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2020年3月29日 (日)

「美しき愚かものたちのタブロー」① 主人公の1人、松方幸次郎

今日は令和2年3月29日。

  

勤務校の図書館の本5冊目を読破しました。

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美しき愚かものたちのタブロー」(原田マハ著/文芸春秋)

 

原田マハさんの本は2冊目。

ここでも道草 研究授業直前に「たゆたえども沈まず」読破(2017年11月29日投稿)

  

国立西洋美術館の誕生にかかわった人たちの話です。

今まで全く関心がなかった国立西洋美術館でしたが、

このようなことがあってできたのだと知って、

機会があったら行ってみたくなりました。

  

印象に残った文章を引用していきます。

   

  

松方幸次郎は、明治の元勲で総理大臣も務めた松方正義(まさよ

し)の三男として生まれた。アメリカのエール大学で博士号を取

得するほどの秀才で、国際的な感覚の持ち主であった。父の秘書

官として働いたのち、神戸川崎財閥の創始者、川崎正蔵にその才

覚を見込まれて、川崎造船所の初代社長となる。その他にも神戸

新聞、神戸瓦斯などの社長も兼任し、神戸商業会議所(のちの神

戸商工会議所)の会頭や衆議院議員を務めた。戦前、戦中、戦後

を通して、日本の政財界に大きな影響を与えた大人物であった。

(17p)

  

この本の主人公の1人が、松本幸次郎。

首相になった松方正義はかろうじて聞いたことのある人でしたが、

その息子がである幸次郎のことが、

この本を読んで認識できました。

  

  

この本は、時代が20世紀前半になったら、

中盤になったりします。

次の引用な1953年の段階です。

  

故・松方幸次郎が、かつて欧州で買い集めた西洋絵画・彫刻の作

品群〈松方コレクション〉総数は数千点にのぼるとも言われてい

たが、実際は正確な数を誰も把握していないーーーということが、

それまでの調査でわかっていた。

〈松方コレクション〉は、大きく分けて三通りの運命をたどった

ということも、すでに田代は承知していた。

一、日本へ持ち帰ったものの、松方の生前に競売にかけられ、日

  本国内外に売却されたもの。

二、ロンドンの倉庫に預け置かれていたが、そこが火災に遭った

  ため消失してしまったもの。

三、パリのロダン美術館の倉庫に預け置かれていたが、戦時中に

  行方不明になってしまったもの。

(60p)

  

3通りの運命のうち、3番目について、戦時中にどこに

あったのかは、この本の後半に詳細に書いてありました。

  

   

銀の匙(さじ)

(64p)

  

この言葉を引用したのは、先日あった出来事に理由があります。

地元スーパーでアイスクリームを買って、

レジで「匙(さじ)」をつけてほしいと頼んだところ、

レジの若い女性に「さじって何ですか?」と聞かれました。

「匙」が通じなかった!

でもアイスクリームを食べるときに、

あの「匙」を「匙」以外の言い方がある?

Icecream_spoon_wood

スプーンとは違うと思います。

でもこうやって、2019年発行の本に「匙」が出てきて

ホッとしました。

  

  

「19世紀後半には欧米を結ぶ航路が整い、新聞、雑誌、電信など、

報道や情報網も整備されました。20世紀になると、ヨーロッパの

流行は時間を置かずに世界へ伝播するようになります。裕福なアメ

リカ人やロシア人、そして日本人もヨーロッパへ渡航するようにな

り、最先端の芸術に触れることも可能になりました。そんな中、フ

ランスの近代美術は、実はフランス人が最初に評価したのではなく、

目の早いアメリカ人収集家や、シチューキンたちのようなロシア人

収集家、そして松方さんのような日本人収集家が、さきに価値を見

出したのです」

前衛芸術家たちの作品、たとえば印象派や後期印象派と呼ばれる画

家たちの一派は、いまでこそ欧米で人気を博しているが、最初のう

ちは酷評され、フランス人はほとんど見向きもしなかった。「印象

派」という呼び名も、モネやドガなどの前衛画家たちが自費で場所

を借りてグループ展を開催したさいに、モネが出展した作品の題名

〈印象 日の出〉をもじって評論家がからかい半分でつけたもので

ある。

(92p)  

 

20世紀になってからは、前衛美術を積極的に収集するコレクター

が次々に現れた。皮肉なことに、フランス人が見向きもしなかった

前衛美術に外国人のほうがさきに価値を見出した。アメリカのレオ

とガートルードのスタイン兄妹、バーンズ博士、ロシアの富豪シチ

ューキンとモロゾフーーーそして、松方幸次郎。

(134p)

  

これも歴史。

いい勉強になりました。

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