対×談 福岡伸一・ブレンディみかこ 4/4
今日は令和2年1月2日。
前投稿の続きで、
1月1日朝日新聞朝刊の対談を書き写します。
ブレンディ:日本では、グローバリズム競争を勝ち残るための
ツールとして「多様性」を標語のように掲げている企業も
多いと聞きます。
福岡:そうですね。生物学的における多様性は何百万年、何億
年単位の話なので、人間社会の多様性に目を戻すと、時間
の射程が短すぎると感じます。その年の増収増益のためと
か、10年後の世界市場でのシェアのためとか。
ブレンディ:GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、
アマゾン)などのグローバル企業も、多種多様で優秀な人
材をかき集めながら、世界中でサービスの画一化を進めて
いますよね。誰もがどこでも同じように情報発信や共有が
でき、どの国でも同じ味のコーヒーを飲めるようになった。
しかし、結局は効率的に売り上げを最大化しているだけで、
自分の利益のことしか考えていないんじゃないでしょうか。
多様性とは真逆の方向に見えます。
福岡:私もそう思います。先端企業は「多様な人材でイノベー
ションを」といいますが、真の多様性とは、違う者の共存
を受け入れるという、言わば利他的な概念です。本質的に
は自己の利益や結果を求めるものではない。多様性は、利
多性になじみがあると思います。
ブレンディ:そうですね。利他性を考えられるのは生物界では
人間だけなのですか。
福岡:いや、食うか食われるかの生物の世界にも利他的な関係
性が見えるんです。植物は自らが必要とする以上に葉を作
って光合成をし、その落ち葉で微生物が増え、葉や木の実
を食べて虫や鳥は命をつなぐ。もし植物が自己の必要量し
か光合成をしなかったら、他の生物は存在できません。
ブレンディ:植物もそうなんですか。はたして人間には元来、
利他的になれる力は備わっているのかな。「他人の靴を履
いてみる」と言っても、「くさい靴」も「ダサい靴」もあ
る。考えたくない人の立場に立って発想してみるって、す
ごく難しい。「他人の靴を履こう」とする力を人間は本来
的に持っているものなのでしょうか。
福岡:持っていると思いますが、自ら学ぼうとしないと自分の
利他性に気づけないんです。何も知らないままでは他者の
立場を考えられない。偏見や強者の支配にとらわれてしま
います。学ぶのは「自由」になるため。そして「自由」に
なれば、人間は「他人の靴を履く」こともできると思うん
です。
ブレンディ:自由になって他人の靴を履くって、しみじみいい
言葉だなあ。
福岡:山に登ると遠くまで見渡せるように、勉強すれば人の視
界は広くなる。すると、お互いの自由を尊重し合う力を持
てるようになります。現在はトランプ氏的な「公平さ・公
正さより本音」といった流れが世界で強まり、排除の論理
が大手を振って歩いていますが、人間は「種よりも個が大
事」と約束した存在です。紆余曲折はあっても、いつかは
正気を取り戻し、個と個の違いをみんなで認め、共有して
いこう、という方向へ進みだしますよ。
ブレンディ:そう願っています・・・・いや、私は楽観的なの
で絶対そうなると思います。多様性っていうと人種や文化、
LGBTや社会階層など、属性の多様性に目が向きがちで
すが、実はアイデンティティーは一つじゃない。いくつか
の組み合わせで一人一人のユニークな「自分」ができてい
る。その個人が尊重されること、これが多様性なんだと思
います。日本の社会もそう変わっていけますか。
福岡:日本でもいやおうなく異質な存在と出合う場が増えてい
ますし、少しずつですが、「個」を尊重する方向に向かっ
ていると思います。
ブレンディ:私もそんな気がします。いま気づきましたが、先
生も私も、2人ともかなり楽観的なタイプなのかもしれま
せんね!
4回に分けて福岡伸一さんとブレンディみかこさんの
対談記事を書き写してきました。全文書き写しましたが、
一番印象に残って勉強になったのが、
今回太字で色づけした文章です。
学ぶことで偏見や強者の支配にとらわれず自由になれる。
相手のことがわかって尊重できる。利他的に動ける。
ここが重要!
読書・テレビ視聴・実体験などから学び、
このブログに書くことで、血や肉にしていきたいです。
ちなみに今回書き写した記事の全体写真です。☟
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