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2023年1月

2023年1月 5日 (木)

縁があった本やマンガのみ見てやろう

   

今日は令和5年1月5日。

  

世の中に出回る本やマンガを、

あまねく見ることは無理なこと。

縁があった本やマンガは見てやろうというスタンスで、

今年もいこうと思います。

「縁」なのかどうかの判定は自己流です。

  

今年になって縁があったマンガは「チェンソーマン」

 

そのいきさつは・・・・

平成2~3年度に頻繁に見た

フィッシャーズの動画をたまには見ようと、

今年最初の動画を見ました。


YouTube: フィッシャーズが「KICKBACK」を努力して歌ったら大爆笑して泣いた【THE FIRST TAKE】

米津玄師さんの「KICKBACK」という曲を

一生懸命に歌っていました。

メンバーがほとんど歌詞を覚えていて歌っているのを見て、

若者の間では、この曲が流行っているのかなと思いました。

フィッシャーズは、米津玄師さんのPVを参考にしたと言ってたので、

その動画を見ました。


YouTube: 米津玄師 Kenshi Yonezu - KICKBACK

元歌も激しい曲でした。

映像はよく意味がわからないものでした。

フィッシャーズがやっていたように、

ダンベルを上げたり下げたりしていました。

そしてこの曲が

アニメ「チェンソーマン」の主題歌とのこと。

その動画も見ました。


YouTube: 『チェンソーマン』ノンクレジットオープニング / CHAINSAW MAN Opening│米津玄師 「KICK BACK」

どんなマンガなのだろう。

登場人物の歯が、ギザギザなのが気になりました。

  

縁があったので、今年読んでみようかな。

続「週刊新潮」1月5日・12日新年特大号/憲法改正の理由 財務省の埋蔵金

   

今日は令和5年1月5日。

  

前記事に引き続き、

「週刊新潮」1月5日・12日新年特大号より。

  

印象に残った記事は櫻井よしこさんの記事です。

  

中国の習近平氏の動きについて。

2022年の10月に事実上の終身皇帝の地位を固めた習近平氏。

その後、世界各国の首脳と出会った。

一連の首脳会談はさながら盟主習氏が各国の朝貢を

受けるかのような設定で行われたそうです。

習氏が満面の笑みを浮かべて待つ会見場に、

各国首脳が喜びの表情で入り、習氏に歩み寄り握手をする形式。

大昔の中国を思い出します。

  

その中国が気に入らなかったのが、

岸田政権が昨年12月16日に発表した安全保障に関する3文書。

櫻井さんは次のように書いている。

  

戦略3文書は、まだ不足の面や制度的な欠陥が目立つとはいえ、本

質において安倍晋三元総理が唱えた「日本を取り戻す!」という精

神を表したものだ。国際情勢の厳しい現実から目を逸らして、国際

社会を善意と友情の殿堂であるかのように見做してきた戦後日本の

在り方を、本質的に変える画期的文書だ。

憲法前文に示された「平和を愛する国際社会」は存在しないと事実

上、明記し、日本国は現実を見ることを重視すると宣言した。軍事

力強化に向けての諸施策は、日本国は戦力を持たないとし交戦権を

否定した9条2項と真っ向から対立する。

(176p)

  

櫻井さんは、軍事力を大幅に増やす戦略3文書に

賛成の立場だと知りました。「画期的」と表現しています。

防衛費対GDP比2%。これにも賛成だ。

軍事費を増やすことは、良くないことだと先入観で思っている

私にとって、桜井さんの意見は強烈に映ります。

   

米中露のせめぎ合いの中で、日本が担う役割は私たちが考えるよりは

るかに大きく重い。日本が米国の側に立ち、或いは欧州諸国との協調

を深め、自由主義社会に対する専制独裁の中露の挑戦を抑止するのは

当然の責務だ。

だが、米国と協調する、或いは欧州と力を合わせるにも、私たちは世

界の国々と較べて歪な日本国の構造を修正できずに今日に至っている。

憲法のことだ。自衛隊の手足を縛り、自衛隊の通常の軍隊ではない枠

内にとどまる憲法ゆえに、わが国は国防についてはさまざまな面で周

回遅れの状況にある。

(177p)

  

櫻井さんは憲法改正を訴えている。

そしてウクライナ侵攻をたとえにして次のように書いています。

  

