「この国の不寛容の果てに」⑤ 「オープンダイアローグ」
今日は令和3年3月23日。
前記事に引き続き、
「この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代」
(雨宮処凜編著/大月書店)より。
森川すいめいさんと雨宮処凛(かりん)さんとの対談。
森川:私が現在取り組んでいて、いちばん腑に落ちている精神医療
のアプローチが「オープンダイアローグ」というものです。日本語
では「開かれた対話」という意味ですが、患者さんと医師を含む数
人のグループで輪になって、ひたすらお互いの話を聞くというもの
です。フィンランドの精神医療で始まった取り組みですが、これが
功を奏すると、従来のような投薬や強制入院といった医療的介入を
劇的に減らすことができると言われていて、現在世界的に注目され
ている手法です。
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投薬治療を受けている身としては気になる文章です。
受容的に話を聞いてもらう体験がいいのです。
さらに続きます。
森川:これまでの精神科医療というのは、患者さん(相談者)に対
して医療者が権威的な立場にいて、一方的に診断を下し、治療法を
命令する立場にありました。オープンダイアローグでは、それをフ
ラットな関係性にするための工夫をしています。一対一のの対話で
はなく、3人以上にするのもそのひとつです。
当然のことですが、医者も個人としてそれほど豊富な人生経験を持
っているわけではありません。しかし、相談者と一対一で向き合う
と、どうしても知識や権威の圧倒的な差が生まれ、医師のいうこと
を相談者が「聞くか・聞かないか」という関係になってしまいがち
です。精神科医療でいえば、医師の言うことを聞かないなら身体的
な自由を奪う判断さえ、医師の胸先三寸でできてしまうわけです。
こういう関係におちいる危険を回避するために、オープンダイアロ
ーグでは、医療などの専門家はかならず2人以上で参加することが
大切にされています。そうすると、一方の専門家が言っていること
をもうひとりが否定したり、別の見方を示したりします。相談者と
専門家の間の力の差は消えるわけではありませんが、専門家が2人
いることで権力が相対化されて、結果として対等な関係に近づくん
ですね。
雨宮:なるほど。
森川:ひとりの医師の固定された視点ではなく、複数の視点で見る
ことで、相談者にとっても見える世界が広がります。相談者だけで
なく専門職側も同様です。さらに、専門家だけでなく、たとえば相
談者のご両親に入ってもらうとか、複数の人が参加することで、そ
れぞれの人生経験が重ねあわされて、立体的な世界が立ち上がって
くるんですね。
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私は心療内科では一対一です。
それが普通だと思っていました。
「オープンダイアローグ」という診断方法?も面白いなと思います。
もう少し具体的にどのようにやっているのか知りたくなりました。
「オープンダイアローグ」だと、時間的にも余裕が欲しいし、
医師も1人ではなく複数です。
どれくらいの頻度で行っているのだろう。
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