「生き物の死にざま」② チョウチンアンコウの場合
今日は令和2年3月2日。
前投稿に引き続き、
「生き物の死にざま」(稲垣栄洋著/草思社)のことを
書いていきます。
引用します。
チョウチンアンコウのオスは、メスの体に噛みついてくっつき、
吸血鬼のようにメスの体から血液を吸収して、栄養分をもらっ
て暮らすのである。本当に寄生虫のような存在なのだ。
(67p)
まさにチョウチンアンコウのオスは、女性に養われているひも
のような存在なのだ。
それにしても、チョウチンアンコウのオスのひも生活は徹底し
ている。
メスの体についたオスは、メスに連れられていくだけで、自分
で泳ぐ必要もない。そのため、泳ぐためのひれは消失し、餌を
見つけるための眼さえも失ってしまう。それだけではない。メ
スの体からオスの体に血液が流れるようになれば、餌を獲る必
要もないので内臓も退化する。そして、メスの体と同化しなが
ら、子孫を残すための精巣だけを異様に発達させていく。
(中略)
チョウチンアンコウのオスは、受精のための精子を放出してし
まえば、もう用無しになる。
(68p)
生命の進化を顧みれば、生命は効果的に子孫を残すことができ
るように、オスとメスという性の仕組みを作り上げた。メスは
子孫を産む存在である。そして、オスは繁殖を補う存在として
作られたのだ。そもそも、すべての生物にとってオスは、メス
が子孫を残すためのパートナーでしかない。誤解を恐れずに言
えば、生物学的には、すべてのオスはメスに精子を与えるため
だけの存在なのだ。
(69p)
前記事で、オス(男)としての自己肯定感は少々失うと書きましたが、
チョウチンアンコウのこの生態が、
人間も結局のところそうなのかと思えたからです。
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