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2016年1月18日 (月)

涙を流したピエロ ジャン・ドゥビュロー その2

 

今日は1月18日。

  

昨年末にピエロのことを書きました。

ここでも道草 涙を流したピエロ ジャン・ドゥビュロー(2015年12月31日投稿)

その時に読んでみたいと書いた

「ピエロの誕生」(田之倉稔著/朝日新聞社)

を読み終えました。

今年はこれで3冊目の本の読破。

今年は読書が順調です。

  

19世紀前半のフランスの演劇史の勉強までしてしまった気分です。

フランスには2つの国立劇場があって、

演劇はそこが中心のように見えたのですが、

実はそうではなかった。

小さな芝居小屋みたいな劇場や見世物小屋がたくさんあり、

民衆の人気は高かったそうです。

マダム・サキという軽業師がいて、

綱渡りをしながら踊りをする名手だったそうで、

彼女が開いた劇場がアクロバット座という名前だったそうです。

この本を読んで興味を持った女性です。

涙を流したピエロである、ジャン・ドゥビュローは、

アクロバット座のライバルである劇場フュナンビュル座に

雇われたパントマイム役者でした。

彼(ドゥビュロー)がピエロ役を正式にあてがわれたのは、

どうやら1824年から25年にかけてであったようである。60p)

  

それからドゥビュローは20年近くパントマイムを演じます。

世間では、パントマイムの人気が衰えてきましたが、

それでも民衆も劇場経営者も、

ドゥビュローのパントマイムを継続して支持していたようです。

「古着屋」というパントマイムの名作も生まれました

  

しかし事態は変わってきました。

  

1845年、(フュナンビュル座の)創立者であり、

経営者であったベルトランが病死した。

跡を継いだのは甥のビリオンという男だった。

ベルトランの死もドゥビュローの衰弱に加速を与えた。

衰退しつつあったパントマイムに往時の生命力を

吹きこもうとしていたのもベルトランであった。

彼の死によって、ドゥビュローとフュナンビュル座の間には

埋めようもない隙間が生まれてしまった。(181p)

  

そしてドゥビュロー最後の舞台の日を迎えます。

シャンフルリーという作家によって

その時の様子が書き残されています。

  

暑い日で、劇場内はむせかえるようであった。

ドゥビュローの人気は高く、定員の5倍近くの客が押しかけた。

劇場の外では入れなかった連中が、

中の客に負けずに拍手したり、掛け声をかけたりしていた。

「幕がゆっくり開いた。ドゥビュローは新郎の白い衣装で現われた。

ボタンの穴には花束をさして、腕には美しい女性をかかえていた。

客席の熱狂を抑えるのは不可能だった。大騒ぎであった。

天井桟敷の四百人の顔は喜びにあふれていた。

八百の目はマイム役者を食い入るように見た。

四百の口は『ブラヴォー』と叫んだ。まさに狂乱であった。

入場できなかった人たちは入口のところで拍手をした。

ドゥビュローは、白い衣装の花束の下、心臓の上に軽く手を置いた。

一筋の涙が顔の白粉の上を流れた。

劇場で本当の涙が流されるのはめったにないことであった。」

(182~183p)

  

ドゥビュローは1846年の2月に

舞台の仕掛けの穴に落ちるという事故を起こしています。

復帰後、この最後の舞台を行いました。(年月日不明)

そして同年の6月17日に亡くなっています。

  

本当にドゥビュローは涙を流したのか?

シャンフルリーという作家による

「名優の最期はこうなってほしい」という気持ちがこもった

記述だった可能性があるようです。

しかし、涙を流したピエロの話は伝説になって今に伝わったのです。

   

  

これで目的の本は読めました。

だいぶドゥビュローのことがわかってきました。

次は映画「天井桟敷の人々」を見たいね。

2resized

実は家にこの映画はあります。

1996年にテレビ放送された時に録画したものです。

録画して20年。やっと登場ということになりそうです。

何とVHSビデオカセットテープだ。

 

  

  

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