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2019年10月24日 (木)

「死の淵を見た男」/原発が誘致された理由

今日は令和元年10月24日。

  

前投稿に引き続き、「死の淵を見た男 吉田昌郎と

福島第一原発の500日」(門田隆将著/PHP研究所)より

引用していきます。

  

冬場が来れば一家の主が大都会に出稼ぎに出ることが

あたりまえだった福島県双葉郡。

その地元を活性化させるために原発誘致を目指す自治体側と、

初の原子力発電所をこの地に誕生させたい東京電力との

意向が合致し、福島第一原発の一号機は、

1966年末に着工したのである。

東京電力で誘致に特に熱心だったのが、

福島県伊達郡の梁川町(現在の福島県伊達市)出身の

木川田一隆社長(当時)である。

なんとしても出身地・福島県に原発を誘致したかった

木川田の思いは、冬場は出稼ぎに頼らざるを得ない

福島県の浜通りの貧困さと無縁ではなかっただろう。

(16p)

 

なぜあの場所に原発があったかの歴史は知っておくべきです。

※関連:ここでも道草 「中間貯蔵施設に消えたふるさと」③/売却を説得した渡辺さん(2019年10月8日投稿)

その上で、どうしたらよかったのか。

これからどうするかです。

  

 

福島第一原発の1~4号機の非常用ディーゼル発電機と

配電盤は、海面10メートルの敷地にあるタービン建屋の

地下室に設置されていた。

福島第一原発の津波の想定は、建設時には約3メートル、

その後、2009年には、およそ6メートルの高さへの

対策となった。

しかし、それ以上の高さに対する備えは、

まったく施されていなかった。

非常用ディーゼル発電機やメタクラ(メタル・クラッド・

スイッチ・ギア metal clad switch gear)呼ばれる

高圧配電盤がタービン建屋より高い場所に移されることはなく、

今回の津波によって、ひとたまりもなく

水没してしまったのである。

そこにこそ、自然災害に対する東電の油断と驕(おご)り、

さらに言えば慢心が存在したのではないか、と思われる。

(54p)

    

この事故はやっぱり教訓にならないといけないのです。

台風15号、19号の被害もしかり。

自然災害の想定を上げなければいけないのですね。

個人レベルでも。

   

 

吉田(昌郎)は、そんなことを指示しながら、

「次」のことを考えていた。

消防車の手配である。原子炉を冷やすことができなければ、

直接、水で冷やすしかない。

水なら海にいくらでもある。

では、その水をどうやって運ぶか。

「とにかく水で冷やすほかはない。では、もし、

水を入れられなかったら、どうなるんだろうと。

それはもうずっと、その時から思っていましたね。

私は水をプラントに入れるには、消防車しかない、

と思いました。

海からの距離がありすぎて、消防車のホースが

届かなければ、消防車を”つなげばいいじゃないか”と。

そう考えました。」

多くの専門家が驚くのは、この早い段階で吉田が、

消防車の手配までおこなわせたことである。

(59p)

  

対応策が浮かぶかどうか。

それまでの体験・知識をフル稼働して

アイデアが浮かぶかどうか。

これはどの仕事でも、追い込まれた時には、

浮かぶ頭にしておきたいと思います。

  

  

(元大熊町長の)志賀は昭和6年(1931年)10月に

生まれた。福島県双葉郡熊町村(注=現在の大熊町)の

夫沢(おっとざわ)である。

彼ほど福島第一原発にあるこの地の変遷を知る人物は

おそらくいないだろう。

志賀はこの地がただの原野だった頃、

そして戦時中に造成されて陸軍の飛行場になった時期、

さらには戦後に同地が塩田になった時も、

そして福島第一原発がつくられ、近代的な施設が

立ち並ぶ地に変貌したすべてを目撃し、

そして、それらに直接かかわってきた人物なのである。

(84p)  

 

私が今行きたいと思っているのは福島県大熊町です。

関連:ここでも道草 「中間貯蔵施設に消えたふるさと」①/中間貯蔵施設とは?(2019年10月8日投稿)

知識を積み重ねておいて、

実際に現地で味わってきたいと思っています。

この本を読んだ理由でもあります。

  

 

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