「宇宙戦争」② 次はラジオ・ドラマを聴くこと
今日は令和3年2月23日。
前記事に引き続き、
「宇宙戦争」(H・G・ウェルズ著/雨沢泰訳/偕成社文庫)より。
火星人が死んでいくシーンです。
引用します。
その要塞のあちこちに、死んだ火星人がいた!何人かは、ひっくり
かえった戦闘マシンのなかに、また動かない作業マシンのなかにも
おり、さらに十以上の数が、こわばり、音もなく、列になって横た
わっていた。抵抗力のない体にとりついた細菌に感染して、死んで
いったのだ。赤草が死にかけている原因も、それだった。
人間のうみだした道具がことごとく失敗したのに、神がかしこくも
地上にあたえた、いちばんささやかなものが彼らを殺したのである。
(中略)
すべてのはじまり以来、細菌は人類の命をたくさんうばってきた。
地上に生命が生まれてから、人間以前のわれわれの先祖の命もたく
さんうばってきた。だが、われわれは自然淘汰のおかげで、抵抗力
を身につけてきた。どんな細菌にたいしても、わたしたちはたたか
わずに負けたりはしない。たとえば、死んだものをくさらせる細菌
などといった、多くの細菌にたいして、わたしたちの生きている体
は、なんの被害もうけなくなっている。
だが火星には細菌がいなかった。そして、侵略者どもが飛んでくる
とすぐ、やつらが飲み食いをはじめるとすぐ、顕微鏡でしかみえな
い同盟軍がやつらをうちたおす作業にとりかかった。わたしがやつ
らのようすをうかがっていたとき、すでに火星人は死ぬ運命にきま
っており、いったりきたりして作業しているあいだにも、死にかけ、
くさりかけていた。それは、さけられない運命だった。
(308~309p)
このラストは、移民によって伝染病が広がってしまうことが、
ベースになっているのでしょうか。
地球侵略軍が、このような死に方をするのは、
忘れられないシーンです。
巻末の「解説」から引用します。
ウェルズがとりあげた「地球外からの侵略」という題材には、大
衆の心をひきつけるものがありました。この作品以降も、現代に
いたるまでたくさんの侵略SFが書かれています。また、「宇宙
戦争」自体も、時代をこえて、新しいかたちでよみがえりつづけ
ます。
まず1938年に、アメリカで「火星人襲来」としてラジオ・ド
ラマ化。このときはドキュメンタリー調の演出をしたため、途中
からきいた人たちが、「実際に火星人が攻めてきた」と思いこん
で大パニックがおこりました。
1953年には、ジョージ・パル監督の映画「宇宙戦争」が制作
されています。SF映画史上に残る名作で、斬新なデザインの空
飛ぶ円盤型の宇宙船が印象的です。
2005年には、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「宇宙
戦争」が完成。6月29日に全世界同時公開されるとのこと。こ
の原稿を書いている段階では未見ですが、ウェルズの原作がどの
ようにアレンジされているか、いまからたのしみです。
(345~346p)
2本の映画は見ました。
興味があるのは、1938年のラジオ・ドラマ化された
「宇宙戦争」です。
「宇宙戦争」のマイブーム。
このラジオ・ドラマを聴いて、コンプリートですね。
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