ウクライナ国民はプーチン氏の侵略に必死で抗っている。戦況がさら

にロシア不利に傾けばプーチン氏は核使用に踏み切りかねない。それ

でも ウクライナ人は戦っている。

中国はロシアよりも賢く、習氏がプーチン氏と同じことをするとは思

いたくない。しかし、万が一、そうなったら私達はどうするのか。ウ

クライナ人と同じように戦って国を守れるのか。この問いから目を逸

らすことは、日本の大人として無責任だ。

(177p)

  

中国が日本を攻めてきた場合に、戦えるかという問いです。

そんなことはあり得ないとは、言えないところがあります。

中国の軍事力は巨大になってきているし、

尖閣諸島のように領土的野心を見せているのだから。

今まで私が生きてきた日本が平和だっただけで、

江戸末期から太平洋戦争まで、日本は外国の脅威に晒されてきました。

問いに対する答え。老兵だけど、戦うしかないかな。

  

今回の戦略3文書はそんな危機を招かないために日本の軍事力を最速

で強化するものだ。中国に軍事侵略させないための最大級の抑止力、

つまり軍事力を構築する計画である。

戦争は起こさせた時点で、当事国にとって敗北なのである。国民の命

を奪われ国土は荒廃するからだ。だから戦争は起こさせてはならない。

そのために、戦争を仕掛ける国や民族にはこれ以上ない程明確に意志

を伝えなければならない。日本国に手を出す者は許さない。阻止する、

反撃する、追い返す、と。日本国と国民は国土防衛の強い意志を持っ

ており、決して屈しないと、事ある毎に明確に伝えることが大事だ。

その上で、言葉を裏づける力が要る。そのための軍事力であり、戦略

3文書だ。だがそれだけでも不十分だ。周回遅れの日本を他の国々と

同じ水準に引き上げるために、是非ともしなければならないのが憲法

改正である。令和5年の最重要の課題だ。

(177p) 

  

自民党が考えている憲法改正とか軍事力増強は、

この櫻井さんのような考え方に基づいているのだろうか。

説得力のある意見だと思いました。

揺れますね。

憲法改正すべきか、軍事力を増強すべきか。

社会科教師は考えなくてはいけません。

今年はより勉強をしていこう。

  

  

この他、「週刊新潮」では、「財務省は企む」というタイトルで

高山正之さんがコラムを書いています。

財務省は赤字を嫌い、戦後、国家予算の25%を占めていた軍事費が

消えたにもかかわらず。減税をしなかった。

税収が溢れかえると余剰は外貨準備に回す。

因みに各国の外貨準備はGDPの5%以下だが、

日本の場合は25%。埋蔵金と呼ばれるらしい。

それなのに、埋蔵金には手を付けずに、大震災では復興税、

今回も軍事費増強のために増税。

 

この役所の浅はかさを実は安倍元首相は見抜いていた。だから潰そ

うとした。

安倍元首相を暗殺したのは支那でも米露でもない。財務省がやった

というのはホントかもしれない。

(178p) 

  

  

「週刊誌」というのは、ある程度書くことは自由なのだろう。

けっこう踏み込んだことまで書いてあって、いい勉強になります。

毎週買うには読む時間がないので、

新聞広告で興味がある記事がある時には、

買って読んでいきたいと思いました。

   

 

「週刊新潮」1月5日・12日新年特大号/全身に回ったmRNA 長寿には「舌が命」

     

今日は令和5年1月5日。

  

やっぱり「週刊新潮」が面白い。

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コロナワクチンに関する記事が気になったので、

買ってみましたが、他にも興味深い記事がありました。

 

気になるコロナワクチンの記事であるが、

例えばこの文章。

  

厚労省のHPには”ワクチンで注射するmRNAは短期間で分解されて

いきます”との見解が載っている。

「短期間で分解されることはあり得ないでしょう」

と、長年小児がんの研究、治療に携わってきた名古屋大学教授の小

島勢二氏。

「ある程度体内に残り、全身にmRNAが回るということはデータで

はっきりと証明されています。リンパ節や肝臓、副腎にも行く。短

期間で分解という見解は見直しが必要です」

(23p)

  

全身に回ったmRNAによって血栓形成や炎症という

副反応が起こるそうです。

血栓ができるということは、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症などを

引き起こすのだそうです。

さらに長期的に見ても免疫抑制が起こる可能性があり、

免疫が抑制されれば当然、発がんリスクは高まるそうです。

  

