「みんなにお金を配ったら」③ 貧困という理由においてさげすんでいる
今日は令和2年6月7日。
前投稿に引き続き、
「みんなにお金を配ったら ベーシックインカムは世界で
どう議論されているか?」(アニー・ローリー著/上原裕美子訳
/みすず書房)より引用します。
サンテンスが考えるUBIとは、人はしたくない仕事でもしなけ
ればならない、という固定観念から人間を解放するパラダイムシフ
トだ。
(72p)
自分がやりたい仕事では食えないからという理由であきらめる必
要はない。起業するのも、育児に専念するのも、芸術活動を始める
のも自由だ。
(72p)
ベーシックインカムがあれば、
上記の考え方もできるというわけです。
起業するには資本がいるぞとは思いますが、
おおむね納得できます。
1964年の一般教書演説の際、ジョンソン(大統領)は両院合
同会議の場で「多くのアメリカ人が希望のない暮らしをしているー
ーーある者は貧困のせい、ある者は肌の色のせい、そして多くが両
方のせいで」と語った。
(121p)
60年近く前のことですが、これが現在に至るまでの
アメリカの実態のようです。
この本を読んでわかりました。
貧困者への差別、白人以外の人種への差別は依然としてあるのです。
貧困層を貧困という理由において区別し、除外し、さげすんでい
る。
(130p)
貧困とは、経済学者が昔から主張していたように、欠乏や喪失の
問題であると同時に社会からの疎外という問題でもあるのだ。だと
すればUBIのような全員一律で無条件の現金給付プログラムは、
単に経済的負担を軽減するだけではなく、社会的疎外という問題を
解決する手段としても考えるべきではないかーーーたとえば有色人
種の子どもの将来性を阻む人種差別や、女性の収入に天井を設ける
ジェンダー格差や、その他何千何百という不平等、差別、不均衡の
解決に取り組む道になるとは考えられないだろうか。
(134p)
新型コロナウイルスの感染拡大は、
アメリカの社会の不備を表出したと思います。
本に書かれているアメリカの実態が、最近のニュースでよく見えます。
つづく
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