「ひきこもり国語辞典」た~わ
今日は令和3年8月8日。
前記事に引き続き、
「ひきこもり国語辞典」(松田武己監修/時事通信社)
より引用していきます。
この本、今日読破しました。
前記事でも書きましたが、怖い本だと思いました。
うつ病が増幅されそうでした。
ひきこもりの人たちの心は弱っています。
読んでいて共鳴して落ち込んでいくようでした。
引用は今回が最後にします。
厳選13項目にしよう。
心の状態は大丈夫ですか。
覚悟して読んでみてください。
【ダイエット】
多くの人は痩せてきれいになるためにダイエットをするのかもしれ
ません。私がダイエットをするのは、大人になりたくないからです。
痩せていると子どものままでいられる気がします。社会経験がなく
て大人になる資格がないから、子どもでいたいのです。
(120p)
ひきこもりにならないとわからない感覚です。
そう考えるんだと思いました。
【だっしゅつ/脱出】
これまでは母のせいにしていたと気づきました。子どものころはそ
れでよかったのに、もはやそうもいきません。母のせい、誰かのせ
いから脱出して、自分の姿形をつくらなければなりません。その壁
は低くはありません。
(122p)
ひきこもりになった理由として、
父親、母親をあげる言葉がたくさんありました。驚くほど。
これは次の段階ですね。
【たっぷりのじかん/たっぷりの時間】
仕事に就けるようになりたくて居場所に通っています。人に慣れて
人と関われるようになるのが目標です。いつか仕事に就きたいと思
うので、たっぷりの時間をください。
(123p)
切実さを感じます。
【だんぜつ/断絶】
生れてからずっと同じ家に住んでいます。アイツ(父)も同じ家に
います。顔を合わせないようにしていますが、ときには顔を合わせ
ます。声を掛け合うことがなくなってもう20年以上になります。
父と子なのに、けんかや衝突を超えた冷たい断絶です。このままで
はよくないですが、自分からは譲れません。
(127p)
なぜこんなふうになってしまったのでしょう。
解決は難しそうです。
【ちゅうやぎゃくてん/昼夜逆転】
生きていく目標が分からない。今日も何かをする予定もない。そう
すると朝起きる理由がなくて昼まで寝ています。しかも運動もしな
い。からだは疲れないので夜遅くまで起きている。こうして昼夜逆
転の生活が徐々に定着しました。ひきこもり生活の悪循環です。不
眠状態になりやすいです。
(131p)
ひきこもりの人が昼夜逆転の生活になってしまうのは、
このような感覚が多いのでしょう。
【ちょうはつ/長髪】
自分は男ですが髪を肩くらいまで長く伸ばしています。ある一線を
超えて社会に入ってはいかない、馴染むつもりもないことを暗黙の
うちに表現するのが長髪です。
(131p)
ひきこもりで長髪の人がいたら、この気持ちを思い出そう。
【どくはは/毒母】
子どものころは味方で、大人になると敵だと思うようになった存在
が母です。自分の不自由さや苦しさは母との関係にあると分かりま
した。40歳を過ぎても親への恨みが噴き出ることがあります。占
い師から「家の中に敵がいますね」と言われて、納得しました。
(146p)
次の段階に進んでほしいと思う感覚です。
苦しいです。
【とけい】
時間を持てあましていると思われがちなひきこもりですが、それだ
けとも言えません。時間が過ぎるのを速く感じるのもひきこもり生
活です。そして時間が過ぎていくのを突きつけてくるのが時計です。
時間が進むのが気になって、家中にある時計をすべて止めたことが
あります。
(146p)
この感覚は共感できます。時計は残酷だと思うことが私にもあります。
【としょかん/図書館】
お金が不要で本を探すだけで時間が過ぎていく場所が図書館です。
気に入った本を見つけ、読み始めれば、それだけで時間がたちます。
誰かと話すこともいらないし、人気(ひとけ)があるので人間界に
いると分かります。たまに図書館が「整理中」で休館だとがっくり
し、行くところがなくなります。図書館に着いてから月曜日(休館
日)だと気づくと、自分が曜日を忘れた生活をしていると実感しま
す。
(146p)
「汽水域」の説明で、ひきこもりの人とそうでない人がいる
空間として「役所」と「図書館」があがっていました。
この説明を読んで納得です。
【なにもない/何もない】
本当に何もありません。30歳を超えているのに学歴がない、才能
がない、お金がない、資格がない、仕事がない、友達いない、彼女
いない、家族がない、実家に帰れない、眠れない、頼りない、おも
しろくない、どうしようもない。あるのは寿命だけです。
(152p)
読むと辛くない感覚です。
【ふりだし/振り出し】
もうここまで年を重ねてしまうと(30代)、先が見えてしまって
やる気がそがれます。できれば子どものころに戻ってやり直したい
と思うことはしょっちゅうです。これまでの経験を得たまま振り出
しに戻りたいです。
(193p)
このように思う感覚を、ひきこもりの人たちから聞き出した方は
すごいなと思います。参考になりますが、辛いです。
【もうおそい/もう遅い】
〔女性〕これから誰かと出会い、交際し、結婚し、家庭を築き、子
どもを産むと考えます。しかし、「もう遅い、間に合わない」気持
ちです。晩婚化が進んでも気休めになりません。子どもを産まない
独身者が増えていても私とは違います。やれるのにできない(選ば
ない)のと、もともとできないのとは意味が違います。
〔男性〕大学を卒業してから働かないまま30代になりました。今
から社会復帰といってもたかが知れています。どうせ社会の底辺に
置かれるだけなので本気になれません。取り返しはできないし「も
う遅い」のです。
(213p)
ひきこもりの人たちが社会復帰できないのは、
こんな思いを抱いているからなんだよなあ。
【わけあり/訳あり】
不登校、ひきこもり、無職、過食、リストカットなど、すべて私の
ことです。それぞれをことばで表すよりも、全部を含んで「訳あり
です」にすると言いやすくなります。体験の傷を覆うマスクみたい
な役割をすることばです。
(244p)
なるほどです。
すごい国語辞典でした。
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