とにかく、コロナワクチンを体内に取り込んだことで、

体には、長期的によくない状況を招いているというわけです。

3回打った私も含めて、多くの日本人が、

その危険に見舞われているのです。

どうしてくれるんだ?これから日本人の発がん率が高まったら。

 

高知大学医学部皮膚科学講座名誉・特任教授の佐野栄紀氏の発言

「政府が言うように何か月かおきにワクチンを打つ、といったこと

を続けていたらとんでもないことになりかねません。コロナワクチ

ンは打てば打つほど危険性は上がっていくと思います。その危険性

は若い人でもお年寄りでも変わりません。今ではコロナウイルスは

弱毒化していますので、ワクチンを打つことのほうが逆に危険だと

思います」

(23p)

   

コロナによる死者数が増えていることが気になりますが、

4回目のコロナワクチンの接種は、私は見送りたいです。

  

  

他に気になった記事を2つ書いておきたい。

日本歯科大学教授の菊谷武氏の文章。

「歯が命」と言われるが、人生100年、健康長寿の新常識は、

「舌が命」という説です。

あの有名なきんさん・ぎんさん。

それぞれの歯の本数はきんさん0本、ぎんさん3本でした。

 

地元の歯医者さんから入れ歯を勧められたものの、

「困っていないから結構です」と断ったそうです。ここから学ぶべ

きことは多いと思います。なぜ歯が全く、あるいはほとんどないき

んさん、ぎんさんは、よく食べ、よく喋り、そしてよく生きること

ができたのか。おそらく、活発に動く舌がふたりの健康を支えてい

たのでしょう。それほど、舌は極めて重要な役割を果たしているの

です。

(161p)

  

舌の威力は思ったよりありました。

  

・食べものを迎えに行って口の中に取り込む。

・味や温度などを感知する。

・食べものを口の中で巧みに動かして咀嚼を助ける。

・噛み終わった食べものを取りまとめて、のどに送り込んで

 飲み込む。

これらの一連の動きの中心は舌なのです。舌が食べものを口蓋(こう

がい/うわあご)にこすりつけて潰したり、舌と歯ぐきで嚙み砕いた

りする。だからこそ、歯はなくてもきんさん、ぎんさんは元気だった

と考えられます。

(161p)

  

舌の役割は大きいのです。

さらに嚥下(えんか)でも重要な役割をするそうです。

嚥下とは、ものを飲み込む動作です。

  

嚥下について詳しく説明すると、実は私たちは、食べものを飲み込む

瞬間に0.8秒だけ息を止めています。その間に気管を閉じて食道を

開くという神業的な作業を行い、「呼吸」と「嚥下」を切り替えてい

るのです。

この0.8秒の切り替えにおいても、のどの奥まで伸びている舌が中

心的な役割を果たしていて、舌が衰えると切り替えが上手くできずに

嚥下障害を引き起こします。そして、誤嚥性肺炎や窒息事故につなが

ってしまうのです。

(161p)

   

舌をはじめとする「口の老い」を意識するのが肝心。

次の現象が増えてきたら要注意。

  

・食べこぼす

・むせたり、誤嚥したりする。

・誤って舌や頬を噛んでしまう。

・ほうれん線が濃くなる。

・のどぼとけが下がる。

・食後などに、口に水をふくんでうがいをした時、

 吐き出した水に食べかすが多く残っている。

・一緒に食事をしている人に比べて食べるスピードが遅い。

・話が聞き取りにくいと言われるようになった。

(162p)

  

それでは舌のトレーニングとしてどんなことをしたらいいか。

   

・ガムを噛む。

・おしゃべりを楽しむ。

・カラオケを歌う。

・上下の歯全体を舌で嘗め回すようにして行う

 「舌ぐるぐる体操」

また、くれぐれも無理のない範囲で「食べにくいもの」をたべてみる

ことも有効です。具体的には、よく噛まなければならない少し硬めの

ものを食べるようにする。

(162p) 

   

