「JAL裁判」を読みました
今日は令和5年2月3日。に、なっちゃった。
この本を読みました。
「JAL裁判」(青山透子著/河出書房新社)
1985年8月12日に墜落した日本航空123便に
関わる情報開示請求裁判の記録です。
最初の訴状が出されたのが2021年3月26日。
そして東京地方裁判所の判決が出たのは、
昨年の10月13日。
この本は、これらの期間の裁判の様子を伝えるノンフィクションです。
引用していきます。
どこの世界に、公文書となったものをわざわざ私文書に戻し、それの
開示を拒む企業があろうか。公務員であれば当たり前におかしいと皮
膚感覚で感じるだろうし、一般人もさすがに社会性がある人は気づく
だろう。これらの事故調査委員会の行為そのものが不正行為で、わざ
と自分たちの責任逃れのために返却した、と言えるだろう。さらに公
文書であった資料の開示を拒む立場でもないにもかかわらず、JAL
が非公開を主張しているその思惑はいったい何か。これも裁判中に明
らかにしなければならない。いずれにしても、あってはならないこと
なのである。
(43~44p)
ボイスレコーダーとフライトレコーダーが、
私企業のJALに戻されたことについての青山さんの意見です。
公文書だったものが、私企業に戻されるのは
異常なことだというのがこの本で気がついたことです。
ここまでの裁判を通じて見えてきたJALの方針と姿勢をまとめてみ
る。
大前提として、JALは、520人のお客様を墜落させた真の原因を、
いつでも知り得る環境にある。従って、裁判開始前にも、ボイスレコ
ーダーを聞いてチェックしているはずである。そのうえで、墜落死さ
せた乗客の遺族・吉備素子さんの「知る権利」を無視し、その訴えに
まともに答えようとする努力すらしてこなかった。さらに、真の墜落
原因がわかってしまうボイスレコーダー等の生データを、遺族から隠
そうとする方針を固めた。情報開示請求に対して、まともに正面から
答えずに適当にはぐらかすという弁護方針を立てたと推定する。
従って、あのような説得力に欠けた合理性のない答弁書を平気で出し
た。そして、仕方がなくやらされているという姿勢と言動につながっ
た。もしそうでなければ、このJAL訴訟代理人弁護士は、まともな
答弁書が書けないほど、程度が低いことになる。最高裁まで行くとし
ても、そのうち遺族は死ぬから大丈夫という魂胆もあろう。この裁判
は、時間稼ぎのようなものである。
(244~245p)
青山透子さんが見て書いている、JAL側の弁護士は、
本当にやる気があるのかと思える姿です。
原告の弁護士たちは、しっかり資料を作成して、
訴えているのに、JAL側の弁護士の資料は貧弱です。
こんなのだったら、原告が裁判に勝つだろうと思えました。
それなのに、判決は「原告の請求をいずれも棄却する」でした。
不可思議なことです。
何か裏があるのではと思ってしまいます。
つまり、「生存者を助ける」という当たり前の行動を妨げた人間が
いた、という事実である。
その人間とは中曾根康弘氏であり、日本政府であり、自衛隊という
組織であり、この飛行機を運行していた日本航空である。少なくと
も米軍は救助に向かい、横田基地に降りて良いと許可を出している。
それをしなかったのは明らかに日本政府であり自衛隊である。彼ら
は、生存者の救出よりも自分たちの都合を優先することばかりを考
えた。防衛庁も米軍のせいにしてことを丸く収め、日本人のためで
も、日本国のためでもなく、自衛隊の失態を隠すことを優先させた
のであろう。
救出の著しい遅延と現場破壊が、生存者捜索や救助よりも先に行わ
れたという事実は、最も悪質で罪深いことである。
(284~286p)
もう123便墜落事故の真相は、この文章の通りに見えているのです。
恐ろしい出来事であったことは、予想されているのです。
でも証拠がない。
それがボイスレコーダーとフライトレコーダーなのです。
やはり悪いことをした者は裁かれないといけないのです。
たとえもう存命ではない方だとしても。
昨年10月13日に判決が出たときに、
そのことをしっかり報じたニュース番組は皆無だったようです。
たった一つのテレビ局でいいから、吉備素子さんの37年間の夫への
想いと、JALの主張することが果たして本当に正しいのかという疑
問を取り上げて、判決がこれでいいのか、といった問題提起を行うべ
きだろう。
(309p)
退職してから、朝や昼に放映している報道番組(ワイドショー?)を
時々見ます。
最新の出来事を紹介しています。
でも、この裁判については、触れた番組があるとは聞いていません。
どうなっているいんだ、テレビ番組よ。
影響力をもっと発揮するべきだと思います。
特集番組をやったなら、私は録画して、生徒に紹介するでしょう。
すでに口頭では伝えています。
今月から東京高等裁判所への控訴が始まります。
期日は2月21日です。
注目です。
その数日前の2月18日の午後、
青山透子さんの講演会を聴く機会を得ました。
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