「温暖化」をどう考えるか⑥/これから意見形成をやっていく
今日は令和元年11月8日。
前記事の続きで、
「異常気象と人類の選択」(江守正多著/角川SSC新書)から
引用します。2013年9月刊行の本です。
温暖化に向けて何か政策を考え実行する際の、
注意点について述べています。
問題によっては、たとえば地域固有の問題に
長年付き合ってきた市民は、専門家よりもよほど、
その問題と付き合うための知恵を持っている場合があるでしょう。
そのような知恵を「ローカル知」とよんで、
専門家の持つ「専門知」と対比することがあります。
専門家と市民がローカル知と専門知を相互に学び合うことによって、
判断に必要な知識が充実するということがありえます。
(167p)
政治が判断を行う場に、国民の意見を届ける方法が必要になります。
ただし、この際の意見とは、ブームや気まぐれや政治的動員で
決まるようなものではなく、国民一人一人が十分な情報を与えられて
熟慮した結果であるべきです。
これは、言うのは簡単ですが、実際にはとてもたいへんなことだと
思います。これを最初から完璧にやることは不可能えすが、
それに向けた実際の取り組みとして僕の目に留まったものを、
3つ紹介します。
(179p)
その3つを書き並べます。
①気候変動に関する世界市民会議 2009年9月
デンマーク技術委員会のよびかけ
今でも世界市民会議は開催されています。2015年の様子。☟
②エネルギー・環境の選択肢に関する国民的議論 2012年
民主党政権下 国家戦略室による
☝ このページを開いて、紫色の「いただいたご意見」を押すと、
膨大な量(9万件近く)の意見を見ることができます。
著者の江守さんの意見の番号は46435です。
実際に今でも読むことができました。
③英国2050 Pathways Calculator 2010年
イギリスのエネルギー気候変動省で開発されたソフトウェア。
現在、アクセスしても、見つかりませんでした。
あなたがこのような意見を真剣に形成しようと思えば、
多くの専門的情報を得たり、人と議論したりする必要があります。
一般に、ある問題への自分の意見を真剣に形成しようと思うと、
手間暇がかかります。
意見形成のコストといってもよいでしょう。
世の中にさまざまな重要な問題がある中で、
本書で論じた「地球規模で長期の温暖化政策」の問題に
あなたが意見形成のコストをかけるかどうかは、
あなたの自由です。ただし、判断された結果に文句を
言いたいのであれば、しっかりしたあなたの意見を形成して、
何らかの方法でそれを表明してほしいと思います。
(206p)
意見形成のコストをかけ始めました。やっと。
次に多くの国民が温暖化について考えるときには、
「省エネは大事だけど、それだけでは温暖化は止まりません」
という正直なメッセージをみんなに知ってもらったほうがよいと
僕は思っています。
子どもたちを含めて、省エネすればあとは誰かが
何とかしてくれると思っていた人たちには悪いですが、
「えっ、それだけでは止まらないの?」
と一度驚いていただいたうえで、
「じゃあ、どうしたらよいのだろうか」とみんなで考える段階に
バージョンアップしなければいけないと思います。
これは、いってみれば、「温暖化ブーム2.0」です。
そして、そこで求められる市民の最も重要な仕事は、
省エネよりもむしろ、「意見形成」なのです。
(208p)
台風15号、19号の被害は、多くの人が温暖化について考える
きっかけになったと思います。
私は、これを機会に、いろいろ情報に触れて
意見形成をしていきたいと思います。
以上で「異常気象と人類の選択」からの引用を終えます。
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