「スクリーンが待っている」③ ぞっこんの人にオファーを出した
今日は令和3年5月8日。
前記事に引き続き、
「スクリーンが待っている」(西川美和著/小学館)より
引用します。
ちなみに今日、この本は読破しました。
西川美和さんは映画監督です。
今年、映画「すばらしき世界」が上映スタートしています。
この本は、映画「すばらしき世界」の完成に至るまでの話が
原作との出合い、俳優のこと、制作の仕事のことなど
いろいろ書かれています。
映画ができるまでには、たくさんの人と時間がかかっているのだと
感じました。
いろいろな物語もあるんだなとも思いました。
こんな話を読んだからには、映画をぜひ見たいと思いました。
今回の読書は、映画を見て完結ですね。
映画の主役は役所広司さんです。
役所さんについて書かれたところを引用します。
そんな中、主演の役所さんが、シカゴの映画祭で「ベスト・パフォ
ーマンス賞」なるものを受賞した、というニュースが飛び込んでき
た。
「ベスト・パフォーマンス賞」?何だかけん玉や皿回しでも褒めら
れたかのようなイロモノっぽい名称に聞こえるけれど、つまりそれ
らしく翻訳するならば「最優秀演技賞」なのだそう。映画界でも男
女格差、ジェンダーの壁を取り払おう、というはたらきかけを受け
て、今年から「主演男優賞」と「主演女優賞」という区分をやめて、
全ての演技者の中での最高賞をひとつにまとめたのだと聞いた。
役所さんが・・・?嬉しかったけど、それ自体に驚きはしなかった。
だって役所広司だぜ。桁違いなんだから。「用意、スタート」をか
けたが最後、私はもう脚本に目を戻すことはなかった。目の前で起
きていることの方が答えがあるからだ。役所さんがキャメラの前で
吐く息には、その男の生きた年数分の紆余曲折が詰まって見える。
おかしな顔をして見せるでもない。派手な動きも加えない。脚本か
ら逸れたことは一切しない。全てがあるべきところに収まっている
だけなのに、台詞の中の言葉にはない閉じ込めた感情や、表情には
出さない過去や遺恨の折り重なりが、観ている者にきっちりと伝わ
るのだ。評価されて当然なのだ。
(210~211p)
西川さんは役所広司さんにぞっこんです。
ぞっこんの人にオファーを出して、受けてもらった映画なのです。
楽しい生き方をしている人だなと思います。
映画を見に行きたいけど、近所では上映していないなあ。
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