「長期ひきこもりの現場から」⑦ ひきこもりの人を海外旅行に連れ出す理由
今日は令和2年4月13日。
こうやって書き写していることも、
強迫観念のなせる業なのでしょうか。
この本で勉強になった文章は、ブログに書き留めておきたい、
書き留めておかないといけない。
そう思ってうっています。
前記事の続きで、
「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」
(石川清著/洋泉社)より引用します。
1990年代にひきこもっていた当事者の多くは、親になじられ
たり、冷たくされたりした経験をもっている。それは高度経済成長
を経験して自信に満ち溢れた親の世代と、バブル崩壊後の不景気に
よって繊細な時期を経験する子の世代とのギャップのせいかもしれ
ない。一方で最近の長期ひきこもりの場合、親になじられた経験を
もつ人は、いることはいるのだが、それほど多くはない。逆にひき
こもり状態に陥っても、親に優しくされ続け、どちらかというと過
保護・過干渉の呪縛からひきこもり状態に陥っていく人がかなり増
えているようにみえる。
(149p)
いかん!
この次のページをコピーしないで、本を図書館に返してしまいました。
前者はともかく、後者は、子どもの心をもったまま
体は大人になった状態と書いてあったと思います。
う~ん、150pが読みたい。
同じひきこもりでも、時代によって事情が違うのです。
石川さんは、ひきこもりの人を、
なんと海外旅行に連れ出してしまいます。
いきなり!と驚いてしまいますが、ちゃんと理由があるのです。
長いけど、2p分引用します。
海外へのハードルはかなり高いが、いざ行ってしまうと、変な目
で見られるとか、ちゃんとしなければいけないとか、自己紹介をし
なければいけないとか、そういった気遣いや悩みがほとんど消える。
だからかえって気軽に普通の人と普通に触れ合える。
いきなり日本国内をひきこもりの若者と一緒に歩いても、なかな
かうまくいかないし、得るところも少なかったりする。というのも
民宿やゲストハウスに泊まったとき、同宿の旅人との団らんですぐ
に問題が生じるからだ。
まず自己紹介のとき、どう話したらいいのか、どう答えていいの
かわからなくてとまどう。正直に「ひきこもっています」とだけ答
えるの苦痛だ。なぜなら、プライドが許さないからだ。軽蔑された
り、バカにされているような”冷たい目線”を向けられると、辛くて
どうしようもない欝々した気分になってしまう。
かといって、嘘をついて「運送業やっています」とか「フリータ
ーやっています」と答えて、深く突っ込まれた質問をされたら、と
んだ墓穴を掘ってしまう。同宿の旅人のなかにたまたま運送業経験
者がいることもあるのだ。
では、愛想笑いを浮かべて、自己紹介では自分の名前だけ言って
黙っているのがいいのだろうか。しかし、そうすると話の輪に入っ
ていけず、孤立しやすい。自己紹介は、自分をアピールする絶好の
機会であり、仲間をつくる最大のチャンスでもある。自分に関する
”いい情報や面白い情報”を披露して、ちょっと自慢したいものであ
る。
(158~159p)
ひと休み。ふーー。
だから、日本国内で普通に対話できるようになるためにも、その
前にある程度の社会性やコミュニケーション力、それにほかの人に
自慢したり、興味をもたれるような体験を2つ、3つくらいはもっ
ていたい。
そのためには、思い切って海外に出かけたほうがよかったりする。
海外にはもともといろいろな人がいるうえに、こっちは外国人なの
だから、多少不自然な振る舞いをしても許される。変な目で見られ
ることはまずない。言葉が通じないので、無理にこちらから話しか
けなくてもいい。相手のほうから、親切に声をかけてくれることが
多いので、受け身でもかまわない。自己紹介では、名前と出身国く
らいで十分だ。仕事と出身国くらいで十分だ。仕事と略歴まで話す
必要はない。
慣れてしまえばストレスはかなり減る。
そのうえで、普通の海外旅行者も経験しないようなエピソードを
2つ、3つ体験できるといい。日本に戻って、何かの拍子に自己紹
介をする羽目に陥ったとき、その海外での面白いエピソード話を披
露すればいい。面白ければ、周りの人たちは感心して耳を傾けてく
れる。なかには「すごいね」と言って評価してくれる人も出るだろ
う。
そうすれば自分の自信やプライドは守れるし、仲間や友達もでき
やすい。嘘をつく必要もない。万事OKだ。
(159p)
説得力があります。
ひきこもりの人と海外旅行・・・この発想は、
石川さんの生い立ちに関係します。
ここには詳細を書きませんが、この本では書いています。
やっぱり「プロフェッショナル 仕事の流儀」以上の内容でした。
つづく
追記:間が開いて、5月3日の続きをうちました。
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