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2020年6月 7日 (日)

「みんなにお金を配ったら」② 21世紀の労働組合のような役割

  

今日は令和2年6月7日。

  

前投稿に引き続き、

「みんなにお金を配ったら ベーシックインカムは世界で

どう議論されているか?」(アニー・ローリー著/上原裕美子訳

/みすず書房)より引用します。

  

 UBIを支持するベンチャーキャピタリスト、アルバート・ウェ

グナーは「人間の基本的ニーズを、働くことへのニーズとは切り離

して議論したい」と主張した。「過去200年ほど、人は働く義務

があるという前提のもとで、この世界は築かれてきた。今われわれ

が語っているのは、それと同じ経済にひと工夫加えるという話では

ないーーー人類が農業社会から産業社会へと移行したときと同じ、

根幹的な改革を議論しているのだ」

(32p) 

 

「働かざる者、喰うべからず」は有名な言葉。

人が働かない社会・・・

そんな社会がまもなくやってくるのでしょうか?

  

 音楽産業を例に考えてみよう。1990年代後半、あなたも好き

な曲を集めたお手製カセットテープをプレゼントする経験をしたか

もしれないが、いわゆる楽曲の売上高はこの頃がピークで、以降は

壊滅的に減少した。人々が音楽を聴かなくなったわけではないーー

ーむしろその正反対だ。技術進歩が、音楽業界が長年頼ってきた金

銭的収入ルートが成り立たなくしたのである。

(34p)

  

やってましたお手製カセットテープ。

1980年代からやっていました。

レコードからカセットテープにダビングしていました。

この30年余りの技術進歩は、

その速さに戸惑いつつ体験しています。

  

  

 テクノロジーは仕事を減らすというよりも、むしろ仕事をみじめ

なもの、単純でつまらないものに変えつつある。

(38p)

  

職人と呼ばれる人たちがきっと減っていくと思います。

機械が精巧になれば、職人並みの商品ができてしまうのです。

  

  

 ピッツバーグのウーバー運転手たちの話を聞き、オルティス一家

の取材をするうちに、はっきり見えてきたことがあった。彼らはー

ーーそして全国の労働者たちが直面しているのは、単に所得が少な

いというだけでの話ではない。そこにはもっと大きな脅威があった。

お金があるかないか、それは人生のハンドルを自分で握れるかどう

かという問題なのだ。ファストフードやライドシェアリングで働く

人々は自尊心を傷つけられていた。自分はいいように使われるだけ

で、見下され、ないがしろにされる存在なのだと。

(54p)

  

 

守られていない労働者。

働く、働かないを自分で決められない労働者。

今回のような新型コロナウイルスが感染拡大によって、

簡単に解雇させられたように。

この人たちにベーシックインカムが関係します。

  

 UBIはこうした人々にただお金と所得をもたらすだけではない

のだ、とわたしは実感するようになった。UBIは、いわば21世

紀の労働組合のような役割を果たす。労働者の手にパワーを取り戻

し、労働者を会社にとってのコストではなく投資対象として抜本的

にとらえ直させる後押しになる。ベーシックインカムがあれば、労

働者はあまりに賃金の安い仕事を拒否できる。ベーシックインカム

があれば、よりよい福利厚生を要求できる。ベーシックインカムが

あれば、企業は人材確保のために他社に負けない待遇を用意せざる

をえなくなる。

(54p)

  

今まで全く考えたことがなかったことです。

ベーシックインカムによって、このような状況になる可能性が

あるのですね。

勉強になった。

  

つづく

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