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2020年1月27日 (月)

「脳科学者の母が、認知症になる」③ 現在の認識が弱まるために昔との区別ができない

  

今日は令和2年1月27日。

  

前記事に引き続き、

脳科学者の母が、認知症になる

(恩蔵絢子著/河出書房新社)より引用していきます。

  

 

頭は集中して使えば使うほど活性化すると思われているかもし

れないが、実はそうではない。集中すればするほど活動する領

域はもちろんあるが、休めば休むほど活動する領域もあるので

ある。では、休んでいるときに一体脳が何をしているかという

と、主に記憶の整理だ。(中略)

眠っている間、休んでいる間だからこそ、経験の整理整頓がで

きるのである。集中することも大事だが、休憩も、脳は同じく

らい必要としている。

(55p)

  

これは知っているぞ。今まで勉強してきたことの復習。

  

  

アルツハイマー型認知症で委縮するのは「海馬」である。すな

わち、長期記憶の中では、宣言的記憶(言葉で語れる記憶)へ

の影響は深刻だ。しかし同じ長期記憶でも、大脳基底核や小脳

が司る、言葉でなく体で覚えた非宣言的記憶には影響がないは

ずで、覚えているはずだし、思い出せるはずなのである。

(78p)

   

身体で覚えたことは忘れない。

私だったら何がそれにあたるのだろう。

自転車に乗ること。

道草をすること(ブログを書くこと)。(これは無理か?)

  

  

昔のことが現在のことと混ざり合って区別が付かない、という

問題はどうだろう。

これは、海馬の委縮のために、母の中では、「今ここ」のこと

を覚えられず、「現在」についての認識が弱まっていて、だか

ら相対的に、「昔」の記憶が強烈になっているせいだ、と考え

ることができる。母にとっては、今よりは、昔の方が鮮やかで、

頼れるのである。

(85p)

    

父親と話していて、いきなり父親の父親の話が出ることがあります。

私にとって祖父であり、私は全く覚えがない祖父です。

私がものごころつく前に亡くなっています。

「おれの親父はどうなってる?」と聞いてきます。

「もうだいぶ前に死んじゃったよ」

「そうか、死んだか」

きっとその時には、父親は祖父の顔を思い浮かべているんだろうなと

思います。

  

  

健康な人の場合は、現在の物事も鮮やかに知覚され、認識され

ており、現在と昔との区別がされるのだが、アルツハイマー病

で海馬に問題が起こっている母には、現在の認識が弱まるため

に、昔との区別がうまくつかないことがあるのだと思われる。

むかし、私と兄が子供だった頃の母の記憶や、そのさらに昔の、

母自身が子供だった頃の記憶が現在にそのまま侵入してくる。

(88p)

 

なるほどです。

非常にわかりやすいし、父親にあてはまります。 

12年前に亡くなった私の母親の話はほぼ毎日でます。

「お母さんはまだ帰ってこないのか」

「お母さんは調子が悪くて寝ているのか」

などと聞いてきます。

「お母さん」というのが、父親の奥さん。私の母親です。

  

  

つづく 

  

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