厄介なことに、歯がたくさんの残っていることが災いになることが

あるそうです。

高齢者になって、充分な歯磨きが難しくなることがあります。

結果、その人の口腔内では歯周病菌が大量に増殖し、歯周病になるか

らです。私はこれを「歯周病パンデミック」と呼んでいます。

この状態になると、歯周病菌は毒素を出しますので、虫歯にとどまら

ず、血液中に侵入して心疾患や糖尿病、脳血管疾患、そして認知症リ

スクを高めることが指摘されています。

(163p)

  

そして提案しています。歯がなければ、

歯周病菌が発生しないというこからの提案です。

  

自立的な生活ができなくなる前、75歳くらいまでには残すことが困

難になった歯は早めに抜いてしまう「歯の整理」が必要な時代を、私

たちは迎えているのではないでしょうか。

(163p)

  

80歳までに自分の歯を20本残すという「8020運動」は

効果をあげていますが、年を取ったら、歯ではなく、

舌を使った生き方をして、長生きをしようという提案でした。

舌の威力を知った記事でした。

2023年1月 3日 (火)

懐かしのジョン・クーガー・メレンキャンプ

    

今日は令和5年1月3日。

  

YouTubeの画面を何気なく出したところ、

懐かしい名前を見つけました。

「ジョン・クーガー」

  

これって、「ジョン・クーガー・メレンキャンプ」

のことじゃないのかと思って見てみると、

ドンピッシャでした。

先日、スティーブ・ウィンウッドを検索したので、

YouTubeのAIは、同年代のロックシンガーを選択して、

私の前に届けたのでしょうか。

  

Rain On The Scarecrow

1

このアルバムジャケットは、しっかり覚えています。

曲も覚えていました。

当時、繰り返し聴いていたからね。

1985年の発売なので、CDではなくて、

レコードで買ったはずです。

屋根裏部屋の倉庫に行けば、きっと見つけることができます。

ジョン・クーガーでデビューして、

ジョン・クーガー・メレンキャンプに改名。

その時に私は出会いました。

現在は本名のジョン・メレンキャンプなのだそうです。

1951年生まれの71歳。


YouTube: John Mellencamp - Rain On The Scarecrow

この映像に映っている人たちは、

現在は38年、年が積み重なっているはずです。

私と同様に。

   

現在の生活のBGMがロッド・スチュワート。

そして久々にスティーブ・ウィンウッドと

ジョン・クーガー・メレンキャンプの曲を聴きました。

今年は懐古の年なのか。

それとも初心に返れと言うメッセージなのか。

追悼/早川篤雄さん

    

今日は令和5年1月3日。

   

新聞を読む時に、最近必ず見るのが訃報欄。

知っている人が載っていないか、

同年代の人が載っていないか、

そんなことを気にするようになりました。

  

12月31日朝日新聞朝刊の訃報欄より。

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早川篤雄さんを私は知りませんでした。

でも1970年代から福島で原発の反対運動に

取り組んだというところに注目しました。

調べたくなりました。

福島原発事故から11年 ~宝鏡寺早川住職の子孫へのメッセージ~

2022年3月の記事です。

この記事によると、東電福島第一原発一号機が営業運転を

開始したのが、1971年3月26日。

翌年の2月11日に、早川さんたち地元住民は、

「美しい自然に山川と平和の暮らし、我々と我々の子々孫々の命を守る」

と決議して、住民運動を組織したそうです。

活動歴50年以上の方でした。

原発の危険性を訴え、抜本的安全対策の確立、抜本的防災対策の

確立を求めてきました。

しかし事故は起こってしまいました。

早川さんのメッセージには次のように書かれています。

「『フクシマ』が再び美しい自然の山川、平和な暮らし、命をはぐ

くむ日々を取り戻せるのは、万年単位の未来です。しかし、いま行

われている『復興』のウソ・イツワリを確かな目で見破り、ダマさ

れず、ダマらず、世代を超えて声を上げ続けない限り、ありえませ

ん。」

福島に住んでいると、復興の本当が見えるのでしょうか。

自分も福島の復興を、関心をもって見ていきたいです。

  

東日本大震災から10年後の2021年3月11日に、

早川さんは、私財を使って伝言館を作りました。

正式名称は「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」

どれも日本人が放射線に被ばくした出来事です。

ここに行く機会があれば、勉強したいです。

伝言館

ここに原発悔恨・伝言の碑というのが載っていました。

その碑文を書き写します。

  

電力企業と国家の傲岸(ごうがん)に

立ち向って40年 力及ばず

原発は本性を剥き出し

ふるさとの過去・現在・未来を奪った

 

人々に伝えたい

感性を研ぎ澄まし

知恵をふりしぼり

力を結び合わせて

不条理に立ち向かう勇気を!

