「手洗い」にも歴史あり/「天声人語」
今日は令和2年3月2日。
出勤前に道草しておこうと思います。
最近の「天声人語」で、書き留めておきたいものがありました。
2月28日朝日新聞朝刊です。
手を洗う回数が日ごとに増えていく。悩ましいのは、どれくら
い洗えば新型コロナウイルスを防げるのか、確信が持てないこ
とだ。自分の手や指なのに疑いの目を向けてしまう▼感染症の
予防に手洗いが有効なことを知らない人はいまい。しかし医学
史をさかのぼれば、そんな常識が広まったのは19世紀も半ば
以降のことだ。ハンガリー生まれの産科医ゼンメルワイス(1
818~1865)が提唱するまで、医師の間にも手洗いの習
慣はなかった▼ゼンメルワイスは出産直後の女性が高熱に苦し
む産褥(さんじょく)熱の予防に取り組む。注目したのは医師
の手や指の汚れ。解剖や手術をしたばかりの医師から診察を受
けた産婦に患者が多かった。同僚に手洗いを熱心に呼びかけて、
石けんや爪切り、塩素水を常備した▼病原菌の正体すら謎に包
まれていた時代である。「産科医たちはまるで殺人者呼ばわり
している」と医学界は猛反発。大学を追われ、失意のうちに亡
くなったという。「感染防護の父」と称されるのは死後のこと
だ(南和嘉男/わかお著『医師ゼンメルワイスの悲劇』)▼「
入館時は手指消毒を」。わが勤務先にもそんな掲示がある。だ
が入り口に置かれた消毒液を見て考え込む。何人もが触れた容
器にウイルスの付着はないか。疑心暗鬼はとどまるところを知
らない▼〈はたらけど/はたらけど猶(なほ)わが生活(くら
し)楽にならざり/ぢつと手を見る〉と啄木は嘆いた。洗えど
も十分に清潔かどうか自信が持てない。毎回ぢつと手を見る。
何にでも歴史あり。手洗いにも歴史があったのですね。
本「医師ゼンメルワイスの悲劇」に興味を持ちましたが、
アマゾンで調べると1988年発刊の本で、新刊はなく、
中古で7900円でした。
ちょっと手が出せません。
近隣2か所の市の図書館で検索しましたが、ありませんでした。
残念です。
本1冊になるほどの、手洗いに関するお話を読んでみたかったです。
そしたら、類書がありました。
「手洗いの疫学とゼンメルワイスの闘い」
(玉城英彦著/講談社/2017年)
1980円。
これなら手を出せます。
手を出しちゃおう!
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