「生きるぼくら」② 目で深呼吸/生きることをやめない力
今日は令和2年5月25日。
前記事に引き続き
「生きるぼくら」(原田マハ著/徳間書店)より
マーサおばあちゃんが、2人の孫である人生とつぼみに、
稲作について語っているシーンです。
初夏から梅雨にかけては、苗はどんどん分決して、すくすく育っ
ていくの。葉っぱは青々として、丈もぐんと伸びる。七月頃の水田
の風景は美しいわよ。このあたりでも、八ヶ岳の背景に広がる水田
の風景を見れば、目で深呼吸したような気分になるのよ。そうね、
この頃の稲は青年期。青春時代そのままに、生き生きと、エネルギ
ーに満ちて、生きることを謳歌しているみたい。
(192p)
「目で深呼吸したような気分」という表現がお気に入りです。
この小説は、最初は何から始まったのでしょうか。
原田マハさんらしく、東山魁夷の「緑響く」の景色がまずあって、
御射鹿池を舞台に物語を描こうと考えたのでしょうか。
御射鹿池のある茅野市の田園風景がほぼ同時に眼中にあり、
その稲に「生きることをやめない力」(312p)を感じました。
稲の「生きることをやめない力」によって
人が再生される話を生み出したのではないでしょうか。
それが主人公の25歳の引きこもりの麻生人生です。
映像化されたら、美しい映画になるだろうなと思いました。
これで「生きるぼくら」の引用完了。
今日返却して、図書館9冊目の本を借りる予定です。
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