「立川談志を聴け」③ 「立て板に水どころじゃない」語り
今日は令和2年2月5日。
昨日の立春の日の記事。
「立川談志を聴け」について書き、「立春」「立川」で
ともに「立」の字。何か縁起がいいように思えました。
今回も昨日に聞き続き、
「立川談志を聴け」(山本益博著/小学館文庫プレジデントセレクト)
より引用します。
山本益博さんと元木昌彦さんの対談シーン。
元木:私が早稲田に入学したあとで(談志)師匠のひとり会を
紀伊國屋で聴いていますが、「三方ヶ原軍記」を聴いてび
っくりした。あの滑舌の良さはすごいと。
山本:三十代、四十代の、ああいう立て板に水どころじゃない
くらいに流れるような、聴いていてこんなに気持ちがいい
のかというほどでした。
(139p)
「立て板に水どころじゃない」語りは、前記事に載せた
動画後半の合戦シーンで味わうことができます。
「矢がカーン(やかん)」が出るまでまくしたてています。
山本:やはり落語というのは、他の芸能でもそうなんだけど、
ファンになるとか贔屓(ひいき)をもたないと面白くない
んです。落語を聴くのにただ落語だけを聴いてちゃダメな
んですよ。小三治が好きだ、小朝が好きだというふに、だ
れかを贔屓にしてそこから入っていくから、本当の世界が
見えてくるんじゃないですか。それなのに全部均一に見て
たら、残念ながら落語の本当の面白いところがわからない。
(147~148p)
私は落語が好きですが、趣味かというとそこまでは
至ってはいません。ここにあるように贔屓がありません。
落語のお話の楽しさに目が向いています。
談志師匠の高座での口癖は「新聞で信用できるのは、日付ぐれ
えだ」で、人間が書くのだから、いつも真実が記されていると
思ってはいけない。右からも左からもさらに斜めや裏からも事
実をよく見つめなくてはいけないと言っていた。
(209p)
「新聞で信用できるのは、日付ぐれえだ」は楽しい。
うまいねえ。
落語は「噺」とか「咄」とも呼ばれてきたが、談志師匠の高座
はまさしく「いま、はじめて思いついたようにしゃべる」「口
から出まかせ」に見せる至芸だったとも言えようか。
(210p)
昨日、「やかん」を聴いてみて、確かにそうだなあと思いました。
以上で「立川談志を聴け」からの引用は終了です。
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