20170725報告「絵は心のレントゲンである」
今日は8月2日。
研修会の報告です。
今回は「絵から診た子どもの心 ~児童・生徒理解の一助として~」というテーマで
臨床心理士の中西正昭先生からお話を聴きました。
以前にも中西先生からお話を聴いたことがあり、
このブログにもメモをしています。
※参考ここでも道草 「絵ことば」を読む(2009年8月9日投稿)
この時も夏休みの研修会だったのですね。8年前。
今回も参考になったことを書きとめておきます。
〇絵に表れる子どもの深層心理
・子どもたちの悩みや苦しみ、そして愛されたいと願う気持ちは、
無意識のうちにさまざまな行動に、絵に表れる(投影される)
・なぜ、絵でわかるのか・・・
人はうれしい時、思わず手をたたいたり、飛び上がったりする。
また、悲しい時は肩を落としたり、顔を伏せたり、黙り込んだりする。
人が描く絵には、そうした意識的な面と同時に、
無意識な面が自然に投影される。
「描くことは個人にとって無意識だが、
これは同時に疑いなく無意識のうちに精神的価値の全体系に
基づいているのだ」(K.マコーバー)
※以上の文章は、スライド資料から転載
〇「K.マコーバー」で検索してみました。
「人物画への性格投影」 (描画心理学双書) のいう本を書いている方でした。
この本は1998年発刊ですが、復刊とありました。※参考Amazon
さらに調べると1974年に発刊された本がありました。※参考Amazon
Amazonの本の説明に次のように書いてありました。
人物画の解釈に基づく性格分析の体系化を初めて成しとげ、
刊行以来多くの心理学者を刺激して、多くの研究成果をもたらした本書は、
数多の批判にもかかわらず、今や“描画心理学の一成果”の枠をこえて、
“描画心理学研究の源泉”としての地位を占めている。
「一枚の絵といえども無視すべからず」と教えた本書は、
人間を見る多くの人々、すなわち心理学者、教師、職場の人々に
多くの示唆を与える。
絵画による性格分析の先駆者のようですね。
〇描画による診断の基本的考え方と方法
・好きな絵を自由に描く「自由画」には、さまざまな心が表れやすいが、
分析するにはやや困難さがともなう。
・子どもの心理を正しく分析、理解し、計画的に指導や支援をすすめるには、
標準化されたものがよい。
・パーソナリティや心が投影されやすく、象徴性が高いものが望まれる。
・子どもの生活にとけ込んだ、親しみやすく、描きやすいものがよい。
・一般的には ①人物画 ②樹木画 ③家族画 ④家屋画などがある。
※以上の文章は、スライド資料から転載
〇絵の描かせ方
①人物画・・・頭部、胴体、手足などから分析
「人間を一人描いてください。頭だけでなく全身を描いてください。
写生をしたりテレビやマンガや他人のまねはいけません」と指示し、
別々の紙に男女一人ずつ描かせる。
(やむを得ない場合は、本人と同姓の絵一枚でもよい)
②樹木画・・・根、幹、樹冠などから分析
「実のなる木を一本描いてください。写生や他人のまねはしてはいけません。
と指示し、「実も描くのですか」という質問に対しては
「あなたの好きなようにしなさい」と答える。
③動的家族図・・・大きさ、位置などから力動的関係を分析
「あなたを含めて、あなたの家族のみんなについて、
何かしているところを描いてください」と指示する。
④家屋画・・・屋根、壁、扉、窓などから分析
「家を一軒描いてください。写生や他人のまねはいけません」と指示する。
〇注意点
紙の大きさはB5~A4サイズ程度。鉛筆はなるべく濃いもの(2Bか3B)。
消しゴムは自由。時間は制限しない。気づいたことは記録しておく。
※以上の文章は、スライド資料から転載
〇「口が小さい」・・・話がない人、話したくない人。
〇人物画の影が右・・・未来に不安 左・・・過去に関する不安
〇足を塗りつぶす・・・情緒不安定
〇実を描くこと・・・実は利益、目標、結果 はやく成果が欲しい気持ち
〇枝をたくさん描く・・・承認欲求
〇枝や根を丁寧に描く・・・几帳面 完璧を求める
〇人物画の腕が長い・・・何かを求めている時に腕が長くなる
〇家族画で上部に線を描く・・・激しい不安
〇樹木画で枝をつぎ足しつぎ足し描いている・・・視野が狭い子
〇樹木画で樹冠が3方(上左右)で切れている(画用紙のサイズからはみ出ている)
・・・自己中心的
〇樹木画で幹が全く平行(普通は下が太く、上に行くにしたがい細くなる)
・・・融通がきかない
〇樹木画で地面を描くのは、安定性を求めている。
〇樹木画で枝が線で描かれている(枝に太さがない)・・・認知が低い。
〇樹木画の上部が平らになっている/人物画でも頭が平らになりやすい
・・・甘えたい、認められたい、十分甘えていない 抑圧感 愛着に問題あり
〇樹木画で虫が出てくる・・・虫は自分 自分と虫を同一化している
虫がどう描かれているかという視点
樹木画の分析方法については次のサイトも参考になる↓
※PCJ芸術心理療法研究所 樹木描画法 バウムテスト:解釈(技法的な理解)
大学生の時に私も樹木画を描いて診断してもらった体験あり。
その時には、樹木ではなく、樹木の代わりに傘、実の代わりに雨の滴を描きました。
大学の先生から「発想が面白い」と言われ、
そうか自分は発想で頑張ろうと思った出来事です。
些細な出来事のようで、ずっと今まで生き方に影響を与えている出来事です。
でも上記サイトにこう書いてありました。
◆意表をついた絵 :相手の言葉を素直に受け取らず、へそ曲がりなところがある。
これは当たっている!
研修会の最後に、講師の先生のお父さんの著書を購入。
「人物画診断事典」(中西芳夫著/中日出版)
http://7net.omni7.jp/detail/1101874005
前書きからの引用
口では言えない心の奥底を人物画や樹木画や家族画等で探っていくと、
見えない心が見えてきます。
そこからほんとうの指導が始まるのです。
私はたくさんの指導症例から「絵は心のレントゲンである」
と思っています。
たくさんの症例から培われてきた絵画による性格分析。
日々の実践に利用せねば。
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