天声人語/「道鏡を守る会」会長
今日は令和4年4月18日。
今日の朝日新聞朝刊の天声人語は
書き写したくなりました。
日本史上指折りの悪人と言われた僧侶がいる。名を道鏡という。奈
良時代に生きて、今年で没後1250年。「道鏡を守る会」という
団体から郵送された会報が興味深く、会長を訪ねた▼「あまりの悪
人扱いに疑問と義憤を覚えたのがきっかけ。最初は反骨心でしたが、
調べていくうちに熱中しました」。そう話すのは、宮城県大崎市に
住む元教諭の本田義幾(よしちか)さん(76)。女帝である孝謙
(のちの称徳)天皇をたぶらかし、自ら皇位を狙ったとされる怪僧
ゆかりの地を全国に訪ね歩いた▼本田さんは彼を高僧と位置づける。
経典を写し、薬草を解し、寺院建立に尽くしたと評価する。それな
のに失脚の後、道鏡は人格を全否定される。中世からは色仕掛けの
野心家という俗説ばかりがひとり歩きしたと嘆く▼勧められて、坂
口安吾の小説『道鏡』を読み、市川雷蔵主演の映画「妖僧」を視聴
した。描かれ方は野心のない人物だったり、志の高い改革者だった
り。世間一般の道鏡イメージとは正反対で、爽快ですらあった▼小
説と銀幕の実力派をもってしても覆らなかった道鏡の悪評である。
守る会の会員にも苦労は多い。まとまった原稿を書いても大手出版
社には相手にされない。せっかく集めた資料も家族からは「断捨離」
を勧められる始末だ▼驚いたのは、今月7日、奈良市と栃木県下野
市(しもつけし)にあるゆかりのお寺で、道鏡をしのぶ供養祭が営
まれたこと。1250年たっても崇拝の念を呼び起こす僧侶に、初
めて深甚なる敬意を覚えた。
面白い記事です。
道鏡は悪者のイメージでした。
怪僧といえば、道鏡かラスプーチンを思い出します。
元教諭のこだわりが楽しい。
自分も何かにこだわって生きていきたいと思います。
坂口安吾の『道鏡』はまた読んでみたいです。
映画「妖僧」も見たいけど、これは難しいでしょう。
1963年の作品。予告編は見ることができました。
孝謙天皇役とおぼしき女優、藤由紀子さんを調べたら、
田宮二郎さんの奥さんでした。
苦労されたんだ。
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