科学と命への限りない愛の力で!

  

40年の反対運動の挙げ句の原発事故。

悔しかっただろうなと思います。

こんな人がいたことを、新聞の片隅で知りました。

2023年1月 2日 (月)

「無人島のふたり」⑨ 「明日また書けましたら、明日」

    

今日は令和5年1月2日。

  

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

  

8月17日の日記です。

  

先日S社のSさんからもらった12年前の写真をよく見る。

私の隣には元担当編集者のユカさんがおっとり優しく、ご本人の人

柄がよく出ている花のような笑顔で立っている。きれいな髪と内側

から発光するような白い肌は、彼女に幸せしかもたらさないように

見える。

でもユカさんはこの6年後の2015年にがんで亡くなってしまっ

た。

面倒見のよいユカさんのまわりにはいつも人が多かったので、それ

だけ悲しんだ人も多くて、私もユカさんの死に打ちのめされたうち

の一人だった。

元気にあふれ、スポーツが好き(得意)で、人に気を配り、楽しい

ことが好きで、仕事が好きで、おいしいものが好きで、犬が好きで、

笑うことが大好きだったユカさんが、まさか、よりによってがんで

死ぬなんて、とショックを受けて、長い時間立ち直れなかったのに、

今度は私だなんて。

(130~131p)

  

「よりによってがん」の表現に注目。

幸せしかもたらさないようなユカさんを襲ったがん。

それは幸せの対極にあるとても酷な病気という意味だろうか。

治すことが難しく、余命を宣告されるがん。

なんと恐ろしい病気と人類は対面しなくてはならなくなったのか。

「今度は私だなんて」

容赦ないがんの性質を表していると思います。

先日のサークルで、教えてもらったこと。

人間の体では、毎日5000個のがん細胞ができています。

その都度、制がん物質が、そのがん細胞を殺しているのです。

5000勝0敗ならば、がんにはなりません。

殺しそこなったがん細胞が、塊となってがんになるのです。

薄氷を踏むような危うさで、私たちの健康は維持されているのです。

  

上の文章の続きです。

私はこの病気になって、そんなに自分の病気について実は調べていな

い。最初から”治らない”と言われていたというのもあるけれど、私は

がんについて考えるのが恐かった。

がんって何なのだろう。いやそれは医学的にはもちろん(私でも)多

少は分かっているけれど、ユカさんだけでなく、58歳にもなれば、

ずいぶん沢山の知人ががんで亡くなっている。

ブラックホールに吸いこまれるように、ひゅっと命をとられている。

ユカさんは強い人だったから、がんに打ち勝とうと最後まで闘ってい

た。最後の最後まで新しい治療薬を試そうとしていた。

でも内心は怖かったに違いない。ブラックホールがすぐ足元まで来て

いる気がして何度も泣いたに違いない。

最後にユカさんのお見舞いで病室に行った時、彼女はいつもの笑顔を

見せてくれたけれど、車椅子に乗って酸素の管をつけていた。

「これ、お見舞いでもらったわらびもち、おいしいから一緒に食べよ

う」と言って出してくれた。私はあんな風に最後に笑えるだろうか。

(131~132p)

  

私は今はがんに対して関心が高いです。

それはきっと、現在がんでないからです。

少なくともがんと言われていないからです。

がんが客観視できるのです。

実際にがんになったら、山本さんのように、

がんについて考えることが恐くなってしまい、逃げると思います。

もちろん、なってみないとわからないのですが、

山本さんの日記が参考になります。

今のうちにがんについて勉強して、予防できるなら実行。

がんになった人の話をたくさん知って、

本当にがんになってしまった時の生き方を

シュミレーションしておきたい。

そんなことを考えています。

  

  

10月4日の日記です。

  

昨日から今日にかけてたくさんの妙なことが起こり、それはどうも

私の妙な思考のせいのようだ。これでこの日記の二次会もおしまい

になる気がしている。とても眠くて、お医者さんや看護師さん、薬

剤師さんが来て、その人たちが大きな声で私に話しかけてくれるの

だけれど、それに応えるのが精一杯で、その向こう側にある王子の

声がよく聞こえない。今日はここまでとさせてください。明日また

書けましたら、明日。

(168p)

