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2020年1月2日

2020年1月 2日 (木)

対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 4/4

 

今日は令和2年1月2日。

  

前投稿の続きで、

1月1日朝日新聞朝刊の対談を書き写します。

   

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ブレンディ:日本では、グローバリズム競争を勝ち残るための

  ツールとして「多様性」を標語のように掲げている企業も

  多いと聞きます。

福岡:そうですね。生物学的における多様性は何百万年、何億

  年単位の話なので、人間社会の多様性に目を戻すと、時間

  の射程が短すぎると感じます。その年の増収増益のためと

  か、10年後の世界市場でのシェアのためとか。

ブレンディ:GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、

  アマゾン)などのグローバル企業も、多種多様で優秀な人

  材をかき集めながら、世界中でサービスの画一化を進めて

  いますよね。誰もがどこでも同じように情報発信や共有が

  でき、どの国でも同じ味のコーヒーを飲めるようになった。

  しかし、結局は効率的に売り上げを最大化しているだけで、

  自分の利益のことしか考えていないんじゃないでしょうか。

  多様性とは真逆の方向に見えます。

福岡:私もそう思います。先端企業は「多様な人材でイノベー

  ションを」といいますが、真の多様性とは、違う者の共存

  を受け入れるという、言わば利他的な概念です。本質的に

  は自己の利益や結果を求めるものではない。多様性は、利

  多性になじみがあると思います。

ブレンディ:そうですね。利他性を考えられるのは生物界では

  人間だけなのですか。

福岡:いや、食うか食われるかの生物の世界にも利他的な関係

  性が見えるんです。植物は自らが必要とする以上に葉を作

  って光合成をし、その落ち葉で微生物が増え、葉や木の実

  を食べて虫や鳥は命をつなぐ。もし植物が自己の必要量し

  か光合成をしなかったら、他の生物は存在できません。

ブレンディ:植物もそうなんですか。はたして人間には元来、

  利他的になれる力は備わっているのかな。「他人の靴を履

  いてみる」と言っても、「くさい靴」も「ダサい靴」もあ

  る。考えたくない人の立場に立って発想してみるって、す

  ごく難しい。「他人の靴を履こう」とする力を人間は本来

  的に持っているものなのでしょうか。

福岡:持っていると思いますが、自ら学ぼうとしないと自分の

  利他性に気づけないんです。何も知らないままでは他者の

  立場を考えられない。偏見や強者の支配にとらわれてしま

  います。学ぶのは「自由」になるため。そして「自由」に

  なれば、人間は「他人の靴を履く」こともできると思うん

  です。

ブレンディ:自由になって他人の靴を履くって、しみじみいい

  言葉だなあ。

福岡:山に登ると遠くまで見渡せるように、勉強すれば人の視

  界は広くなる。すると、お互いの自由を尊重し合う力を持

  てるようになります。現在はトランプ氏的な「公平さ・公

  正さより本音」といった流れが世界で強まり、排除の論理

  が大手を振って歩いていますが、人間は「種よりも個が大

  事」と約束した存在です。紆余曲折はあっても、いつかは

  正気を取り戻し、個と個の違いをみんなで認め、共有して

  いこう、という方向へ進みだしますよ。

ブレンディ:そう願っています・・・・いや、私は楽観的なの

  で絶対そうなると思います。多様性っていうと人種や文化、

  LGBTや社会階層など、属性の多様性に目が向きがちで

  すが、実はアイデンティティーは一つじゃない。いくつか

  の組み合わせで一人一人のユニークな「自分」ができてい

  る。その個人が尊重されること、これが多様性なんだと思

  います。日本の社会もそう変わっていけますか。

福岡:日本でもいやおうなく異質な存在と出合う場が増えてい

  ますし、少しずつですが、「個」を尊重する方向に向かっ

  ていると思います。

ブレンディ:私もそんな気がします。いま気づきましたが、先

  生も私も、2人ともかなり楽観的なタイプなのかもしれま

  せんね!

  

  

4回に分けて福岡伸一さんとブレンディみかこさんの

対談記事を書き写してきました。全文書き写しましたが、

一番印象に残って勉強になったのが、

今回太字で色づけした文章です。

 

学ぶことで偏見や強者の支配にとらわれず自由になれる。

相手のことがわかって尊重できる。利他的に動ける。

 

ここが重要!

