本「蒼き山嶺」/とにかく足を前に出し続 けていれば、いつか、頂上に辿り着くのだ
今日は令和3年1月26日。
この本を読みました。
「蒼き山嶺」(馳星周著/光文社)
ずっと読み進めてきて、
昨日の心療内科の待合室でほとんど読み、
最後2ページは薬局での待合室で読破した本でした。
面白い本でした。
同じ作者の「比ぶ者なき」より感情移入ができたと思います。
小説中の過酷な雪山行は体験していませんが、
それなりの雪山は体験しているし、
白馬槍温泉とか白馬三山とか現場に行ったことがあるのが、
感情移入できた理由だと思いました。
引用します。
K2はカラコルム山脈にあって標高8611メートル、エベレストに
次ぐ世界第2位の高さを誇る。人里は遠く離れた地に聳(そび)える
ため、その存在が知られるようになったのは19世紀も半ばを過ぎて
からだ。そのため、名前もついていない。K2というのはカラコルム
山脈測量番号2号を意味するに過ぎないのだ。
(10~11p)
これは番組「チコちゃんに叱られる」でも扱われていました。
その映像をまた見たくなりました。
少しペースが速いかと思ったが、池谷は息を荒げながらついてくる。
女性の前でいい格好をしたいという男の本能はいくつになっても変わ
ることがない。
(17p)
女性の前でいい格好をしたい=男の本能
その男の本能は、傍から見ると「滑稽」なんだよな。
でも本能で動いている男は、頑張っちゃう。
大事な行動力だと思う。
山に登り続けていなければ筋肉は衰える。都会でランニングをしたり、
ジムに通ったりしているだけではだめなのだ。登るための筋肉が身に
ついていく。
(47p)
これは今まで感じたことがあります。
登ることで鍛えられる筋肉はあると思います。
「日本人はなんでもすぐに諦める。それが腹立たしいんだ。こんなに
恵まれて、望めばなんでも手に入るのに・・・・」
(81p)
日本人に生まれただけで大当たりだと以前読んだ。
幸運な日本人に生まれた身として、
いつのまにか諦めていることがあるかもと思わせてくれた文章。
山頂に到着すると、池谷は喘ぎながら手袋をはめた両手を擦り合わせ
た。極寒の中にいると、人の体は脳や臓器に血液の循環を集中させる。
生きていくために必要な器官を温めようとするのだ。そのため、体の
末端はなかなか温まらない。冬山登山で登山者が手足の指に凍傷を負
うのはそのせいだ。
(269p)
知識として知っておこう。
でも凍傷をするような場所にはいかないでしょう。
どれほど痛くても、どれほど怠(だる)くても、足を前に出せばいい。
一歩一歩が小さくても、歩みがのろくても、とにかく足を前に出し続
けていれば、いつか、頂上に辿り着くのだ。
(302p)
「怠くても」が読めずに調べました。
登る時がしんどい時には、この気持ちで歩いているなあ。
池谷の目は輝いていた。雷鳥を見ただけで、それまでに蓄積していた
疲労が消し飛んだのだ。
おれにも覚えがある。初めて見た雷鳥、初めて見た雲海、初めて見た
ご来光、始めての山頂、この世のものとは思えないほど鮮やかで怪し
い夕焼け。そうしたものを目にする度に、疲れが霧散する。先へ進も
うとする活力が新たに生まれる。
(329p)
山は疲労が霧散する時があるんです。
そうじゃないと、繰り返し登りません。
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