  

この日記が最後です。

山本さんは、9月21日の日記で、この日記の中締めとしたい、

これ以後は二次会でと書いています。

その二次会が終わることを的中させています。

そこに恐れの気持ちはないように思います。

眠くて、意識が遠のく感じです。

本当の最後はこうなってほしいです。

まるで毎日布団に入って寝るように、眠って死を迎えたいです。

「明日また書けましたら、明日」

最後まで書くことにこだわった作家らしい締めの言葉です。

  

  

以上、「無人島のふたり」からの引用は終了です。

「無人島のふたり」⑧ 私も戦争経験者に教えてもらっていた

     

今日は令和5年1月2日。

  

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

   

山本さんは作家なので、

同業者のことがちょくちょく書かれています。

ほとんど知らない作家さんばかりですが、

この本を読んだことを機会に、

登場した作家さんの本も読んでみようかなと思っています。

  

北大路公子さんという作家が登場しました。

何ページだったか、わからなくなってしまいましたが、

登場しました。

Wikipedia 北大路公子

☝ 調べてみました。1963年生まれなので、2歳違いです。

小学校時代のことが書かれていて、

教員が余興で教え子に相撲を取らせていたそうです。

そしてこの文章。

小学校時代には時代的に太平洋戦争の経験者がまだ現役で教職を

行っていた。

戦争経験者だったから、相撲を取らせたように受け取れる説明でした。

  

まあそれはいいとして、

私も1961年生まれなので、

戦争経験者に教えてもらっていたんだなと

はたと気がつきました。

たとえば、私が小学生だった時に、

50歳代の先生は、戦時中に青年だったわけです。

充分戦争を体験しています。

戦争を生きのびて、すごい経験をしたであろう先生に

教えてもらっていたのです。

もっとその希少価値を意識して教えてもらえばよかったと、

大人になったから思うことです。

  

北大路公子さんはエッセイが楽しいらしい。

山本文緒さんが解説を書いている

「枕元に靴」という本がよさそうです。

これも2月に読むことにしよう。

昼酒が大好きな方のようです。

  

その他、田中兆子さんの本。

「劇団42歳♂」がいいかな。

山本さんが選考委員の時に、田中さんが新人賞をとった関係。

  

長嶋有さん。

「猛スピードで母は」がよさそう。

21年前の芥川賞作品です。

  

どの本も2月になったら図書館に予約しよう。

山本さんの本のおかげで、私の読書の幅は広がりそうです。

ちゃんと影響を受けていますよ。

2023年1月 1日 (日)

「無人島のふたり」⑦ 闘病記ではなく逃病記

     

今日は令和5年1月1日。

       

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

   

8月2日の日記です。

  

昨日まとめたこの日記の原稿を、S社のSさんに送って読んでもら

った。活字にしたいです、と言ってもらえてほっとした。

送ったのはまだ前半の救急搬送されたところまでだが、改めて読み

返して、これは闘病記ではなく逃病記だなあとしみじみ思った。

(中略)

ただ私はがん宣告を受け、それがもう完治不能と聞いた瞬間に「逃

げなくっちゃ!あらゆる苦しみから逃げなくっちゃ!」と正直思っ

た。それが私にとっての緩和ケアなのかもしれない。しかし、こう

思ったのと同時に、あらゆる苦しみから逃げるのは不可能である、

ということも分かっていたように思う。

今、私は痛み止めを飲み、吐き気止めを飲み、ステロイドを飲み、

たまに抗生剤を点滴されたり、大きな病院で検査を受け、訪問医療

の医師に泣き言を言ったり、冗談を言ったり、夫に生活の世話をほ

とんどしてもらったり、ぐちを聞いてもらったり、涙を受け止めて

もらったりして、病から逃げている。逃げても逃げても、やがて追

いつかれることは知ってはいるけれど、自分から病の中に入ってい

こうとは決して思わない。

(110~112p)

  

治る見込みがあるなら闘病記になるだろうけど、

余命宣告をされているなら、やっぱり逃げると思います。

現実から逃げたいと思うと思います。

でも私だって、いつかは死ぬことはわかっていることから、

逃げて暮らしていると同じかな。

      

