ワーグナーとヒトラーと小泉首相
音楽のことをもう一つ。
連休の始めで時間があることをいいことに、
以前から書きたいと思っていたことを書きます。
リヒャルト・ワーグナー(1813~1883年)という作曲家・指揮者がドイツにいました。
ヒトラーがワーグナーに心酔し、
音楽も考え方も愛したようです。
ワーグナーの反ユダヤ主義の考え方を具現しようとしたのがヒトラーだったという説もあるようです。
ヒトラーへの影響力大だった人です。
ワーグナーの作品を年に1回、大々的に演奏される場所があります。
バイロイト市です。
1876年にバイロイト祝祭劇場が完成。
それ以後、ワーグナーの曲が上演されてきました。
バイロイト音楽祭と呼ばれました。
ヒトラーは国を挙げて、このバイロイト音楽祭を庇護しました。
ヒトラーが自殺して、ナチ政権が崩壊した戦後のドイツでは、
ヒトラーとの結びつきが強かったバイロイト音楽祭は中断されていました。
バイロイト祝祭劇場の関係者が、ナチ政権に協力したと見られていたからです。
バイロイト祝祭劇場はワーグナー家の人たちが経営してきました。
戦時中に経営していた人たちが交代することで、
1951年からバイロイト音楽祭が復活しました。
しかし、ドイツの首相が、この音楽祭に出席することは長くありませんでした。
なぜか?
その理由と、首相が戦後初めて出席したいきさつを、
「カラヤンとフルトヴェングラー」(幻冬舎新書)より引用します。
日本がかかわっていてビックリしました。
ドイツでは、首相としてバイロイトに行けば、
必ず「ヒトラー以来初めて」と報道される。
歴代のドイツ首相は、そうなることを避けてきた。
戦後のドイツ首相がこの音楽祭に初めて出席するのは、
再開から半世紀以上過ぎた2003年のことだった。
日本の小泉首相が本場でオペラを見たいという理由で
政府専用機を飛ばしてヨーロッパを歴訪した際の、
あのバイロイト訪問時である。
日本の首相を出迎える以上、
ドイツもシュレイダー首相が行かなくてはならないという大義名分が立った。
こうしてバイロイトの戦後は、21世紀になってようやく終わったのである。
(229-230p)
小泉首相の行動は、ドイツの歴史に大きくかかわっていたのです。
知らなかった!
小泉首相が音楽の本を出していました。
音楽遍歴 (日経プレミアシリーズ 1) 日本経済新聞出版社 2008-05-09 売り上げランキング : 249317 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
その本の書評に、上記の出来事の裏話が書いてありました。
※参考http://homepage3.nifty.com/giacomo/20090405h.htm
カナダでのサミットの帰路、
ドイツが勝ち残ったワールドカップ決勝に間にあうよう
首相特別機にドイツのシュレーダー首相を同乗させたのが縁で、
返礼にバイロイト音楽祭に御招待を受ける。
イメージとしては、小泉首相が見たいと思って出かけたと思っていました。
招待を受けて行くことになったのかな?真相は?
こういう話が楽しい。
コメント