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2018年10月 8日 (月)

ドラマ「聖徳太子」・・・法を作るのじゃ、冠位をつくるのじゃ

 

今日は10月8日。

  

10月3日に引き続き、

2001年11月10日放映のドラマ「聖徳太子」より。

  

   

うれしいと思いつつも、喜べないこと。

2001年放映のドラマ「聖徳太子」を

youtubeで見ることができました。

しかし、NHKのドラマをアップしてもいいのかな

という気持ちもあります。

でも2001年に録画して手元にあるものより、

映像がとてもきれいです。

映像の下に中国語の字幕はありますが、

俳優が話しているのは、オリジナルの日本語です。

この映像を授業で見せたいという誘惑はありますが、

きっと違法なので、やっていません。

Youtube 聖徳太子 (テレビドラマ) 上 NHK特別劇 2001

Youtube 聖徳太子 (テレビドラマ) 下 NHK特別劇 2001

  

  

小野妹子が遣隋使として、1回目の隋の国に行き、

そのことを飛鳥の豪族の前で報告するシーンが、

ドラマ「聖徳太子」の中にあります。

このシーンは、ドラマの中でも名場面であり、

授業でも見せました。

聞き書きして、読み物化します。

  

ナレーター:隋への使者が都長安を目指した。。

  大和の国の者が中国大陸に向かうのは、

  百二十数年ぶりのことだった。

  隋はあまりに巨大で豊かな国であった。

   

  使者たちは、時の皇帝に接見することすらできずに帰ってきた。

   

小野妹子:隋を見て痛感いたしましたのは、

  彼(か)の国には律令があるということです。

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      すなわち法であります。

  仏が殺生を戒められているように、

  国が殺生を戒め、その法を犯せば、

  誰でも罰せられるというような法であります。

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  また隋には法に定められた位があります。

  国のために働く者には、それぞれの働きに応じた

  冠位が与えられ、他の者が侵すことはできません。

  大和の国はそれがないため、力ある者が身勝手な争いを起こし、

  国としてまとまりがありませぬ。

大伴の連(むらじ):はははははは、我らにも位はある。

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  わが大伴家は、代々大王(おおきみ)に仕え、

  軍事をつかさどった氏(うじ)よ。氏は家柄ぞ。  

  家柄は位であろう。

他の豪族たち:そうだ、そうだ。

有力豪族A:連よ。その位は意味が違うのじゃ。

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大伴の連:どしゃーん!この近江の新参者(妹子)は何もわかっておらん。

  大和の国に法がないというが、我らが法ぞ!

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  身勝手に争う者は、我らが懲らしめる。

  税も我らが取り立て、朝廷に納める。

  何も隋などに感心することはない。

  そもそもなれ(汝)はいかなる家柄の者ぞ。 ・・汝(なれ)※1

  この四天王寺にどのような資格で立っておる! ・・四天王寺※2

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有力豪族B:近江の新参者が、我らに政(まつりごと)を説く

  資格があるのか! 

有力豪族C:然(しか)り、然り。皇子(みこ)にお尋ね申し上げる。

  何故(なにゆえ)この者を隋に参らせました。

  何故我らではなく、近江の名も無き者を。

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他の豪族たち:そうだ、そうだ。

蘇我馬子:静まれ!摂政は大王の名代であらせられるぞ。

  慎まれよ。

  

聖徳太子:小野妹子。下がってよい。

小野妹子:はっ。(去っていく時に転ぶ)

豪族たち:はははははははは・・・。(嘲笑い)

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聖徳太子:大伴の連よ!

  名も無き者でも、国のために働く者には位を与える。

  たとえ家柄よきものでも、私利私欲のために働く者には、

  位を与えぬ。隋はそういう国ぞ。

  我らもそれに倣(なら)いたい。

  今後我らは、古きを捨てねばならん。

  新しき冠位を作り、朝廷に優れた者を集める。

  小野妹子には、しかるべく位を与え、

  あらためて隋との交渉に当たらせる。 

  この仕事に家柄は不要ぞ。

豪族たち:何と・・・そんな・・・。

聖徳太子:皆!小野妹子たちが隋でいかなる扱いを受けたか

  忘れてはならぬ。

  法も冠位も持たぬ大和の国を、

  隋はまともな国とは見なかった。

  妹子らは粗末な寺に泊められ、

  蛮夷の人のごとく取り調べを受け追い返されたという。

  我らは蛮夷の国と見做されたのじゃ。

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  法を作るのじゃ、冠位をつくるのじゃ。

  我らは急ぎ、隋に追いつかねばならぬ。

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  隋に大和の国を認めさせ、

  対等な交わりを結ばねばならぬ。

  異議のある者は申し述べよ。

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大伴の連:皇子! 新しい冠位に我らはどのように?

  どのようなくらいに着くことに?

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聖徳太子:それは追って知らせる。(聖徳太子、去る)

 

以上です。

聖徳太子の行った「十七条の憲法」「冠位十二階」の動機が、

端的に表現されているシーンです。

当時の豪族たちと考え方も、デフォルメされているとはいえ、

よくわかります。「我らが法ぞ!」は最高!

教師が説明するより、数倍も効果的なシーンだと思います。

授業に見せたくなるシーンです。

  

※1「汝(なれ)」=二人称。対等あるいはそれ以下の者

          に対して用いる。おまえ。なんじ。

          参考:weblio辞書

※2「四天王寺」 =聖徳太子が建立した寺。物部氏との戦いで、

          もし物部氏に勝ったら、寺を建てると

          四天王の像に勝利祈願した聖徳太子。

          物部氏に勝利して、約束通り建立した。

          参考:聖徳太子謎紀行

  

  

また一つ、読み物化完了。

  

  

  

  

  

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