「夏の騎士」① 騎士道は女性に愛と忠誠を誓う
今日は令和2年5月10日。
勤務校の図書室にある本です。
借りて読みました。
生徒が登校するようになったら、
読むことを勧めたい本となりました。
「夏の騎士」(百田尚樹著/新潮社)
気になった文章を引用します。
(安西先生)「騎士というのは、日本で言えば侍だな。日本に武士道
があるように、西洋には騎士道がある。この二つはよく似ているが、
実は決定的に違うことがひとつある」
安西先生はクラスを見渡して言った。
「さっきドン・キホーテの話でしたように女性に対する姿勢や。武士
道には女性は出てこないが、騎士道は女性に愛と忠誠を誓う。実はレ
ディーファーストというのは、その名残りなんや」
(42~43p)
なるほどです。
「ドン・キホーテ」「三銃士」
どちらも女性が重要です。
女性のために頑張ります。
突然、陽介が口を開いた。
「4年の終わりに、女子だけ体育館に集まったのを覚えてるか」
健太はうなずいた。そのことはぼくも覚えている。体育館の窓に黒
いカーテンが張られ、男子が覗けないようにされていたという噂だっ
た。その日は男子だけが早く帰れるということで、ぼくらは大喜びで
帰宅した。
「すごいスライドが上映されたらしいで」
「し、し、知ってるよ、あ、あ、あそこから血が出るビデオやろ」
健太がいつも以上にどもりながら言った。
その話はぼくも聞いていた。といっても、それが具体的にどのよう
な生理現象なのかは知る由もなかった。ただ、保健体育の教科書で、
女子は大きくなるとあそこから血が出るということを知って、腰が抜
けるほど驚いた記憶がある。そして、女子とは恐ろしい生き物なんだ
と思った。高学年になると、胸が膨らんだり、あそこから血が出たり、
低学年のころとはまるで違った生き物になる。それはまるで芋虫から
蝶になったりカブトムシになったりする完全変態の昆虫のようにも思
えた。女子と比べると、男子はバッタかゴキブリみたいな不完全変態
の昆虫だ。
(63~64p)
先に成長する女子を、幼い男子はこんなふうに見るのかな。
完全変態、不完全変態の例えは面白いと思いました。
体育館に女子だけ集めて映像を見せ、男子は早帰り。
そんなことをやった小学校があったのかな?
私の体験ではありません。
妄想の世界では、ぼくは常に輝ける存在だった。できないことはな
い。その気になればテストはいつだって満点がとれたし、学校の誰よ
りも速く走れた。ハットトリックもできたし、140キロのストレー
トを投げることもできた。いざとなれば空さえ飛べた。そして、有村
由希子は、ぼくに恋焦がれていたのだーー。
小学校時代の自分の妄想を思い返すと、苦笑しかない。多かれ少な
かれ子供とはそういうものかもしれないが、ぼくの場合は、それがい
ささか度を過ぎていた。人は誰でも、自らが思い描く理想の自分がい
て、それは多くの場合、現実の自分とはかなりの開きがある。人はそ
の差を埋めようとして努力するわけだが、中には理想像を描くだけで
満足して、少しもその差を埋める努力をしない人間がいる。それが小
学校時代のぼくだった。
(85~86p)
私も小学校6年生で妄想していました。
マラソン日本一です。
中学校で現実を知って挫折しました。
つづく
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