読書・テレビ視聴・実体験などから学び、

このブログに書くことで、血や肉にしていきたいです。

 

ちなみに今回書き写した記事の全体写真です。☟

Rimg2059

  

 

対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 3/4

  

今日は令和2年1月2日。

  

前投稿の続きで、

1月1日朝日新聞朝刊の対談を書き写します。

  

Epson203_3

Epson202_3  

福岡:「多様性」という言葉は1980年代後半、生物の種の

  多様性が必要だという形で提唱され、次第に広まっていっ

  たのだと思います。

ブレンディ:先生のご専門ですが、「生物多様性」はよく聞く

  言葉ですよね。

福岡:一般にはライオンとか象といった数多くの「種」が存在

  していることを示しますが、実はひとつの種の中に多様性

  が存在することも、その種が生き延びるために不可欠なん

  です。 

ブレンディ:それはどういうことでしょうか。

福岡:何百万年といった生物界の長い時間軸の中では、いつ突

  然、環境が激変するかわからない。そのとき、ひ弱そうな

  個体の方が生き延びるかもしれないんです。種が生き残る

  ためには、個体のバリエーションが豊富な方がいいという

  多様性ですね。

ブレンディ:すごくスケールが大きな話ですね。

福岡:アリには必ず2割程度、忙しいふりをしてサボっている

  個体がいます。この2割を取り除くと、残りの勤勉なアリ

  の2割がまたサボります。天敵に攻められたときに戦うた

  めとか、洪水の際に巣を直すためとか、いろんな説がある

  けどよくわからない。

ブレンディ:面白いですね。人間という種にも、多様な存在の

  仕方があるほうが長い目では得なわけですね。

福岡:そうです。平たく言えば「変わり者」を多く内包してい

  る社会の方が実は強靭(きょうじん)だと示唆してくれま

  す。でも生物学的には、人間ほど多様性に乏しい生き物は

  いません。人間は他の動物と比べ、遺伝子レベルでは非常

  に均等性の高い種です。肌の色や習慣、宗教などほんの小

  さな差異が大きな違いに見えるのは、逆に均質すぎるから

  なのです。

ブレンディ:それは知りませんでした。

福岡:「人種」という言葉がありますが、我々「ホモサピエン

  ス」はどんな組み合わせの男女でも子どもを作れる完全均

  一な種です。でも仮に現在、ネアンデルタール人が生き残

  っていたとしたら、彼らとセックスしても子どもができに

  くい。社会で少数派の彼らが差別される・・・・なんてこ

  とがあったら、これが本当の「人種問題」ですよ。

ブレンディ:今の人種の違いなんてどうでもよくなる、壮大な

  「人種問題」ですね。

福岡:もう一つ、人間は唯一、「産めよ増やせよ」という遺伝

  子のたくらみから脱出できた種なのです。

ブレンディ:「遺伝子のたくらみ」って何ですか?

福岡:例えば、ある種の昆虫は卵を約4千個産みます。大半は

  死んでも、1、2匹生き残って種をつなげばOK。つまり、

  生物において「個体」は「種」の保存に奉仕するための道

  具でしかない。それが「遺伝子のたくらみ」です。しかし

  人間だけは、「個体」に価値があると考えた方がより豊か

  な社会を構築できると気づき、それを人類共通の価値にし

  ようと約束した。それが基本的人権の起源だと思うんです。

ブレンディ:それなのに「個体同士」で争い合う歴史を繰り返

  しています。

福岡:不幸にも人間はつい群れたくなるんですね。そして、人

  種とか民族とか、国家といった階層を作りたがる。それゆ

  えに争いごとが絶えないのです。

  

   

福岡伸一さんの「生物学的」な見方は興味深いです。

基本的人権の起源も、人類が「個体」に価値があることに気づき、

それを人類共通の価値にしようと

「約束」したところからなのですね。

約束だから、本能ではありません。

だから基本的人権の侵害が起こってしまいます。

戦争は最たるものです。

対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 2/4 

  

今日は令和2年1月2日。

  

前投稿の続きで、

1月1日朝日新聞朝刊の対談を書き写します。

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福岡:ここ数年、日本ではやった「忖度(そんたく)」という

  言葉とは対照的ですね。相手の心を想像するのはエンパシ

  ーと同じでも、忖度は自分の身を守るためだけの利己的な

  行為と感じます。

ブレンディ:そうですね。忖度は、自分の利益のために行う防

  御的な行為なのでしょう。日本社会に独特の同調圧力の強

  さにも関係しているような気がします。「共感」という言

  葉も日本で最近聴きますが、要するに「いいねボタン」で

  すよね。

福岡:同調圧力というと、思い出す瞬間があります。研究者を

  志して20代後半でニューヨークへ行き、職場に向かう朝、

  深く楽に呼吸している自分に初めて気づいた経験です。日

  本では、見えない同調圧力に知らず知らず雁字がらめだっ

  たんだ、と。

ブレンディ:わかります。私も19歳で初めて英国に旅して、

  小さなことだけど、誰もが気にせず自分が好きな服を自由

  に着ていて、「私も私自身でいられる!」と。それだけで

  すごい解放感でした。

福岡:「銃・病原菌・鉄」や「文明崩壊」などの本で知られる

  ジャレッド・ダイヤモンド博士と話したとき、こう言って

  いました。どの民族にも例えば「殺すな、盗むな、うそを

  つくな」という戒めは共通してあるけれど「他人に迷惑

  をかけるな」という戒めを重視する民族は日本人だけであ

  る、と。

ブレンディ:へえー、面白いですね。「迷惑をかけない」とい

  う気持ちは、日本人の場合は、行為だけでなく服装などに

  も及びますね。人を不快にさせない、集団から目立たない、

  といった理由で身なりをきちんとするわけで。

福岡:誰もが日本語が分かって当然という均質な社会なので、

  言外の意味を忖度したり、空気を読むという圧力が生じて

  しまう。米国では、違う文化で生まれ育った人々がプアな

  英語で意思疎通しているため、言葉で表現したこと以外に

  気を回す余裕はなし、それを求められもしない。自分自身

  や自国の文化を相対化する環境に身を置く経験は貴重です

  ね。

ブレンディ:「身を置く」っていい言葉。私は、エンパシーを

  働かせるためには土壌がいると思うんです。それは街で異

  なる人たちと実際に関わること。それが他者を想像すると

  きの土台になる。ツイッターで頭の中だけの議論をするの

  はやめて、街に出ようよって思う。  

  

