本「南海トラフM9地震は起きない」③ 「大陸移動説」のウェゲナーは、遭難死していた
今日は令和7年1月19日。
前記事に引き続き、
「南海トラフM9地震は起きない」
(角田史雄・藤和彦著/方丈社)
から引用していきます。
プレート説が生まれる以前、気候学者のアルフレッド・ウェゲナーが
1922年に大陸移動説を唱えたのは有名な話です。
ウェゲナーは、氷河の地形や化石の分布などから「南アメリカとアフ
リカ、南極は、もともと一つの大きな大陸だったが、それが分裂して
移動した」という仮説を提唱しまし約3億年前に「パンゲア」と言わ
れる超大陸が存在し、2億年前くらいから分裂、 漂流することで、現
在の大陸が形成されたという主張です。
しかし、「大陸は上下運動しかしない」と考えていた当時の地球物理
学者は「大陸を水平方向に移動させる原動力を説明できない」として
ウェゲナーの仮説を否定しました。
ウェゲナーがグリーンランドで遭難死したことにより、大陸移動説は
科学の表舞台からいったん消えました。
ところがそれから30年以上経ったのち、「海洋底が拡大している」こ
とが大陸が水平に動いていることの証拠だとされ、大陸移動説はプレ
ート説とともに劇的な復活を遂げました。
海洋底拡大説は、海洋底の年齢の測定によって実証されたことになっ
ています。1968年から始まった米国の深海底掘削計画で海底をつく
る岩石の放射年代測定が行われた結果、「海洋底の岩石の年齢は、海
嶺ではできたばかりで新しく、海嶺から遠ざかるにつれて古くなって
いる」との主張が生まれました。
海洋底の岩石は、海溝に沈み込む直前の一番古い岩石でも2億年ほど
であり、地球の年齢46億年に比べてはるかに若いとされてきました。
プレート説によれば、中央海嶺をつくる岩石は、地球内部から生まれ
たばかりのマグマ起源のものであるので、海底には2億年以上前の古
い時代の岩石があるはずがないと言われていますが、その後の調査で
5億年以上前の岩石が海底で見つかっています。
この事実に対し、「海溝に沈んだプレートは、地球の内部を巡って再
び海嶺に戻ってきた」などと説明しています。 しかし高温の下部マン
トルを通ってきた岩石が、再びもとのままの時代の姿を示すとは常識
的に考えられません。
ちなみに、ウェゲナーの大陸移動説には根本的な誤りがあります。
現在の陸地の形だけを見て、パズルのように組み合うかどうかだけで
大陸移動説を説明しようとしていますが、2~3億年前の陸の形は現在
の陸の形とまったく違うことがわかってきました。
現在の大陸を組み合わせて成り立つとされるパンゲア大陸は、大陸の
形が保存されていることが確認できない限り、「幻の大陸」でしかな
いのです。
(39〜41p)
長く引用しましたが、ゾクゾクくる「大陸移動説」の歴史です。
ウェゲナーが提唱したけど否定されました。
ウェゲナーは遭難死します。
「プレート説」が広まったことで、「大陸移動説」は息を吹き返します。
そして現在また否定されようとしています。
この100年での「大陸移動説」の扱いは、とても大きな変化です。
どうも、この本では、1922年が「大陸移動説」が唱えられた年に
なっていますが、他の資料を見ると1912年でした。
おそらく1912年が正しい。
ウェゲナーの遭難死に関心が出てきました。
ウェゲナーに関する動画は何本かありました。
その動画は、ウェゲナーが「大陸移動説」を唱えたが、
認められず、死後30年経って、プレートテクニクス理論によって
認められたという美談パターンです。
YouTube: 【名言】人の心を動かすヴェーゲナーのすごいエピソード【地質学者】
この動画で、ウェゲナーの遭難死が詳しく紹介されていました。
YouTube: 【科学者シリーズ#060】大陸移動説を評価された雪の中に消えていった科学者【アルフレート・ウェーゲナー】
この動画は、「そふとめん」さんが作ったものです。
表裏一体のようにもう1本ウェゲナーさんの動画を作っています。
YouTube: 【アフタートーク#060】科学者シリーズ~アルフレート・ウェーゲナー編~【雑学】
2本とも見ました。
いい勉強ができました。
そふとめんさんは、ウェゲナーさんの人生の概要を見て、
この人の人生は動画になると感じたようです。
遭難死を含めて、波乱の人生であると感じたからです。
私も近いものを感じました。
地図を見て「大陸移動説」を思いついた逸話から、
ウェゲナーは、室内での研究が中心だった人なのかとイメージしていました。
意外に、ウェゲナーは気候学が専門の学者でした。
そして、当時未開の地であったグリーンランドに4回探検に行っています。
生やさしい探検ではなく、死者も出たり大怪我する者が出たりする、
命懸けの探検でした。
第一次世界大戦にも従軍して、2度負傷しています。
イメージが変わりました。
4回目のグリーンランドの探検は、ウェゲナーがリーダーでした。
14人が参加しました。
氷冠(ひょうかん)の上でキャンプしていた基地に、
ウェゲナーは食料を届けようとして、雪嵐の中を出発しましたが、
たどり着くことはなかったのです。
1930年の11月1日。
ウェゲナー50歳の誕生日でした。
翌年の1931年5月に捜索され、雪の中に埋もれた状態で、
遺体で発見されたそうです。
本の中の「遭難死」の記述から、ウェゲナーの勉強をして、
いい動画に出合って、ウェゲナーの勉強ができました。
学校で習った「ウェゲナー、大陸移動説」程度だった知識が、
膨らみました。こういうのが楽しい。
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