではなく、

もうこのような流れになってきていると感じます。

私もこの流れに飛び込んでいきたい。

2020年3月18日 (水)

「自分のしたいことをする心地よさ」を味わいたい

 

今日は令和2年3月18日。

   

復職プロフラム3週目。

第1週が2時間勤務。

第2週が4時間勤務。

そして今週から8時間勤務。

主治医の先生からは、ペースが速くないかと言われましたが、

生徒もいないので、楽な気持ちで過ごしていると思います。

徐々に慣らしています。

「皆さんは働いているのに、私は働いていない」という

負い目がなかったと言えば嘘になります。

8時間働くことで、少し負い目は減りつつあります。

今週の2日間の仕事は、教材研究が中心でした。

教師にとって大事なのは教材研究ですよと

自分に言い聞かせてやっています。

同僚の先生は、家庭訪問をして通知表を渡したり、

指導要録などの文書を作成したりしています。

   

3月17日朝日新聞朝刊の「声」の欄より。

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人の目を気にしていた中村さんが、人の目を気にせず、

「自分のしたいことをする心地よさ」を感じています。

この部分に共感します。

復職してみて、現場に座ってみて、

なぜ自分はこの場におれなくて、

つぶれてしまったのかを否応なく考えさせられます。

やらなければならないことが公私とも多かったです。

時間と気持ちの余裕がなかったと思います。

でもそれ以上に、自分がやりたいと思っていたことが、

スムーズにできなかったことが大きかったと思います。

びくびくしていました。

そこが精神が疲弊した理由だと思います。

  

この中村さんの「声」はいいです。

勇気を出して、やりたいことをやった心地よさがあれば、

時間的に忙しくても踏ん張れると思います。

17歳の「声」に励まされました。

   

残り2年の教員人生。

もうつぶれたくありません。

   

2020年3月17日 (火)

「星ちりばめたる旗」④ 442連隊の勉強につながった

  

今日は令和2年3月17日。

  

前記事に引き続き、

星ちりばめたる旗」(小手鞠るい著/ポプラ社)

より引用します。

  

  

まわりを有刺鉄線の柵で囲まれ、監視塔からは、戦闘装備に身を固

め、自動小銃を手にした兵士が24時間、人々に銃口を向けている。

どこからどう見ても、ここは明らかに強制収容所であり、無実の日

系人を犯罪者に仕立て上げ、社会から隔離している「監獄」---

ケンはそう名づけているーーーに違いない。仲間たちのなかには「

日系人専用の刑務所」と呼んでいる人もいるし、「人種差別刑務所」

と呼んでいる人もいる。

去年の7月、バスを降りて、初めてこの地を踏んだときの絶望感を、

ケンは思い出す。「湖ないね」と言った、末っ子のハンナの不思議

そうな表情が浮かんでくる。

トゥーリレイク。その名の通り、この土地にはもともと巨大な湖が

あった。水辺には、ネイティブアメリカンが生活用具に加工して使

っていた「トゥーリ」という名の葦が生い茂り、あたりには、さま

ざまな水鳥の棲息する沼地や、野生動物の暮らす豊かな森が広がっ

ていたという。かれこれ20年ほど前に、政府はこの湖を買い上げ

て、水を抜いてしまった。ニューディール事業の一環として、ここ

に3500エーカーの農地を開発しようとしたらしい。しかし、な

んらかの事情が発生し、放置された。水を抜かれ、荒れ果てたまま

捨て置かれた土地に築かれたのが、トゥーリレイク収容所だった。

隣の部屋で暮らしている男からそのような話を聞かされたとき、あ

まりの皮肉に、ケンは顔を歪めて笑い出してしまった。

「国から放棄された土地に、国から見捨てられた日系人を集めたっ

てことか。僕らの家や財産を抜き取って」

冬の厳しさは想像を絶するものだが、夏の猛暑もまた、限界を超え

ていた。

猛暑を和らげるはすの風でさえも、牙を剥いて襲いかかってきた。

あたりの砂塵を巻き上げながら、バラックとバラックのあいだを吹

き抜けていく強風は、さながら砂嵐のようだった。薄い壁の節や割

れ目を通して、砂塵は容赦なく部屋のなかまで吹き込んでくる。何

度シャワーを浴びても、体じゅうがざらざらする。細かい砂の粒子

が目に入ってくるため、眼球は充血して真っ赤になった。突風が吹

いているとき外に出ると、無数の砂粒が皮膚に当たって、針で刺さ

れているように痛かった。

(274p)

  

たくさん引用しましたが、

この本で描かれている在米日系人の収容所は、

ここまでひどかったのかと思えるものでした。

戦争が起これば、世界各地でひどいことは起こっていたのです。

  

  