8月17日の日記です。

   

私はこの病気になって、そんなに自分の病気について実は調べてい

ない。最初から”治らない”と言われていたというのもあるけれど、

私はがんについて考えるのが恐かった。

がんって何なのだろう。いやそれはウ学的にはもちろん(私でも)

多少はわかっているけれど、ユカさんだけでなく、58歳になれば、

ずいぶん沢山の知人ががんで亡くなっている。

ブラックホールに吸いこまれるように、ひゅっと命がとられている。

ユカさんは強い人だったから、がんに打ち勝とうと最後まで闘って

いた。最後の最後まで新しい治療薬を試そうとしていた。

でも内心は怖かったに違いない。ブラックホールがすぐ足元まで来

ている気がして何度も泣いたに違いない。

最後にユカさんのお見舞いで病室に行った時、彼女はいつもと同じ

笑顔を見せてくれたけれど、車椅子に乗って酸素の管をつけていた。

「これ、お見舞いでもらったわらびもち、おいしいから一緒に食べ

よう」と言って出してくれた。私はあんな風に最後に笑えるだろう

か。

(131~132p)

   

私はがんが恐いです。がんになりたくないです。

ならないためにはどうしたらいいか、よく考えています。

でも、がんについて意識しすぎると、

がんが寄ってくるような気持ちになります。

がんのことなんかちっとも考えずに、

日々暮らしていたら、結局がんは寄ってこないのではとも思います。

私は、がんと宣告されるまでは、

がんを意識して、調べたりもすると思います。

でも、いざがん宣告を受けたら、山本さんと同じで、

がんから逃げるだろうなあ。

迫りくるブラックホールに吸いこまれたらどうなってしまうんだと、

考えるだけでパニックになりそうです。

「無人島のふたり」⑥ 山本文緒さんが言及した本は読みたくなります

     

今日は令和5年1月1日。

  

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

   

7月18日の日記です。

  

とろとろ眠って、目が覚めると例の吉川トリコさん『余命一年、男を

かう』を読むことを一日繰り返す。

そういえばこの本の前に読んでいた平野啓一郎さん『本心』も余命を

扱ったテーマだったな。余命ブーム?

どこか痛いのでもなく吐き気がするのでもなく、ただ体が重くてしん

どくて、平野さんの本の中にあった”自由死”が認められていたら私は

選択しただろうかとぼんやり思う。

トリコさんの本は面白かったです。

(92p)

  

私は余命ブーム。2冊の本を図書館に予約しました。

  

7月26日の日記です。

  

最近体調が思わしくないせいか新しい本を読む気がせず、テレビで映

画化のことを知った村上春樹の『女のいない男たち』を再読。ほとん

ど内容を覚えていなかった。

映画化された「ドライブ・マイ・カー」は妻をがんでなくす男の話で、

これは夫に読ませるわけにはいかないと隠す。

春樹さんの本から気持ちが離れて久しいけれど読んでみればやはり巧

さに唸る。

(103p)

  

この本も読んでみたくなりました。

2月くらいに読もうかな。

山本さんの影響を受けている人がここにいますよ。

   

  

7月27日の日記です。

 

体の倦怠感は薄まるどころか日一日とどんどん重くなっている。ソフ

ァに5分も座っていられない。

仕方なくベットに横になるが、ここのところずっと横になっていてま

すます筋力が落ちたのか、腰や背中が痛くてたまらない。縦にも横に

もなっていられない。身の置き所がなくて、ただもぞもぞ寝返りを打

って唸っているしかない(後で知ったのだが、この「身の置き所がな

い」というのもがんの症状のひとつらしい)

(103p)

  

がんになった時にそなえて、知識として得ました。

  

7月28日の日記です。

  

「だるいんです」といったところでどうしようもないのだろうなと半

分以上はあきらめ気味に訴えたところ、ステロイド薬を飲むのがいい

かもしれないということになった。

ステロイド・・・・そういえば、猫のさくらが病気で亡くなる前、ス

テロイドで、かなり元気をとりもどしていたな、と思い出す。

私の病状も、もうそのあたりまで進んでいるんだなと暗くなりつつも、

今朝から少量飲み始めたら、体がいきなり軽くなってびっくり。

5分も座っていられなかったのに、今日は洗濯物もたためたし、花を

活けたりもできた。本も読めるし、日記も書ける。それより何より、

夫のほっとした顔を見られてよかった。

(105p)  

