「自転しながら公転する」③ 配偶者の死の影が及ぼすもの
今日は令和2年12月20日。
今年も押し迫ってきました。
昨日図書館で借りた本の、返却期限はいろいろ来年となり、
1月9日でした。
前記事に引き続いて
「自転しながら公転する」
(山本文緒著/新潮社)より。
配偶者の死の影は、親のそれとはまったくの別物だった。自分の土台を
容赦なく崩されるような衝撃だった。
(229p)
夫が癌であると宣告された時のことです。
こう思うのだろうか。
そうなりそうだと思ったので、引用しました。
結婚したらこんなふうにどこへ出かけても同じ家に帰るのだなと都は
思いながら、とろんと眠いような幸福を感じつつ彼と手をつないで夜
道をぶらぶら歩いた。
(237p)
なるほどと思いながら読みました。
当たり前になっているけど、確かに家族は同じ家に帰っています。
結婚によってそうなっています。
すごいね。
とうとう絵里もお母さんになってしまうのか、と都は思った。友人の
妊娠はよかったと思う反面、結婚よりもずっと、その人が遠く離れて
いってしまうような淋しさがあった。
(272p)
そう思うんだ。
わかる気がします。
あれほど隙なくお洒落だということは、彼は人の服装にも目を光らせ
ているのだろう。そう思うと背筋が寒くなった。
(319p)
これは気をつけたい。
自分は自分。他人(ひと)は他人。
自分に厳しい人は、他人にも厳しくなりがち。
自分に甘くなろう。
そうすれば、他人のことは気にならない。
滂沱(ぼうだ)の涙を止められなかった。貫一は都の顔を両手で包み、
ゆっくり親指で涙を拭った。
「今、日本人のふたりにひとりは癌になる」
静かな声で貫一はそう言った。都は目をみはる。
「死因は八〇年代からずっと癌がトップで増える一方。年間の自殺者
は二万人強。先進国の中でトップクラス。交通事故死の約六倍。少子
高齢化率も世界の中でダントツ。社会保障費はばんばん増えて、年金
受給年齢はどんどん上がって、支給額はがんがん下がるだろうな。不
安じゃない日本人なんかいないんじゃねえの」
貫一は子供に言い諭すような顔でそう言った。
(366p)
定年まであと1年3カ月。
身体も最近衰えが目立ちます。
不安ですね。
以上で引用終了。
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