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2019年11月12日 (火)

「函館の大火」③/不運にも低気圧が減速して、強風が吹いていた

  

今日は令和元年11月12日。

  

前投稿に引き続き、

函館の大火 昭和九年の都市災害

(宮崎揚弘著/法政大学出版局)より引用します。

  

この本は、次のような構成になっています。

 

第一部 函館の環境

 第一章 自然環境

 第二章 都市空間

 第三章 都市社会

第二部 函館の大火

 第四章 危機管理と大火の歴史

 第五章 大火の日

第三部 鎮火とその後

 第六章 後手に回った危機管理

 第七章 荒廃と混乱

 第八章 責任と被害

 第九章 復興

 終章 大火の記録

 

 註

 証人リスト

 状況推移表

 あとがき 

 

  

いよいよ第五章より引用します。

 

大火のあった日、日本海を低気圧が北上していました。

 

18時、それは函館の西側の日本海を通過して

北西方向の寿都(すっつ)沖約50キロメートルに達し、

発達して966ヘクトパスカルに達した。

(69p)

 

そこまで時速90km~63kmというスピードで、

日本海を北東方向に進んでいた低気圧が、

18時までは時速17km、18時から20時までは時速5kmと

急減速しました。

Epson112b (70p)

Epson112a (71p)

  

原因は低気圧が高圧帯に行く手をはばまれ、転進を模索して

手間どったから、と思われる。その間、急減速していた

18時から20時の間の18時53分頃、

函館で火災が発生したのであった。

要するに、気圧が速度を減速させ、ほとんど停滞している時であり、

同じような烈風がくりかえし長時間吹続(すいぞく)するという

最悪の条件下にあった時である。それは函館にとって極めて運の

悪い状況であった。

(69~72p)

  

ゆっくりではあるが低気圧が移動したことで、

函館に吹いた風は、方向を変えます。

最初は南南西でしたが、南西になり、西南西になり、

最後は西風になります。

この方向の変化が、大惨事を招きました。

風速は19時には22m、その後は24m内外だったそうです。

瞬間最大風速は40m近いと推定されています。 参考:72p

  

函館の大火には、強力な低気圧が関係していたのです。

低気圧は気温も変化させます。

  

気温も追い打ちをかけた。21日午前中は正午まで5度以下であった。

それが午後上昇し始める。13時に6.7度になり、

17時には8.3度まで上昇する。

その後気温は次第に下降し、出火直後の19時には7.3度、

24時には1.4度に下降する。

22日3時、気温はマイナス0.4度、

火炎の延焼が止む6時にはマイナス1.7度になる。

海に入ったり、川に落ちて濡れた人や烈風で着衣を

剥ぎ取られた人には厳しい状況であった。

(72~73p)

  

  

函館の大火による惨事は複数の場であり、

本にも描かれています。

その中で、風向きが変わったことで起こった

大森浜での悲劇を、ブログに書き留めておきたい。

  

つづく

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