美の巨人たち「難破船」(ターナー作)
今日は令和元年8月15日。
2018年5月26日放映の「美の巨人たち ターナー作『難破船』」を
見ました。
ターナーについては、今までの4回記事にしてきました。
今回のラストにリンクを並べておきたいです。
〇ターナーは晩年次のような作品を書いた。☟
後年、この作品の影響を受けて、モネがあの有名な作品を
描いたと言われている。☟
ターナーは風景画に優れていました。
ターナーは「ノラム城 日の出」のような
省略された輪郭線のはっきりしない風景画を描いたが、
リアルな風景画も多く書いている。
今回取り上げる作品は、そんなリアルな風景画。
「難破船」☟
〇ターナーが「難破船」を描くことになったのはなぜか。
番組では、次のように迫っていた。
〇ターナーはイギリスの理髪店の子どもとして生まれた。
人とのコミュニケーションが苦手で、
ひたすら絵を描いて、それを店頭に飾っていた。
絵では誰にも負けたくない気持ちがあった。
〇ターナーは、一生家庭を持たず、絵のために生きた人だった。
〇1805年、 イギリス(大英帝国)とフランスの間で
トラファルガーの海戦が行われた。
イギリスは、ナポレオンの海軍を破る。
イギリスの人たちの海への関心が高まった。
〇1802年、ターナーはドーバー海峡で嵐に遭い、
転覆寸前の体験をする。
〇ターナーは、海の美しさを表現(静の海)してきたが、
この転覆寸前の体験から嵐の表現(動の海)をするようになった。
〇ターナーは、人とのコミュニケーションをとるのが苦手だったので、
ターナーの作品にはほとんど人物が描かれていなかった。
〇それなのに、なぜ、「難破船」では人物を描いたのか。
〇当時多くの人に読まれた「難破船」という詩の
影響を受けたと思われる。
聞き書きします。
ブラウンさん:「難破船」に人々の姿が描かれている理由の
一つとして、ターナーがこの本に影響を受けたということが
考えられます。
自然の力を描くには、人間のドラマを絵画に取り入れることが
有効な手段だということに気がついたのです。
ナレーター:そしてターナーが描いたのは、恐怖に震え、
みじめに叫びちらす女。あまりの状況に現実に目をそむける男。
今にも波に飲み込まれてしまいそうな船もあれば、
命運つきたのか、すでに無人となってしまった救命ボートも。
死への絶望と、生への渇望。
極限状態であらわになるさまざまな人間の弱さが、
見事に描き分けられています。
ブラウンさん:ターナーは、作品の中で弱者と強者といった
二項対立の技法をよく用いますが、
この「難破船」では「人間」対「海」という二つの対立を描くことで、
海の力の大きさを誇張したのです。
ナレーター:すべては、海の本当の姿を表現するため。
これまでほぼ描かなかった人間を、
恐ろしい風景と対比することで、
自然の圧倒的な力を浮かび上がらせたのです。
〇絵の右側に、難破した人たちを救助する漁船を描いた。
絶望の淵で輝きを放つ希望の象徴である。
〇漁船に、海洋国家イギリスを重ねたと、番組では推理していた。
いろいろ知ってから絵を鑑賞すると、
味わい深くなります。
今までのターナーに関する記事です。☟
ここでも道草 美の巨人「戦艦テメレール」(2013年9月18日投稿)
ここでも道草 「日曜美術館 ターナー」1.「坊ちゃん」の中のターナー(2013年12月23日投稿)
ここでも道草 「日曜美術館 ターナー」2.雨や霧も貴重な条件(2013年12月26日投稿)
ここでも道草 「日曜美術館 ターナー」3.機関車の前にうさぎ!(2013年12月27日投稿)
6年ぶりにターナーのことを書いたのをいい機会に、
これらを読んで、たぐっておきたいです。
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