« 2019年12月8日 | メイン | 2019年12月10日 »

2019年12月9日

2019年12月 9日 (月)

小説「出口のない海」②古典的なセリフと出合ったのは、きっとこの本

今日は令和元年12月9日。

  

長野のことを書きたいけど、

明日までに本を返さなくてはなりません。

出口のない海」 (横山秀夫著/講談社)から引用します。

  

美奈子を送る並木。

 

「あ、もうここでいいです。ありがとうございました」

橋の袂(たもと)で、美奈子は深々とおじぎをした。そのまま

顔を見せずに小走りして、だが、すぐにスカートを翻した。

「古典的なこと言っていいですか」

「えっ?」

「私、ハダカ見られちゃったんですから、ちゃんとお嫁さんに

してくださいね」

(48p)

  

この古典的なセリフは覚えがあります。

この古典的なセリフに出合ったのは、15年前にこの本を読んだ

時だったのかなあ。

 

 

日本軍の快進撃は束の間の夢だった。

開戦から半年後の昭和17年6月、日本海軍の誇る航空艦隊が、

米海軍の機動部隊がミッドウェー海域で大敗を喫した。わずか二

日間の戦闘で虎の子の主力航空母艦六隻のうち、「加賀」「赤城」

「蒼龍」「飛龍」の4隻を失い、航空機322機と熟練した優秀

なパイロットの大半を海に散らした。

(70p)

  

社会科教師としては、小説を読みながらも歴史の復習です。

子どもの頃、日本の空母の写真が載った本を持っていて、その中で

「飛龍」がお気に入りでした。青っぽい本でした。あの本はどこか

にあるかな。

  

 

北が東京オリンピックのマラソンの候補選手だったという。誰もが

忘れてしまったが、日本では2年前の昭和15年に東洋初のオリン

ピックが開かれる予定だった。その東京五輪は日中戦争突入のあお

りであっさり中止が決まったのだが、中止決定の少し前、北はA大

競走部の監督に見込まれ、奨学金を受けて郷里の長野から上京した

のだという。

(72p)

  

このブログのネタで、幻の東京オリンピックのことは常連になって

きました。「あっさり中止」と書かれてしまったけど、大河ドラマ

「いだてん~東京オリムピック噺~」を見ていると、「あっさり」

ではないなと思います。

  

  

学生の身分ってやつが重たくなっちまったんだーーー。剛原の言葉

は誰の胸にも重かった。とりわけ、日ごろ勇ましいことを言ってい

た津田には堪(こた)えたはずだ。学生は戦争に行かずに済んでい

る。日本が勝ちまくっている間はそれでよかったが、戦局が怪しく

なってくるにつれ、徴兵猶予という特典は確かに後ろめたくもあった。

(86p)

  

「学徒出陣」は歴史的な出来事でしっているけど、当の学生たちが

どう考えていたかは詳しくは知りません。確かに、こう思うだろう

なと思って読んだところです。

  

  

今回はここまで。

午後9時から、ドラマを見ます。

  

小説「出口のない海」①12月8日 日本は冷静さを失っていた

今日は令和元年12月9日。

  

小説「出口のない海」(横山秀夫著/講談社)は図書館に

返す本です。手元に置いておきたい文章を書き留めます。

 

外野のほうでマネージャーの小畑聡が土埃(つちぼこり)を

舞い上げていた。ロイド眼鏡が鼻で弾むほど懸命に走り、

そうしながら両手をメガホンにしている。

「日米開戦だ!日本がハワイの真珠湾を攻撃したぞぉ!」

うおっ、と剛原は吠えた。

「ついにやったか!」

胸のすく思いがした。日中戦争は暗くジメジメした感じがして

嫌だったのだ。勝っているのか負けているのかよくわからない

ままだらだら戦っているし、そもそも相手は日本と同じアジア

民族ではないか。アメリカは違う。腹いっぱい食ってるくせに、

このうえ貧しいアジアを食い物にしようとしている列強だ。相

手にとって不足はないーーー。

(17~18p) 

  

 

1941年12月8日の出来事として描かれたところです。

こんなふうに思った人がいたのでしょう。

 

関連して、昨日12月8日の朝日新聞「天声人語」を書きうつ

します。

  

