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2020年4月11日 (土)

「長期ひきこもりの現場から」③ 少なくとも3年以上持続しないと、改善したとみなさない

  

今日は令和2年4月11日。

  

復職プログラムが始まって、1カ月あまり。

最初は、定時の午後4時40分までが長かったです。

みんなよくこんな長い時間働くなあと思いました。

今は慣れました。

復職プログラム期間中は、定時に帰ることを続けたいです。

  

  

前記事に引き続き、

ドキュメント・長期ひきこもりの現場から

(石川清著/洋泉社)より。

  

 

 長期間孤立しているひきこもりの当事者は、自分が周囲からどう

見られているか、ということに恐怖しているため、自分から社会と

接点をもつことが難しい。また、家族も同様の妄想に陥って、周り

が見えなくなっいるこていることが多いからだ。

 まず家族以外の第三者が、本人と家族に関わって、ひとりの人間

としてきちんと認めて、他人に対して安心感を感じてもらうことが

大切になる。まずは支援者とつながり、支援者を通じて、少しずつ

その他の優しい人たちとつながっていくことができれば、社会参加

の意欲が高まっていく。

 もちろん、炊事や洗濯、掃除、買い物など生活に必要な能力を身

につけることも重要になる。

(83p) 

 

支援者になるなら、覚悟がいることをこの本では

繰り返し書いています。

やるからには、腰をすえて取り組みたいです。

    

  

 ひきこもりには、極端な節約家で、自分の成長への投資などはい

っさいできないタイプや、逆にかなりの浪費家で自分の欲しいもの

を我慢できずにお金をふんだんに使い込んでしまう。両極端のタイ

プになっているケースがよくみられる。極度の節約家も浪費家も、

どちらもよくない。

(84p)

  

極端な節約家のイメージが浮かびにくい。

でも実践家が書いているのだから、実際にあるのだろう。

  

  

 一時的に就学したり、就労したりすることが可能なひきこもりの

当事者はかなりいる。しかし、その状態が3年以上継続しているケ

ースとなると、少なくなる。

 僕は就労や就学をしたケースについては、少なくとも3年以上持

続しないと、改善したとみなさないようにしている。持続的・安定

的に社会参加し続けることは、長期ひきこもりを経験した若者にと

って、困難なことである。一時的な改善で、ぬか喜びしても、あと

でその反動によって苦労してしまうことは多々あるのだ。

(85~86p)

   

キーワードは「3年」

就労した、就学しただけではホッとしてはいけないというわけです。

  

  

 僕は就労や就学をひきこもりの当事者のゴールに据えることはし

ない。就学や就学を目標とするのは、あまりにも世間の常識や一般

論にもとづくものであって、とても選択肢が狭くなってしまうから

だ。そもそもそんな”人並み”とか”世間並み”という意識がひきこも

りの本人や家族を追い込んでいった。

 一方で単純にひきこもり中の当事者の希望する人生が、そのまま

実現できるわけではない。現実感覚がないひきこもり状態の孤立し

た最中に抱く夢というのは、たとえば小学生が「将来宇宙飛行士に

なりたい」とか「プロ野球選手になりたい」というような実現が困

難なものと同様なものかもしれない。当事者やその家族と一緒に少

しずつ人間や社会への理解や成長を深めながら、それぞれの確実な

道を探していく作業が支援だ。

(81p)

  

  

不登校の中学生が、現実感覚のない夢を語ったことを

実際に体験しています。

実感します。

  

  

最初は長期重篤なひきこもり状態にあえぎ苦しむ若者が、さまざま

な困難を乗り越えて、やがて継続的に社会参加したり、人生のパー

トナーと安定的な暮らしを築いていく長い道筋の、ある程度のゴー

ルと言えるラインに至るまでには、大きく3つの壁があると考えて

いる。

(87p)

  

その3つの壁の1つ目は「孤立の壁」です。

  

①孤立の壁=他人や社会と関わりをもてない状況のときに直面して

 いる壁。時には同居する家族との関わりを絶って、頑なな孤立状

 態に身を置いていることもある。重篤な場合、自分から助けや支

 援を求めて動くことがほとんどないため、訪問支援や医療的ケア

 が必要となる場合も出てくる。ただし、訪問支援を開始したから

 といって、すぐに(数週間~数カ月)孤立状態から脱することが

 できるわけではない。この最初の壁を乗り越えるだけでも、数年

 かかってしまうことも多々ある。

(87p)

  

第2の壁は「成長の壁」

 

②成長の壁=多くの長期ひきこもり経験者は、思春期・青年期(

 10~25歳ごろ)に長期の孤立状態を経験し、人間が成長して

 いくために本来すべきだったはずの経験や学習をできず、いろい

 ろ抜け落ちてしまったことがある。その場合、短絡的に就労など

 社会参加の段階へ移すのではなく、年齢相応の発達段階に至るた

 めに、以前できなかったことをある程度追体験しておく必要も出

 てくる。特に社会や他人と向き合うときに”位負け”しないように、

 ある程度他人への自信や自慢になる個人的な体験をしたり、異性

 と接したり、友人などをつくる経験をしておくことは望ましい。

 というのも、就労や就学など社会参加する際に、孤立したおとな

 しい人は、時にはその集団のなかでいじめの対象となってしまう

 ことがあり、それを防ぐひとつの方策は、早めにごく少数でもか

 まわないので、友達や仲間をつくることが有効だからである。

(88p)

  

この中には、石川さん独特の発想があります。

「自信や自慢になる個人的体験」です。

確かに必要な発想だと思います。

  

  

第3の壁は「社会参加の壁」

これは省略します。

就労や就学、あるいは結婚などによる家族を作り維持すること。

  

  

つづく

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