   

そうなんだ、余命を宣告された人もたいへんですが、

その人に日々接している人も辛い日々が続くのです。

この文章でハッとさせられました。

    

8月1日の日記です。

ステロイドが効いているのか、山本さんは元気です。

   

元気なので島本理生さんの新刊『星のように離れて雨のように散っ

た』を読んだ。とてもよかった。初期のころの島本さんのテイスト

が復活しつつ、熟成した今の島本さんが仕上げた極上の対話小説だ

った。

この本の中に村上春樹さんの『ノルウェーの森』について登場人物

が意見を述べる場面があって、再読したくなってアマゾンで注文し

た。

(109p)

  

まるで遺言のように、山本さんが言及した本は読みたくなります。

この本も2月に読もう。

「無人島のふたり」⑤ 知床半島 だって一緒に行きたかった。

      

今日は令和5年1月1日。

   

昨日の記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

  

7月7日の日記です。

  

今生で後悔していることがあるとすれば、語学を勉強しなかったこ

とかもしれない。せめて日常会話くらいできたら旅先でもっと楽し

めたと思うし、一人でも旅ができただろう。一応努力はして、英語

学校に通ったこともあったのだが、目先の仕事に時間も気持ちも持

って行かれてしまった。

仕事はそれなりに頑張って充実感はあったのだけれど、来世は仕事

などしない人生がいい(人間でないかもしれないし)。

来世も夫とたくさん旅行に行きたい。スイスや南仏やイタリアやギ

リシャ、ニュージーランドやフィジーやタイへ行きたい。知床半島

だって一緒に行きたかった。

(79p)

   

後悔のない人生はないと思うけど、

後悔を減らしておきたいですよね。

今日届いた年賀状で、同年代の先生が退職旅行で、

夫婦で九州に行った写真が載っていました。

私も、退職したらどこか行こうとは奥さんに言っていましたが、

町内会長を引き受けたことで、1年延ばしになっています。

ここで死んだら、悔いが残るだろうな。

知床半島は、興味を持っていました。

ヒグマは怖いけど、知床半島の山には登りたいですね。

「仕事などをしない人生」という表現は意味深です。

仕事は大事だけで、仕事だけで埋められた人生はよくないのでは。

退職した自分が、今、考えなくてはならないことだと思います。

  

 

7月8日の日記です。

  

東京に4度目の緊急事態宣言が出た。

この病気になって夫とふたり無人島に流されているような日々を送

っているけれど、世の中に全く興味を失ったわけではなく一応ニュ

ースはチェックしている。

コロナから解放された世の中を私は見ることはないだろうけれど。

(81p)

  

コロナから解放された世の中は、やっぱり見てみたいですよね。

マスクをしないで人と会うことができる世の中。

2023年になったけど、まだ実現していません。

私もコロナで死にたくないし、コロナ後の世の中を見たいというか、

体験したい。

余命を宣告されてニュースを見ることはできるだろうか。

死んでいく私には関係ないことと思ってしまうだろうか。

  

  

7月15日の日記

 

別れ際20年以上付き合いがあり私の本をたくさん作ってくれたG氏

の手をつい握って、不覚にも泣いてしまった。G氏も堪えきれず泣い

ていた。

わたし、彼女が泣いたのは初めて見たと思う。

「この家が建ったのはG氏のおかげだから」なんて言ってしまったけ

ど本当は「一緒にたくさん本を作ってくれてありがとう。本当に長年

ありがとう」と言いたかった。

人が私のために泣いてくれると、その人の中に私が生きている気がし

てジーンとする。

(88~89p)

  

やっぱり、他の人の中で生き続けるんですよね。

そして、自分のことを知っている人が亡くなると、

自分は消滅していく。それが世の習い。

G氏の中に、自分がいることを感じられた山本さんは

ちょっと幸せだったろうな。

  

   

58歳の夏、私は腹水が溜まってお腹が苦しい。

腹水が溜まるなんて、なんと言うか末期感がすごい。

(91p)

  

さらりと書いていますが、絶望感があっただろうな。

印象的な表現です。山本さんだから書ける表現かな。

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楽餓鬼

今日はにゃんの日

いま ここ 浜松

がん治療で悩むあなたに贈る言葉