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2015年8月27日 (木)

イネの中に身を隠しているタイヌビエ

 

今日は8月27日。

  

本「身近な雑草の愉快な生きかた」(稲垣栄洋著/ちくま文庫)より。

  

イネのことを書いてきたので、この本のイネ関連のことを引用します。

  

先日の田んぼ観察でも見かけていたタイヌビエのこと。

就職前にも農家で働かせてもたい、田んぼのヒエぬきをしました。

田んぼを見渡して、ヒエを発見すると、ずんずん田んぼに入って行き

引っこ抜いていました。

あの時は「ヒエ」と言っていましたが、

おそらく「タイヌビエ」だったと思います。

  

引用します。

  

雑穀の稗(ヒエ)と同じ仲間だが、

食用にならない野生のヒエの仲間は

総じてノビエ(野稗)と呼ばれている。

タイヌビエは「田犬稗」の意味で、ノビエのなかでも田んぼを

専門のすみかとしている雑草である。

一般に陸上で生活するノビエの仲間が発芽するためには

酸素が必要である。

酸素がない環境では発芽することはできないのだ。

ところが田んぼで生活するタイヌビエは酸素がなくても

発芽することができる。

そのため水をはった田んぼでも発芽できる。122p)

  

タイヌビエはイネが育っている中で、

イネと同じような姿をして身を隠しています。

引用を続けます。

  

(タイヌビエは)身を隠しながらも田んぼの肥料いっぱい吸って、

来たるべきときに備えて着実に準備しているのである。

やがてタイヌビエが正体をあらわすときがやってくる。

タイヌビエは蓄えた力で一気に茎を伸ばして、

イネが出穂(しゅっすい)する前に穂を出してしまうのである。

その登場はあまりに鮮やかである。

タイヌビエとイネとはもともとまったく別の種類だから、

穂の形は似ても似つかない。

本性をあらわしたタイヌビエの存在に人間が気がついたときはもう遅い。

タイヌビエはあっという間にバラバラと

田んぼ一面に種子を落としてしまうのである。 (125p)  

  

茎を伸ばして、穂を出す。

タイヌビエもこのやり方です。

穂が出ているのを見てぬいていたので、

う~ん、30年ほど前にやっていた「ヒエぬき」は

手遅れだったんだと気がつかされました。

イネが日本に伝わった時に、

すでにタイヌビエは、混じってやってきたと言われています。

いかにしてタイヌビエを田んぼから駆逐するかを考えてきた人間。

そうならないように身を隠してきたタイヌビエ。

  

水田で繰り広げられる知恵くらべ。

人間とタイヌビエとは、もうこんな戦いを

何千年にもわたって繰り広げてきた。

まさに伝統の一戦と呼ぶにふさわしい戦いである。

タイヌビエはもはや人類の永遠のライバルであるといっても

言いすぎではないだろう。 (125p)

  

  

今度田んぼの観察に行った時には、

イヌビエの穂の様子も写真に撮ってこよう。

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