「おれは一万石 紫の夢」読破/江戸に出てきた人たちの行方
今日は令和3年12月31日。
この本を読みました。
「おれは一万石 紫の夢」(千野隆司著/双葉文庫)
時代は東北の飢饉がひどい時でした。
天明の大飢饉です。
そのことに関する引用です。
郷里を捨てて出てきた者たちは、皆食うや食わずの中で、捨て鉢な
気持ちになっている。江戸に出さえすれば何とかなると高を括って
いても、実際に来てみればそうはいかない。打ち続く東北の飢饉は、
夥(おびたた)しい無宿人を生み出した。
これらは、江戸の町が受け入れられる容量をはるかに超えていた。
仕事も身を置く場所もない。追い詰められた者は、腹を満たすため
に何でもした。
そこで町奉行所では、何度にも渡って無宿狩りを行った。罪を犯し
ていなくても、佐渡へ送り水汲み人足として使った。無理やり国へ
返すこともした。罪を犯せば、迷わず遠島とした。それでも湧き出
るように、国を捨てた無宿人が江戸へ押しかけてきた。
(34p)
教科書では、飢饉で江戸に来た者たちを農村に返した、と教えます。
江戸に来た者たちがどんな状況なのかわかる文章です。
こういう箇所を読んで想像します。
服部は四十代半ばの歳で、生真面目そうな面貌だ。すでに髪は薄く、
ごま塩になっている。
(200p)
登場人物の面貌が、少々紹介されることがあります。
そこまで書かなくていいのにと思う時があります。
今回もそれ。
江戸時代の生活の様子を知りたいと思って読みだした
「おれは一万石」シリーズ。
これで4冊目を読破。
「紫の夢」の「紫」は醬油のことでした。
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