「人はなぜ・・・許せないのか」⑥ 夫婦を長続きさせる秘訣
今日は令和2年3月8日。
前記事に引き続き、
「人は、なぜ他人を許せないのか?」(中野信子著/
岩波新書)より引用していきます。
長い時間をかけて徐々に人を許せなくなる事例もあります。そ
の典型は、いったんは愛し合って結婚したはずの夫婦が、「性
格の不一致」を理由として離婚していくことです。
(中略)
結婚したからには、当初は何らかの惹かれ合うものが存在した
はずですが、脳科学的には、実は惹かれる理由も「互いが不一
致だから」こそなのです。つまり合わないことこそが楽しかっ
たはずなのです。
なのに、結婚するとかえって不一致を憎むようになってしまう
のは、皮肉にも、恋人だった頃より互いの距離感が近くなって
しまうことが、かなり有力な理由と考えられます。
遠くから見ているときは、不一致が尊敬や愛情の対象なのに、
近寄ってみると、急に目を背けたくなるような部分があったこ
とに気が付いてしまうからです。結婚からまもなくして気づく
こともあるでしょうが、数十年後、夫がリタイアして一緒にい
る時間が急に増えたことで、それまでは見過ごしていた不一致
が問題としてどんどん浮上するケースも考えられます。
そもそも人間は、自分自身のことですら理解できず、自分を
100%好きになることも難しいものです。それが他人となれ
ばなおさらです。たとえ夫婦であろうと、適切な距離や愛着の
レベルが存在していて、そこに過不足があると、途端に不一致
が粗(あら)として感じられるようになってしまうのです。
(107~108p)
夫婦の長続きの秘訣は「適当な距離感」なのですね。
参考にします。
話は変って・・・
哺乳類のうち、かなりの種が、個体としての脆弱性をカバーす
るために、集団を形成するという方法をとります。特にヒトで
はその傾向が顕著となり、ともすれば、集団主義をとりやすく
なる性質を持っています。
そして、なぜかこうした別々の集団は、互いに対立しやすくな
ります。集団主義とは「自己の所属している集団が集団であり
続けることこそが正義」というもので、ことによってはその他
の倫理観がすべてオプションになってしまうくらい強い優先度
があります。
(中略)
集団の一因であることそのものが、生物としての安全性を高め、
生活の効率を高めるための武器になるため、集団への所属と、
所属した集団の持続そのものが最優先の目的となります。正義
という言葉を使うのであれば、何があろうと所属している集団
が続くこと、そして集団の存続を脅かすものから集団を守るこ
とこそが正義なのであって、それ以外に優先すべきことなどな
いというわけです。
(110~111p)
幸いにも私は、日本が戦争の時代に生きていません。
戦時中の日本人は、「日本」いやもっと身近な集団「家族」を
守ることが正義であり、命懸けで守ることだと思ったでしょう。
人間の脳はそういうものなのです。
そのような雰囲気に異を唱えることができた人は、
多くの人たち以上に知識を得ていて、
前頭前野を発達させていた人だと思いました。
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