なぜ核兵器はなくならないのか?その3/ポツダム会談直前に行われた世界初の核実験
今日は2月11日。
前投稿に引き続き、1月7日に放映された番組
「ニチファ! 池上彰緊急SP なぜ世界から核兵器はなくならないのか?」より。
聞き書きします。
ナレーター:この計画を率いていたのは、ロバート・オッペンハイマー博士。
科学者・技術者など、総勢12万人が携わっており、
この中には、後のノーベル賞受賞者が何と21人も。
そしてこの計画の予算が20億ドル。
現在の価値にして約2兆円でした。
池上彰:この計画、全米各地に分かれて、様々な実験を行っていました。
こちらをご覧ください。
オッペンハイマーが所長を務めていたのが、ロスアラモス研究所。
そこでは主に爆弾の設計を行っていたんですね。
そして、実際に原爆を造るためには、
このオークリッジでは、ウランの濃縮、
それが結局、広島に落とされる原爆に繋がっていきます。
こちらのハンフォードでは、プルトニウムを作る、
これは長崎に落とされた原爆に繋がっていくというわけですね。
それぞれを細分化して、それぞれの研究者は、
いったい何を造ろうとしているのかをわからないようにしていた。
全体像をつかんでいるのは、このロスアラモス研究所の一握りの
学者だけであった。それぞれこれが何に繋がるのかわかっていなかった。
広島に原爆が投下されたニュースを見て、
あ、自分たちがやってきた研究がこういうことになったんだ、
と初めて知った人が多かった、ということなんですね。
こうしてアメリカはドイツに先を越されないようにと、
国をあげて原爆開発に邁進し、原爆を造ることに成功した、
ということ、つまり、ヒトラー率いるドイツで
ウランの核分裂反応を発見したというのが、悲劇の始まりだったのです。
このつづきはどうなったかというと、
プロジェクトチームに衝撃的な出来事が起きます。
それはこちら。
ドイツの降伏です。
ドイツが先に原爆を造ったら大変だ、といって一生懸命に造っていたら、
ドイツが降伏しちゃった。
もうドイツに対して使えなくなった。
じゃあ、もう核兵器を使わなくてもいいじゃないか、
という選択は当然あったんですよ。
当然この計画を知っていた科学者の中には、
もうこれ以上は止めるべきだ、と言っていた人もあったんですが、
ドイツ降伏から3ヶ月後の1945年の8月6日、
広島に原子爆弾が投下されてしまった。
ドイツのために開発されていた原子爆弾が、なぜ日本に投下されたのか。
その理由がわかりますと、なぜ核兵器がなくならないのかが、
見えてくるんですね。
(中略)
(戦争を早く終わらせるために原爆を落としたというアメリカ側の説明)
しかい、アメリカの真意は別の場所にあったんではないか、
と言われています。
そのことが読み取れるあるエピソードがあります。
広島に原爆が投下される少し前に時計を戻しましょうか。
1945年7月17日から8月2日にかけて、
連合国の首脳陣が集まり、ドイツのポツダムで、
会談が行われました。
まだ日本は戦争をしていたんですけど、
日本の占領政策について話し合われていたんですね。
で、このポツダム会談、7月の始めから始まる予定だったと
言われているんですが、アメリカのある理由から、
日程の変更をしたんではないかと言われています。
それはなぜか。こちら。
ナレーター:これはアメリカで行われた初の核実験の様子をおさめた
貴重な映像。実験は長崎と同じプルトニウム型の原爆でした。
その威力はおよそ20kt(キロトン)。
こうして核の時代が幕開けしたのです。
池上:世界初の核実験が行われた日にちを見てください。
トリニティと呼ばれる実験場で(核実験を)やったんですが、
それがポツダム会談の前日。つまりアメリカはポツダム会談の前に、
核実験に成功すれば、よその国に対して、とりわけソ連に対して、
優位に立てると考えたのではないか。
ポツダム会談中に、アメリカのトルーマン大統領は、
ソ連のスターリン首相に対してこう言ったそうです。
「我々は、とてつもない破壊力を持つ新兵器を手にしました」
つまり、アメリカはこれだけの力を手に入れたんだぞ、
というのをソ連に対して、アピールしたかったんではないか、
ということなんですね。
つまり、アメリカとソ連は、連合国として一緒に戦っていたんですが、
しだいに亀裂が走ってくるわけ。どうもソ連はアメリカとは違う方向に
行こうとしてるんじゃないか。第2次世界大戦が終わったら、
アメリカはソ連と対立することになるんじゃないか。
じゃあ、その前に、アメリカの力をソ連に見せつけておこうと
考えたんではないか。そして1ヶ月後、実際に広島に原爆を投下した。
実際に原爆がどれだけ恐ろしい力を持っているのかを、
ソ連に見せつける、戦後、ソ連を抑えつけようと考えていたのではないか。
ドイツで発見された新しいエネルギーを使って完成した核兵器。
使わないという選択肢もあったはずなのに、
アメリカは核兵器という悪魔に誘惑されてしまった。
核兵器を持つことが大国の証であるという時代になってしまった。
だからこそ、核兵器は世界からなくならない、ということになっていると
いうわけですね。
ポツダム会談の日程を変更してまで行った世界初の核実験。
これまた初めて知りました。
核兵器が、早くも相手を脅すためのカードになってしまったのです。
それほど強力なのです。
「なぜ世界から核兵器はなくならないのか?」
1つ目の理由は「ドイツで世紀の発見がなされたから」でした。
この発見が、原子爆弾を造るきっかけになってしまいました。
ここまでの引用は、この1つ目の理由に関することでしたが、
2つ目の理由はもう顔を出しています。
「核兵器が外交のカードになってしまったから」です。
そして3つ目の理由は
「核兵器の技術はビジネスになるから」です。
全てをブログに書き留めたいのですが、時間的に無理です。
ここまで。
勉強になったいい番組でした。
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