小説「出口のない海」②古典的なセリフと出合ったのは、きっとこの本
今日は令和元年12月9日。
長野のことを書きたいけど、
明日までに本を返さなくてはなりません。
「出口のない海」 (横山秀夫著/講談社)から引用します。
美奈子を送る並木。
「あ、もうここでいいです。ありがとうございました」
橋の袂(たもと)で、美奈子は深々とおじぎをした。そのまま
顔を見せずに小走りして、だが、すぐにスカートを翻した。
「古典的なこと言っていいですか」
「えっ?」
「私、ハダカ見られちゃったんですから、ちゃんとお嫁さんに
してくださいね」
(48p)
この古典的なセリフは覚えがあります。
この古典的なセリフに出合ったのは、15年前にこの本を読んだ
時だったのかなあ。
日本軍の快進撃は束の間の夢だった。
開戦から半年後の昭和17年6月、日本海軍の誇る航空艦隊が、
米海軍の機動部隊がミッドウェー海域で大敗を喫した。わずか二
日間の戦闘で虎の子の主力航空母艦六隻のうち、「加賀」「赤城」
「蒼龍」「飛龍」の4隻を失い、航空機322機と熟練した優秀
なパイロットの大半を海に散らした。
(70p)
社会科教師としては、小説を読みながらも歴史の復習です。
子どもの頃、日本の空母の写真が載った本を持っていて、その中で
「飛龍」がお気に入りでした。青っぽい本でした。あの本はどこか
にあるかな。
北が東京オリンピックのマラソンの候補選手だったという。誰もが
忘れてしまったが、日本では2年前の昭和15年に東洋初のオリン
ピックが開かれる予定だった。その東京五輪は日中戦争突入のあお
りであっさり中止が決まったのだが、中止決定の少し前、北はA大
競走部の監督に見込まれ、奨学金を受けて郷里の長野から上京した
のだという。
(72p)
このブログのネタで、幻の東京オリンピックのことは常連になって
きました。「あっさり中止」と書かれてしまったけど、大河ドラマ
「いだてん~東京オリムピック噺~」を見ていると、「あっさり」
ではないなと思います。
学生の身分ってやつが重たくなっちまったんだーーー。剛原の言葉
は誰の胸にも重かった。とりわけ、日ごろ勇ましいことを言ってい
た津田には堪(こた)えたはずだ。学生は戦争に行かずに済んでい
る。日本が勝ちまくっている間はそれでよかったが、戦局が怪しく
なってくるにつれ、徴兵猶予という特典は確かに後ろめたくもあった。
(86p)
「学徒出陣」は歴史的な出来事でしっているけど、当の学生たちが
どう考えていたかは詳しくは知りません。確かに、こう思うだろう
なと思って読んだところです。
今回はここまで。
午後9時から、ドラマを見ます。
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