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2024年1月18日 (木)

本「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」① 話せないわけではないので「ろう者」

   

今日は令和6年1月18日。

   

NHKのドラマ「デフ・ヴォイス」の評判が良かった。

私は前編の再放送を、偶然少しだけ見ました。

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NHK HP

手話に関するドラマで、サスペンスものなんだと思いました。

でも最初から見ていたわけでもなく、

まあいいかと思ってそれ以上は見ませんでした。

その後、このドラマのことがネットニュースに出ていて、

いいドラマだったと評している人が多くいることがわかりました。

NHKもたくさんのドラマを量産していますが、

そうは見てはいられません。

でも、いいドラマだと知ると見ておけばよかったと思います。

せめて原作を読もうと考えて、さっそく読みました。

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「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」

(丸山正樹著/文春文庫)

  

うん、面白い本でした。

これならドラマも面白かっただろうなと想像しました。

(うれしいことに、再放送があります。2月4日・11日です)

引用していきます。

  

話しながら荒井は、この青年に好感を抱き始めていた。田淵が最初か

ら、「聴覚障害者健常者」という言葉を使わず、「ろう者・聴者」と

いう表現をしているからだ。

もう何年も前から、公的な場や文書などでは、「聴こえない者」のこ

とを呼ぶのに「聴覚障害者」という表現を使うようになっていた。以

前は、「聾唖者」という言葉が使われていた。「聴こえる者」のこと

は、「健常者」もしくは「健聴者」と表現することが多い。

これに対し、「聴こえない者」の側は、自らを称するのに「ろう者」

という表現を好んで使う。かつての「聾唖者」から「啞」(=話せないこ

との意)を除いたのは、「自分たちは聴こえないが話せないわけでは

ない」という意思の表れだ。そして、その逆は「健聴者」と言わずに

「聴者」と言う。単に「聴こえる人」という表現だ。

ろう者側は当たり前のように使うこの二つの言葉だが、一般的にはあ

まり浸透していない。ろう者という表現を差別語のようにとらえてい

る者もまだ多かった。 派遣センターでも、おそらく文書や公の場など

では「聴覚障害者健常者」という表現を用いているに違いない。しか

し、この青年は、ろう者のメンタリティを理解した上で、きちんと自

分で言葉を選んで使っている。そのことに荒井は好感を覚えたのだっ

た。

(27〜28p)

  

知らない世界を教えてくれる小説でした。

ろう者にとって「ろう者・聴者」がいいのですね。

なぜそうなのかは、この文章でよくわかります。

「話せないわけではない」という気持ちで、

「啞」を取り除いたなんて、ろう者の意地を感じて、

いいなと思いました。

一口に手話といっても、実はいくつか種類がある。

一般的に知られている手話- -日本語に手の動きを一つ一つ当て嵌めて

いく手法は、正確には「日本語対応手話」と呼ばれるものだ。聴者が

手話サークルや手話講習会などで学ぶのはほとんどがこれで、自然、

手話通訳士が使用する手話も同様になる。

これに対し、ろう者が昔から使っているものは、「日本手話」と呼ば

れ、日本語の文法とは全く違った独自の言語体系を持っている。従っ

て、生まれた時から使っているろう者でなければその習得はかなりの

困難を極め、聴者はもちろん、 難聴者や中途失聴者などでも使いこな

せる者はまれだった。

逆にろう者が「日本語対応手話」を理解するにはいちいちそれを頭の

中で 「日本手話」に置き換えなければならず、「何とか理解はできる

もののかなり疲れる」というのが本音のようだった。

両者の違いの一つに、「日本手話」ではNMS(非手指動作)と呼ばれる

「顔の表情や眉の上げ下げ、口の形や肯いたり首を振ったりする頭の

動き」などが重要な意味を持つ、ということが挙げられる。これらの

表現によって、ただの単語の羅列ではなく、疑問形や命令形、使役形

などの文法的意味を持たせることができるのだ。さらにそれに、視線

や間の取り方、動作の強弱・緩急などを使って、実に豊かな表現が可

能になる。  

(35p)

  

これも新しい知識。

私が知っている手話はおそらく「日本語対応手話」

それが一択と思いきや、「日本手話」というのがあるんですね。

顔の表情などを使って、豊かな表現ができるのは、

それは魅力的です。

ろう者には、その方がいいでしょう。

今度のドラマの再放送で、その「日本手話」を見ることができるのかな。

楽しみです。

  

こんな動画を見つけました。

再放送を見る前に、こういう動画を見て、

再放送を見ることを充実させたいです。


YouTube: [ロングver.] ろう者・難聴者が語る!ドラマ【デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士】主演・草彅剛 | 12/16(土)、23(土) 夜 10:00~放送 | NHK

このドラマのオーディションがあって、

ろう者が挑戦していたのですね。

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