« 脱炭素と脱原発は同時にできない | メイン | 「2020年6月30日にまたここで会おう」② パラダイムシフトは世代交代 »

2023年4月16日 (日)

「2020年6月30日にまたここで会おう」① カリスマに頼らない生き方

    

今日は令和5年4月16日。

  

この本を読みました。

71we2eokcsl

amazon

「2020年6月30日にまたここで会おう」

(瀧本哲史著/星海社新書)

  

本講義は、去る2012年6月30日、東京大学の伊藤謝恩ホール

にて行われたものである。生徒の参加資格を29歳以下に限定、約

300人の10代、20代が全国から集結した。

  

本の巻頭にこうやって書いてありました。

10年前に遡っても、50代ですが、読んでみました。

  

で、ワイマール共和政というのは、第一次世界大戦後にドイツにで

きた政体ですね。皇帝が退位したあろに、基本的人権とか社会権も

明記したきわめて理想的な憲法がつくられて、素晴らしい民主的な

国家ができたんです。

ところが、理想だけは素晴らしいのに内実はボロボロで、政党はま

とまらない国としてダメダメで、もうほんとにダメだってときに、

元軍人の、といっても伍長でしたが、ひとりの売れない画家の人が、

「俺がなんとかしてあげよう」と言って、出てきました。

そして国民の多くも、「この人がなんとかしてくれるかもしれない」

と思って、その人を祭り上げてしまったわけですね。

その人、最初のうちはホント良くて、経済生活が大当たりして国の

景気もむちゃくちゃ良くなり、「やっぱりあの人に任せて良かった」

と国民の多くが思ったんですが、その後どんどん変なことをやり始

めて、あちこちにいろいろな敵をつくって攻撃したり、やたら戦争

を起こしたりして、結果的にドイツは大変なことになりました。

はい、ナチスのアドルフ・ヒトラーって方です。

けっこう今、日本もそれに近いところがあるんじゃないかと心配し

ています。

ちょっと前も、理想的な政権がつくられたはずだったんですけど、

フタを開けてみたらぜんぜんダメで、「西のほうにすべての問題を

解決してくれるいい人がいるかもしれない」みたいな流れが、最近

ありますよね(編集部注:大阪府知事、大阪市長を歴任した橋本徹

氏のこと)。

でも、それってまずいんじゃないかと思うんですよ。そういうこと

じゃないんじゃないかと。

誰かすごい人がすべてを決めてくれればうまくいく、という考えは

たぶんに嘘で、「みなが自分で考え自分で決めていく世界」をつく

っていくのが、国家の本来の姿なんじゃないかと僕は思っています。

本にも書きましたが、仏教には「自燈明(じとうみょう)」という

言葉があります。開祖のブッダが亡くなるとき、弟子たちに「これ

から私たちは何も頼って生きていけばいいのでしょうか」と聞かれ

て、ブッダは「わしが死んだら、自分で考えて自分で決めろ。大事

なことはすべて教えた」と答えました。

自ら明かりを燈せ。つまり、他の誰かがつけてくれた明かりに従っ

て進むのではなく、自らが明かりになれ、と突き放したわけです。

これがきわめて大事だと僕は思いますね。

(11~13p)

    

たくさん引用しました。

大事だと私も思ったことです。

文中にある「理想的な政権」とはどの政権だろうか?

講義があったのは2012年の6月。

民主党政権が2009年9月~2012年11月でした。

この政権を言うのでしょうね。

  

「ヘッジファンドの帝王」と呼ばれる、ジョージ・ソロスという人

がいます。投資の世界では超ビッグネームですが、みなさん、ご存

知ですかね?

(中略)

この人は1930年にハンガリーで生まれたユダヤ人でして、ナチ

ス・ドイツにユダヤ人が迫害されまくっていた時代に少年期を過ご

しました。

戦争が終わったあともソ連が侵攻して国が混乱していたのでイギリ

スに移住し、今はアメリカに住んでいます。

(中略)

根っこに哲学があって、戦争で苦労した経験から人間の自由意思を

何より大切に考えるようになった人なので、ファンドマネージャー

として巨額の資産を持つようになってから、自分の思想の正しさを

証明するために、「意見の多様性がない東欧の共産主義国を倒そう」

という無謀な計画を立てるんです。

で、いろいろなことをやったんですが、ほとんどうまくいかなかっ

たらしいですよ。ところが唯一成功した施策がありました、それが

「コピー機を国中にバラまく」ことでした。

なんでコピー機をバラまくのがよかったかというと、共産主義国家

では、国内にあるコピー機や印刷機はぜんぶ国家に管理されてるん

です。つまり、自分の意見や主張を紙に印刷して広く発表する方法

がなかった。

それでソロスが私財をはたいてコピー機をバラまいた瞬間から、い

ろんな活動家が自分のビラをバラまくようになって民主化運動が盛

り上がっていき、その結果、母国ハンガリーだけでなく、ポーラン

ドとかチェコスロバキアとかの東欧の国々がソ連から独立するのに

成功したと言われています。

(13~16p)

  

要するに「何かすごいリーダーをひとりぶち上げるより、世の中を

変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわからないけ

れども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をした

ほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか」と

いうこと。

(17p)

  

コピー機をばらまく手段は面白いなと思いました。

現在はネットを使っていろいろな人が主張しています。

カリスマが生まれにくい状況だと思います。

10年前より、いい時代になってきていると思います。

  

コメント

コメントを投稿

最近の写真

  • Img_8523
  • Img_8520
  • Img_8519
  • Img_8518
  • Img_8522
  • Img_8521
  • Img_8517
  • Img_8512
  • Img_8510
  • Img_8508
  • Img_8507
  • Img_8504

楽餓鬼

今日はにゃんの日

いま ここ 浜松

がん治療で悩むあなたに贈る言葉