17歳以上の二世男子のためには、特別な登録所が設置された。そ

こには、陸軍から派遣された下級将校と思しき徴兵面接官が詰めて

いた。

この特別な登録所で、ケンはきょうの午後、登録を済ませた。

登録のために用意された質問は28個。収容所内で物議を醸してい

たのは、最後のふたつ、第27番と第28番である。

「あなたは、アメリカ合衆国軍隊に入隊し、命令に従ってどこへで

も行く意志がありますか?」

ケンは、面接官の目をまっすぐに見つめて「イエス」と答えた。

「けっこうだ」

「あなたは、アメリカ合衆国に忠誠を誓い、日本の天皇、他の外国

や政府の勢力や組織のための、いかなる形の忠誠も服従も拒否し、

合衆国のために、内外の敵からの攻撃に対して、勇敢に戦う意志が

ありますか?」

視線を逸らさずケンは「イエス」と答えた。

「非常にけっこうだ」

ふたつの質問に「イエス、イエス」と答えた二世男子には、収容所

を出て、しかるべき場所でしかるべき訓練を受けたあと、日系人だ

けで構成されている陸軍戦闘団に入り、戦場へと向かう道が用意さ

れていた。

アメリカ合衆国への忠誠の道。

それは、死と隣り合わせになった道でもある。「おまえらは敵性外

国人だ」と一方的に決めつけ、収容所へ放り込んでおいて、今度は

「アメリカのために戦え」か。多くの二世男子と同様、憤懣やるか

たない気持ちを抱きながらも、ケンはこの道を選んだ。「日系アメ

リカ人は、日本との戦いには参加しない。敵味方の区別がつかなく

なるから。きみたちに赴いてもらいたいのは、ヨーロッパ戦線だ。

きみたちの倒すべき敵はナチスドイツだ」という陸軍側の説明を信

じて。

(277~278p)

  

ケンは陸軍第422連隊戦闘団に入ります。

またまた昔の勉強とつながります。

ここでも道草 「驚きももの木20世紀」その3/442連隊の精神(2018年2月4日投稿)

「星ちりばめたる旗」を読む③ 4選されたフランクリン・ルーズベルト

  

今日は令和2年3月17日。

  

前記時に引き続き、

「星ちりばめたる旗」(小手鞠るい著/ポプラ社)

より引用します。

  

 

アメリカへの帰国を3日後に控えたその日、幹三郎と佳乃は夫婦水入

らずで、備中松山城を訪れた。備中高梁駅の北にそびえる臥牛山(が

ぎゅうざん)の南の峰、小松山の山頂に築かれた、日本一の高度を誇

る山城である。

(152p)

  

今まで2回、このお城について書きました。

前回はここ。☟

ここでも道草 備中松山城で殺人事件の死体発見(2019年2月19日投稿)

その都度復習して、知識を固めていきたいです。

  

 

原子爆弾は、ニューメキシコ州にあるロスアラモス国立研究所で設計、

製造され、1945年7月16日、ニューメキシコ州ソコロの南東に

位置する巨大軍事施設、ホワイトサイズ・ミサイル実験場ーー当時の

名称は「ホワイトサイズ性能試験場」--で実験された。これが、人

類の歴史が始まって以来、初の核実験、コードネーム「トリニティ」

である。この実験は成功し、原子爆弾はそれから1か月足らずののち

に広島と長崎に投下され、何十万人という民間人の命を一瞬に奪うこ

とになる。

(188~189p)

  

「ホワイトサイズ」という地名はあまり聞いたことがありません。

調べました。

Wikipedia ホワイトサイズ・ミサイル実験場

HIS ホワイトサイズ国定公園

 

HISのサイトには次のように書いてあります。

写真も転載。

Img_carousel_taiken01

アメリカのニューメキシコ州の荒野に忽然と現れる純白の砂漠、それ

がホワイトサイズ国定公園です。

(中略)

広大な砂漠はアメリカ軍のミサイル実験場になっており、国定公園と

して指定されているのはこの実験場の敷地内。

 

実験場>国定公園なんですね。

また後日調べてみたいです。

  

 

アメリカ大統領は、中国びいき、日本嫌いで知られるフランクリン・

ルーズベルト。大統領の任期は最長二期、合計八年という不文律を破

って、彼は来年の初頭から、三期目の任務に就くことがほぼ確実視さ

れている。つまり昨今の日本とアメリカは、いつ戦争が始まってもお

かしくない、一触即発の状態にあると言っていい。

(197p)

   

フランクリン・ルーズベルトは、

1933年3月4日から大統領となります。

そして1940年に3選され、

1944年に4選もされた大統領でした。

戦時・有事を理由に大統領選に出馬して選ばれたようです。

※参考:Wikipedia

  

