「幻の甲子園」より・・・「野球」「草野球」
今日は8月23日。
「幻の甲子園」(早坂隆著/文藝春秋)から引用したい文はたくさんありますが、
とりあえずこれがラスト。
「野球」という言葉についての記述が忘れずに頭に残っています。
しっかり引用します。
野球は自明の通り、元々はアメリカのスポーツだが、
「BASEBALL」という英語を「野球」と訳した日本人の感覚は、
考えてみれば興味深い。
「BASEBALL」を普通に翻訳すれば「塁球」であろう。
確かに「塁球」の方が、
野球という競技の内容を表す意味において的確である。
「BASEBALL」を野球と訳したのは、
中馬庚(ちゅうまん・かなえ/かのえ)という人物だったと言われている。
明治3年(1870年)、鹿児島県に生まれた中馬は、
第一高等中学校(後の一高)野球部で名二塁手として活躍。
その後、東京帝国大学(現・東京大学)在学中、
「BASEBALL」の訳語として「野球」という言葉を生みだしたのだという。
この新語が、日本人の感覚に馴染み、広く定着していくこととなった。
日本人にとって「BASEBALL」は「野」でやるものであり、
これは緑豊かな国土を持つ日本人ならではの言語感覚と言えるであろう。
(中略)
日本人にとって野球とは、広い野原で駆け回りながら行うものである。
空き地(sandlot)などで行う遊びの野球のことを「草野球」と呼ぶのも、
日本人らしい表現と言える。(73~74p)
なるほど。「塁球」ではなく「野球」だもんね。
日本の野球をやる環境を表しているんだと思いました。
sandlot?
sandlot は英語辞典によると、「空き地」
sand は「砂」 lot は「多く」
英語圏の「空き地」は砂が多いイメージなのでしょうか。
日本の空き地は、やはり草が生茂るというイメージはあります。
sandlot baseball が「草野球」と訳す英語ですが、
日本のように草のあるところでやるイメージではないのでしょう。
「草野球」にも日本らしさが出ていることを知りました。収穫。
中馬庚については、6月にも書きました。
http://mitikusa.typepad.jp/blog/2010/06/post-aa14.html?no_prefetch=1
コメント