「天声人語」/「あの時代は真っ暗だった」と断じる愚を批判
今日は令和2年10月22日。
今日の朝日新聞朝刊「天声人語」を書き写します。
史料を集めるだけの人。史料を見ないで言うだけの人。そして崩し
字の史料が読めない人。近代史家たるもの、この3類型に陥ってはな
らぬというのが、東大名誉教授の坂野(ばんの)潤治さんの持論だ。
先週、83歳で亡くなった▼幕末から昭和戦前までの80年を研究し
た。書簡や日記など一次史料を精緻に読み、史実の森に分け入る。よ
く言われる「歴史にイフ(もし)は禁物」説には与(くみ)せず、「
あの局面でこうしていれば日中戦争は回避できた」。歴史の脚本を考
え直すのが研究の醍醐味だと説いた▼繰り返し指摘したのは凝り固ま
った戦前・戦中・戦後観。戦後だけが光り輝いたわけではない。戦前
にも民主主義の花が開いた時期はある。それなのに戦中戦前をひとま
とめにして「あの時代は真っ暗だった」と断じる愚を批判した▼東大
や千葉大で教鞭をとった。退官後には腰をすえ、買い集めておいた伝
記や全集などを読み込むが、暇をもてあます日もあったらしい。「現
役時代に時間の無駄に思えた教授会が恋しくなることもある」と自著
につづった▼大震災や政権交代など折々に論考を寄せた。同僚記者に
よると、取材場所には自らファミレスを指定し、ビールでのどを潤し
ながら、伊藤博文や西郷隆盛の教えを自在に語った▼「歴史に学ぶと
いうことは、先人たちの失敗を嘲笑することではなく、先人たちと謙
虚に対話することだ」。いまごろは史料で深く接した福沢諭吉や吉野
作造と語らっているだろうか。ときには杯を傾けつつ。
昨年の大河ドラマ「いだてん」がきっかけになり、
明治後半から戦前のあまり知らなかった歴史を知るようになりました。
最近はスペイン風邪がきっかけで、約100年前のことを
調べるようになりました。
第一次世界大戦についてもだいぶ詳しくなりました。
映画「1917 命をかけた伝令」は素晴らしかった。
先日はこの本も読みました。
※ここでも道草 「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」/カラー化によって今に近づく(2020年10月4日投稿)
戦前・戦中もカラーで見て、身近に思えました。
知らなかった歴史が、徐々に埋っていきました。
その上で、この記事を読むと、なるほどと思います。
戦前戦中は「真っ暗」だと思っていた一人です。
そして最近は「戦争を止めるにはどうしたらよかったのか」
という視点を持つようになりました。
坂野さんは、その答えをいくつも持っているのでしょうか。
失敗を嘲笑するつもりはありません。
過去の人の選択を、自分の生き方の参考にしたい気持ちです。
コメント