「15歳のコーヒー屋さん」③ 障害と焙煎士がマッチした
今日は令和3年3月30日。
前記事に引き続き、
「15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから
ぼくにしかできないことへ」(岩野響著/KADOKAWA)より。
引用します。
響君のお父さんの文章です。↓
響君にとって焙煎士が適職だと確信した理由が書いてあります。
発達障害の特性のひとつに、こだわりの強さがあります。響もそう
で、焙煎を始めると時間を忘れて集中できます。しかし、その特性
は、下手をするとこだわり続けるだけで仕事にならないという危険
性があります。
たとえば、響は版画も好きなのですが、響が版画家だとすると、と
ことんこだわり続けて、一枚も作品を発表することができなかった
でしょう。
その点、焙煎は染物と同じで必ず時間があって、否が応でも1時間
で1回の焙煎は終わります。それ以上やっても豆が焦げるので、あ
くまでも時間内で、いかに火加減を調節するかが勝負なわけです。
産地などの食い違いはあるものの、材料はコーヒー豆だけ、と管理
もしやすいのもいいところ。その分、焙煎のスキルを上げることを
深掘りできるので、響に向いていると思いました。(中略)
生まれながら持っていた、響の鋭い味覚、嗅覚といった特性も生か
せると思いました。
(130p)
障害を良くわかっていらっしゃると思いました。
障害と焙煎士がマッチしてよかったです。
しかし、響君は、お父さんの見込みを超えることをします。
本人は次のように書いています。
ぼくはすごく体力があるタイプではなく、どちらかというと力仕事
は苦手です。不器用で集中力もないから、焙煎以外の作業は正直大
変だなと思うことが多いです。だけど、焙煎に関しては疲れること
があまりなくて、いつまでもできてしまいます。
本来、焙煎の仕事はそんなに長時間できる仕事ではないそうです。
細かい火加減の調整など、焙煎の作業は集中力が必要だからです。
そのため、焙煎家の知り合いからも、1日でできて3~4時間が限
度だと聞いていました。でも、ぼくは9時間、10時間やっても平
気なのです。
なぜか、コーヒー豆の焙煎に関しては、わき上がってくるような集
中力がある感じです。
(138~139p)
お父さんはやり過ぎを心配していましたが、
響君は通常の焙煎士の2倍以上のことをやっていました。
さらに響君は、次のようにも言っています。
幸運なことに、自分の好きなことをさせてもらっているので、
何も障害がないんです。
(158p)
焙煎士という職業に出合えてよかったと思います。
お父さん、お母さんは、響君が夢中になるものが、
将来的に変わるかもしれないと考えて、
お店の名前を「HORIZON LABO」という名前にしたそうです。
コーヒー店ではなく、実験室なのです。
どう変化するか不明なのです。
これまた障害のことをよくわかった判断だと思いました。
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