「北斎インパクト」/「竹林の不二」の何がインパクトなのか
今日は11月12日。
11月4日放映の「北斎インパクト~世界が愛した超絶アート~」より。
番組の一部を聞き書きします。
ナレーター:ここはイギリスを代表するクリスタルブランド
「バカラ」の作品を集めた美術館です。
北斎の作品は、ガラス工芸の世界にも大きな変革を
もたらしました。
ナレーター:複雑な装飾が施されているこの花瓶。
それまでのガラスの器とは全く異なる作風で
人々をあっと言わせました。
ナレーター:ガラスに彫られているのは、富士山。
ナレーター:反対側から見ると、
竹林越しに富士の山を眺めることができます。
ナレーター:デザインの元となったのが、北斎のこの作品。
※「竹林の不二」(富嶽百景)
ナレーター:主人公の富士山の手前にあえて竹林を描き、
遠近感を出しています。
北斎の斬新な絵に、バカラの職人たちは大きな衝撃を受けます。
馬渕明子さん:あれは手前に竹が
非常にリズムよく並んでいるんですけど、
ふっと気がつくと、その後ろに線だけで富士山が描かれている。
そういう何か手前のものを見ていながら、
視点をちょっとずらすことで、
奥にあるものに気がつくっていう経験は
誰にでもあるはずなんですけど、それを描くという方法を
ヨーロッパの人たちはもっていなかったんですね。
それを風景画で見事にやったのが、
北斎の「富嶽百景」の「竹林の不二」で、
バカラのデザイナーにとって、あの竹のリズム、形というのは、
装飾デザインの上で非常に斬新で新しくて
面白かったんだろうと思います。
国立西洋美術館の馬渕明子さんの説明は魅力的でした。
「竹林の不二」のような手前の向こうに何か見えるという表現方法が
ヨーロッパ人はもっていなかった!
そうなんですね。
北斎の、もっと広くいえば
浮世絵の何がヨーロッパ人に影響を与えたのか、
もっと具体的に知りたいと思っていましたが、
その一つを知りました。
さらに「竹林の不二」の竹を「リズムよく並んでいる」
と言っています。なるほどと思いました。
この絵の竹林がいいなと思えるのは、
「リズム」(そして形)なのですね。
バカラの職人たちが、
北斎の絵に衝撃(インパクト)を受けて、
その絵をガラスで表現しようとしました。
そのことについては、次の投稿で。
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