「15歳のコーヒー屋さん」④ 学校の外で「できること」を見つけた
今日は令和3年3月31日。
昨日の記事に引き続き、
「15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから
ぼくにしかできないことへ」(岩野響著/KADOKAWA)より。
引用します。これがラスト。
ぼくにとってコーヒーは、さまざまな人たちと交流できるきっかけ
でもあります。
「コーヒーが好きなんです」と言うと、「これ飲んだことある?」
「ここのカフェがいいよ」などと話が広がります。
ぼくは初対面の人と話すことや、電話で話すことがちょっと苦手で
すが、コーヒーのことになるとついしゃべりすぎてしまいます。
(144~145p)
話すきっかけになるネタがあるのはいいこと。
私にとっては山、ビール、アイスクリーム・・・でも、
最近これらのネタで語り合ったことがないなあ。
心療内科医・医学博士の星野仁彦さんの文章です。↓
響くんのご両親が、「学校では輝く場所がない。ならば、家の中で
できることをやって、自信を取り戻させたい」と気づき、実行され
たのは奇跡的なことです。
日本は根強い学歴信仰があるので、多くの親御さんにとって、中学
校に行かない選択をさせることはとても勇気がいることでしょう。
まず、学校に行かなくてもよしとしたご両親が素晴らしいです。
(176p)
「おわりに」で響君のお母さんは次のように書いています。
できること探しを積み重ねていったその先に、響にしかできないこ
とが見えてくるのではないかという願いを込めたのです。
それは、響が学校に行けなくなって、家族で悩んで、そしてお店の
オープンにたどり着くまでの生活の中で私たちが気づいて、日々の
暮らしの中でひとつひとつ積み重ねてきたことです。
文字が書き写せない、だけど、ご飯が炊けるようになったね。
運動が苦手、だけど、きれいに掃除機がかけられるね。
自転車に乗れない、だけど、落ち葉をきれいに掃くことができるね。
という具合です。これをもし、学校の中のことだけでやろうとする
とすると苦しかったと思います。
数学が苦手だから、国語でカバーできるというお子さんならいいか
もしれませんが、響の場合は学校の中で別のいいところを探すのは
難しかった。そこで、できないものの代わりは、学習以外のもので
いいと思ったのです。
響はたまたま学校の中で「できること」を見つけることが難しかっ
た子なのだと思います。だから、学校の外や家の中の仕事で、響の
「できること」を見つけただけです。
(187~188p)
「できること探し」という視点は、
支援学級担任としては必需品ですが、忘れちゃうんだよなあ。
「できないことをできるようにする」視点になってしまいます。
このような本を読んで、再認識する必要があります。
何が何でも「学校」という視点も外すべきでしょう。
その子が安定して活躍する場所が、学校外にあるのなら、
まずはそちらで頑張らせたい。
これも持つべき視点です。
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