天声人語

古い文章を読んでいて、この書き手には未来が見えていたのか、

と思うことがある。武者小路実篤の「日米戦争はまさかないと

思ふが」も、その一つだ。日本が米英との戦争を始める17年

前、雑誌「文芸春秋」に載った。▼「恐ろしいことは中々(な

かなか)起(おこ)つて来ないやうに見えて平気で起つてくる

ものである」。そう書き出す文章は、日米戦争のうわさが出て

いることを懸念し、そんな戦争がいかにばかげているかを論じ

ている。▼いわく、日米が戦えば結果は明らかだ。米国も損を

するだろうが、一番ばかを見るのは日本だ。戦争は国を富ます

のではなく貧乏にするものだ・・・。「日本の運命は今実に大

事な時で、狂ひかけてゐるのを感じる」とも。▼真珠湾攻撃か

ら戦争が始まったのが1941年12月8日である。残念なが

ら、その時の武者小路に非戦論者の面影はなかった。「真剣に

なれるのはいい気持(きもち)だ。僕は米英と戦争が始まった

日は、何となく※昂然(こうぜん)とした気持で往来を歩いた。

と開戦直後に書いている。▼文豪の変わりようは、冷静さを失

った日本の姿そのものであろう。国力の差に対する懸念は、勇

ましい声にかき消された。言論弾圧そしてメディアの迎合によ

り批判は失われていった。不況や貧困に対処できない政治は信

頼を失い、軍人に光があたった。▼非戦論者としての武者小路

は「人間の殺しあいや、武力で勝負をきめるなぞと云(い)ふ

時代はもう過ぎてしまつていゝと思ふ」と述べていた。その理

想は今もまだ成し遂げられていない。

   

※昂然=意気の盛んなさま。自信に満ちて誇らしげなさま。

  引用:goo辞書

  

  

情報はいろいろなメディアから得ていこうと思いますが、

冷静さは失わないようにしたいです。

上記のような文章を読むと、あらためてそう思います。

「漫画で読める!出口のない海」は、小説「出口のない海」のダイジェスト版ではなかった

今日は令和元年12月9日。

  

15年ほど前に読んだけど、最近また読みたくなった本。

家の本棚で見つからず、図書館で借りて読みました。

81vefhksjnl amazon ※写真は文庫本。私が読んだのは単行本でした。

出口のない海」(横山秀夫著/講談社)

  

漫画本もあると知って、そちらも借りて読みました。

51hdjvzhyl amazon

漫画でよめる!出口のない海」(三枝義浩漫画/

横山秀夫原作/講談社)

  

私は、この2冊を読んでみて、先入観が崩れました。

小説「出口のない海」のダイジェスト版が「漫画で読める!

出口のない海」だと思っていました。

違いました。

  

出版の順番は「漫画で読める!出口のない海」が先です。

出版の経緯について、次のように書いてありました。

  

この作品は、横田寛(ゆたか)氏によって書かれた『ああ、

回天特攻隊』(光人社NF文庫)をもとに、追加取材のうえ、

脚本をおこし、1995年に漫画化したものです。

  

  

そして、小説「出口のない海」(2004年初版発行)の

出版の経緯は次のように書いてありました。

 

本書は’96年、マガジン・ノベルズ・ドキュメント『(漫

画で読める)出口のない海』(作/横山秀夫、画/三枝義

浩)として刊行された作品を全面改稿したものです。  

  

  

漫画で読める!出口のない海」を元に、より情景や心情を

詳細にして、ドラマチックにしたのが小説「出口のない海

だと思いました。2冊を比較して、横山秀夫さんの創作力の

すごさを感じました。

特に主人公並木浩二の心を揺さぶるライバル的な北勝也なんて、

どうしても気になる存在でした。

(それなのに、映画化された時には、北の存在は薄くなっていて

とても残念でした。限られた時間内で描かなくてはならない映画の

限界でしょうか)

最近の写真

  • Img_9488
  • Img_9481
  • Img_9480
  • Img_9479
  • Img_9478
  • Img_9477
  • Img_9476
  • Img_9475
  • Img_9474
  • Img_9473
  • Img_9472
  • Img_9471

楽餓鬼

今日はにゃんの日

いま ここ 浜松

がん治療で悩むあなたに贈る言葉