   

「見えない同調圧力」は、日本以外の場所に行くと感じるのですね。

しばらくは海外に行く予定のない私としては、

日本に居ながらにして「同調圧力」を認識して、

その圧力から解放された気持ちのよさを味わう方法をしりたい。

やりたいと思ったことを、人の目を気にせずにやればいいのかな。

  

「身を置く」

やはり今年は出かけましょう。

出かけて行って、知らなかった人たちの中に「身を置きましょう」

それは遠くに行くとは限らず、近くの人たちの中ででもです。

知ってるつもりの身近な人はたくさんいます。

そうすれば、無知にならず、同調圧力からも解放されるのでは。

今年の目標の「押しを強くする」は日々心に浮上させたいです。

対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 1/4 

今日は令和2年1月2日。

  

1月1日朝日新聞朝刊の13面。

「多様性って何だ? 誰も否定されないこと 対×談」

という見出しで、生物学者の福岡伸一さん、

保育士ライターのブレンディみかこさんの対談が

載っていました。読み応えがありました。

できるだけ書き写したいです。

  

日本で近年よく聞く言葉に、「多様性」があります。わかった

ようなきでいても、そもそもどんな意味で、何のために必要な

のか、と問われると答えに詰まります。多様性について行力考

えてみたい。そんな狙いで、オピニオン面ではシリーズ企画を

始めます。さまざまな人種・宗教が入り混じる英国の街と、何

百万年単位で命をつないできた生物の世界。かけ離れた「多様

性」の現場を知る2人が話し合う対談から。

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福岡:ブレンディさんはパンクロックに憧れて高校卒業後に 

  英し、低所得者が多い地域で保育士として働かされてき

  たそうですね。どんなとき多様性の大切さを感じますか。

ブレンディ:多様性の対極が分断だとよく言われますが、私

  は多様性と分断は隣り合わせだと思っています。英国で

  も、宗教やEU(欧州連合)離脱などでは意見が真っ二

  つに分かれる。でも同じ場にいさえすれば、日常的に対

  立しながらも相手を理解し、落としどころを探る知恵も

  身についていく。多様性の対極はむしろ、相手を知ろう

  としない態度なんですね。

福岡:それは、移民の姿も知らずに排斥しようとするような

  態度ということですね。

ブレンディ:そうです。英国ではEU離脱派が多い地域は住

  民の多様性が乏しく、ロンドンなど移民や外国人が多い

  都市部では残留派が強い。やはり自分と異なる他者のい

  る場に身を置くと、身体で理解することがあるんです。

  逆に、現実の姿を知らないと「生活が厳しくなるのは移

  民のせいだ」と吹き込まれると、そう信じ込んでしまう。

  無知が原因で恐怖心がわきあがってくるのですね。

福岡:昨夏、出版された「ぼくはイエローでホワイトで、ち

  ょっとブルー」は、アイルランド人とのパートナーとの

  間に生まれた息子さんが、英国の中学で多様なルーツを

  持つ友達との交流や貧富、差別などに直面しながら成長

  していく話です。その中で「なぜ多様性が大事なのか」

  と尋ねる息子さんに、ブレンディさんは印象的な返答を

  します。

ブレンディ:「うんざりするほど大変だし、めんどくさいけ

  ど、多様性は無知を減らす」と息子に答えました。

福岡:うんざりするほど大変なことをして多様性を得るため

  には何が必要なのか。本では「エンパシー」(empathy

  という言葉をキーワードに語っています。

ブレンディ:息子の期末試験で「エンパシーとは何か」に答

  えさせる問題が出たんですね。私が辞書で調べたら、他

  人の感情や体験を理解する「能力」とありました。  

福岡:息子さんは試験用紙に「自分では誰かの靴を履いてみ

  ること」と書いた。いい答えですね。

ブレンディ:エンパシーと似た言葉に「シンパシー」(sym

      pathy) があり、どちらも「共感」と訳されます。ただ

  シンパシーは「かわいそう」や「共鳴する」という感情

  の動きで、対象となるのは特定の人です。一方、エンパ

  シーは、他者の立場を想像して、理解しようとする自発

  的で知的な作業です。

  

  

今回は、特に印象に残したいところに、

マーカーラインを引いてみました。

無知が恐怖心をわき上がらせるというのは理解できます。

そして「エンパシー」の意味するところは、

大事な知的作業です。

 

この本も読みたくなりました。

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