「夏の騎士」② 勇気こそ、人生で最も大切なもののひとつ
今日は令和2年5月10日。
前記事に引き続き、
「夏の騎士」(百田尚樹著/新潮社)
より引用します。
帰宅すると、早速、算数の教科書を開いた。そして壬生に教え
てもらった文章題の復習を始めた。壬生に言われた通り、同じ問
題を反復して解いた。壬生は「わからないときは、解答を見ろ」
と言っていた。
「本当はしっかり考えたほうがええにゃけど、時間がもったいな
い。解答を見て、そのやりかたを覚えるほうが早い」
壬生の言われた通りにしたら、よく理解できた。それで初めて
ひとりで勉強に取り組むことができた。
ただ、これで勉強が楽しくなったと言えば嘘になる。なにもせ
ずにごろごろしているほうが二倍は楽しいし、マンガを読んだり、
テレビを観ているほうが10倍は楽しいし、ドラクエをやってい
るほうが100倍は楽しい。でも、以前より苦痛でなくなったの
はたしかだ。それに、ゲームやテレビでは味わえない充実感のよ
うなものがあった。この感覚はそれまでに味わったことのなかっ
たもので、この後、より一層強く感じることになる。
大人になって理解したことがある。世の中には、一流大学に合
格する人は勉強が好きな変わり者だと思っている人が少なくない。
もちろん一部にはそういう人もいるだろうが、優等生にとっても、
やはり勉強は面白くないのだ。ただ、彼らはその苦痛を充実感に
変えたり、その結果得られることを、楽しさに変換しているだけ
なのだ。一流のスポーツ選手は激しいトレーニングを行うが、筋
肉が負荷に悲鳴を上げ、溜まった乳酸が「もうやめろ!」と叫び
出すようなことが快楽のはずがない。それでもアスリートにとっ
て、それらはやはり「楽しいこと」なのだ。そこには達成感があ
るからだ。別の譬(たと)えで言うと、登山のようなものだろう
か。一歩一歩足を動かすと、確実に上へ行く。テレビをどれほど
観ようと、何時間ごろごろしようと、その達成感は味わえない。
(136~137p)
最後に登山に例えてくれたことで、腑に落ちました。
「筋肉」「楽しい」でイメージしたのは番組「筋肉体操」の
谷本道哉さんです。
筋肉体操中の声かけは印象に残るセリフが多いです。
「楽しい」「うれしい」「喜ぶ」が含まれる言葉が
多いように思えます。
たとえば・・・
「キツくてもツラくない!キツくても楽しい!」
昨年はこんな本も出版されました。
あの夏、ぼくが得たものはそれだけではない。それは勇気だ。
でも勇気は決して天から舞い降りてきたものではない。幸運に
恵まれて道端で拾ったものでもない。
人はみな勇気の種を持っている。それを大きな木に育てるの
は、その人自身だ。そして勇気こそ、人生で最も大切なものの
ひとつだ。ぼくが今もどうにかこうにか人生の荒波を渡ってい
けるのは、わずかな勇気のお陰だ。
(249p)
「勇気」はいくつになっても必要です。
まだまだしょぼい「勇気」を時には奮い立たせて、
毎日を過ごしています。
これで「夏の騎士」からの引用を終えます。
「星ちりばめたる旗」
「近松よろず始末処」
「100時間の夜」
「パーマネント神喜劇」
「美しき愚かものたちのタブロー」
いつの間にか勤務校の図書館の本を6冊読みました。
どの本も生徒にお薦めです。
お薦めの本が勤務校の図書室にあるという状態は
なかなかいい気持ちです。
休校中の収穫の一つです。
こうなったら10冊を目指す!
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