「長期ひきこもりの現場から」② 「パーソナリティ障害」とは?
今日は令和2年4月11日。
前記事に引き続き、
「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」
(石川清著/洋泉社)より。
「パーソナリティ障害」は、少し前までは「人格障害」と呼ばれ
ていた。
ただ、人格障害だと、言葉のニュアンスがきつすぎて、一般人に
誤解を与えてしまうことから、最近はパーソナリティ障害と称され
る場合が多い。
(54p)
「パーソナリティ障害」について、この本で勉強。
さて、本人や周囲を混乱に落とし入れてしまうパーソナリティ障
害には、具体的にどういうものがあるだろう。
平成23年に内閣府が出した「ひきこもり支援者読本」を参考に、
ひきこもりと関連性の深いと思われるパーソナリティ障害のいくつ
かを紹介したい。パーソナリティ障害の傾向は決してひとつにとど
まらない。複数のパーソナリティ障害の傾向をあわせもつ人も少な
くない。
●回避性=他人から批判されたり、恥をかくのを極端に恐れて、家に
とどまったり、何かすることを避けようとする傾向。世間体を気
にして、自分の生活に支障が出てしまう人など。
●依存性=何ごとも他人頼みで、自分は責任を絶対に負わないという
姿勢が一貫している。なかには、ほかの人の指示や指導を請いな
がら、それでうまくいかないと、指示や指導をしてくれた人を恨
んだり、攻撃したりすることもある。
●強迫性=完全主義で、細部へのこだわりが強く、身動きがとれなく
なる傾向。いつも指定の場所に物が置かれていないと我慢できな
かったり、決まったスケジュールや手順が守られないと我慢でき
なくなってしまう人など。
●受動攻撃性=どんな努力をしても大人から認められず、指図ばかり
受け続けた子供が「だったらもう動くのをやめた!」という気持
ちになり、指示に対して不従順となるような”怒り”を抱く傾向の
こと。ひきこもりの場合、有意義な活動を自ら放棄し、努力をや
め、家にとどまり続ける。一見すると、自分でチャンスを放棄し
たり、自分で自分の人生や環境を傷つけているように見える。依
存性と結びついて、頑なに「俺がこうなったのは親のせいだ」と
言い張って、お金や物など生活に必要なものすべてを親に依存し
てしまう場合もある。
●自己愛性=「自分はすごい」「自分は特別なんだ」という思いが前
面に出る傾向。こうした万能的な”自分”が損なわれるのを恐れて、
対人関係を回避したり、試される場(試験など)を回避すること
もある。自分が特別であるという思いにとらわれながら、傷つく
ことを極端に恐れる。思春期や青年期に健全な自己愛を身につけ
ていくことを阻まれたり、踏みにじられたりした人に、多く生じ
るとされる。過保護や愛情不足が一因と言われているが、ほかに
も要因はいろいろある。
●境界性=虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた環境で育ったり、
安定した愛着(たとえば親子間の愛情ある接触関係)を形成でき
ない場合に発生しやすい。人にしがみついて生きることに執着す
る一方、しがみついた相手を自分の思いとおりにコントロールし
たがることがある。相手と破局すると、激しい孤立感と怒り、無
力感を感じ、時には自傷行為や薬物の乱用に至ることもある。
●ジゾイド性=ひとりでいても平気、自分のやりたいことができれば
いい、という感覚が強い。アスペルガー障害などの発達障害との
親和性が高いとされる。社会に出たり、他人と交わることが苦痛
と感じるのがジゾイド性の特徴。「ゲームをしていれば満足で、
働きたくないのです」とか「親がいなくなったら?そしたら死ぬ
からいいですよ」といういい方をする人は、傷つきやすい。”自分”
を守るために社会への関心を否認しているので、ジゾイド性では
なく、自己愛性や回避性の傾向が強く考えられる。
●妄想性、統合失調症性=妄想的だったり、非現実的な言動をする傾
向。統合失調症との親和性が高い。
病気や症状の分類にあまり固執しすぎると、ひきこもりで悩む当
事者本人を見なくなってしまうこともある。右記した病気や症状は
あくまで参考程度にしかならない。
僕が直接ひきこもりの若者と接するときには、あえて病気や症状
の分類にあまりとらわれないように心がけている。
(57~59p)
確かにとらわれるのはいけないと思いますが、
知識として知っておくことは必要です。
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