これまでの長きにわたって、執拗に、病的なまでの排日運動を推し進め

てきた各種団体、マスコミにとって、真珠湾攻撃ほど、運動の正当性を

示してくれた出来事はなかった。反日思想、人種差別主義を標榜する新

聞は、こぞって書き立てた。

<われわれは国内に卑劣な敵国民を住まわせている>

<毒蛇はどこで孵化しても、毒蛇である>

卑劣な敵国民とは、幹三郎と佳乃のような、アメリカ国籍を持たない日

系一世をさしていた。そもそも国籍を与えようとしなかったのはアメリ

カだったということを、人々は忘れてしまっていた。三国同盟国のうち

二国、ドイツとイタリアからの移民には与えられていた国籍が、日本人

だけには与えられていなかったという事実を。

毒蛇とは、アメリカで生まれ、アメリカ国籍を有する日系二世を指して

いた。真珠湾攻撃に半ば便乗するような格好で、この際、一世だけでな

くて二世をも排除してしまおうとする機運が高まっていたのである。

(217~218p)

  

毒蛇はどこで孵化しても、毒蛇である」は

非常にきつい文章です。

実際にあったことなのでしょう。

知らないことを知ることができました。

「星ちりばめたる旗」を読む② 「せつない」という日本語

 

今日は令和2年3月17日。

  

前記事に引き続き、

「星ちりばめたる旗」(小手鞠るい著/ポプラ社)

より引用します。

   

  

当時、私の気に入っていた言葉のひとつに「せつない」という日本

語があった。「アイム・サッド」でも「アイ・ミス・ユー」でも「

アイ・フィール・ブルー」でもない、曰く言い難い微妙な感情が「

せつない」という言葉で言い切れてしまう。好き、でもなく、愛し

ている、でもなく、でも恋しくてたまらない、というような気持ち。

彼に会って、楽しい時間を過ごしたあと、彼と別れるときにはいつ

も「私はせつない」と、日本語で思っていた。

(81p)

 

これも日系アメリカ人3世の思いです。

   

日系アメリカ人1世の大原幹三郎は、

マスクメロンづくりに挑戦していました。

  

サンダーストームに備えて材木で補強しておいた入り口の戸をあけ

て、幹三郎はハウス内に足を踏み入れた。その瞬間、もわっとした

南国の空気に包まれる。常夏の空気を胸いっぱい吸い込むと、微か

ではあるけれど、微妙に鋭い、神秘的な香りに鼻腔をくすぐられる。

「はぁ、ええ匂いじゃ」

思わず知らず、ひとりごとがこぼれ落ちる。

この匂いをいったい、何にたとえたらいいのか。いつ嗅いでも、幹

三郎にはわからない。書物を読んで知識を得た佳乃の話によれば「

マスクメロンの『マスク』には、麝香(じゃこう)という意味があ

るそうです」ということらしいが、そもそも麝香とは、どんな香り

なのか。

「それは、おまえらの、この香(かぐわ)しい匂いなんよなぁ」

天国の香りかもしれない、などと思いながら、幹三郎は腰を曲げ、

手塩にかけて育て上げた苗木たちに話しかける。

(93~94p)

   

この文章も、以前の知識と結びつきました。

私も麝香の香りがわかっていません。

参考:ここでも道草 日めくりより/「マスクメロン」の「マスク」の由来(2019年6月19日投稿)

      

    

玄関から前庭に張り出しているポーチで、大原佳乃は、お気に入り

の揺り椅子に腰を沈めて、お気に入りの江戸川乱歩を読んでいる。

好きな作家は、ほかにもいる。内田百閒、長谷川如是閑(にょぜか

ん)、谷崎潤一郎、稲垣足穂(たるほ)、佐藤春夫・・・・ほかに

もまだまだ。育児、家事、畑仕事の手伝い、近所づきあい。体がい

くつあっても、時間がどれだけあっても足りないと思えるほど忙し

い日常のなかで、わずかな暇を見つけては、佳乃は活字の世界ーー

海かもしれないーーに身を浸す。作家の言葉によって創られた、こ

の世に存在しない人間の、実際には存在しない人生の物語を読むこ

とによって、なぜ、こんなにも心が豊かになり、現実の人生まで生

き生きとするのか。佳乃には不思議でならない。

(104p)

   

昨日、中学校の図書館に入り、この本を開いたおかげで、

今朝まで私の頭の中は、20世紀初頭から太平洋戦争中の

在米日系人の生活に染まっていました。

  

  

裸一貫、ふんどし一丁でアメリカに渡ったのは1904年の春。弱

冠17歳だった日本男子が、苦行にも似た船旅の果てに、栄養不足

のために霞んだ視界にアメリカ大陸をとらえてから26年が過ぎ、

いわゆる棄民ーー国内におけ人口膨張を緩和するために、当時の日

本政府は主に地方の農村の男子を対象として、アメリカへの移民を

奨励していたーーに過ぎなかった男が、アメリカで成功した移民一

世となって家族を引き連れ、故国にもどってきたのである。これが

凱旋でなくてなんだろう。

(140~141p)

  

明治時代以降の日本の人口急増のため、

諸外国への移民が奨励されたようです。

今の日本にはない状態です。

  

  

つづく

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いま ここ 浜松

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