「石炭火力発電Q&A」① 日本の石炭火力の輸出は途上国に役立っているの?
今日は令和2年1月15日。
この本を読みました。
『石炭火力発電Q&A「脱石炭」は世界の流れ』 発売のお知らせ
「石炭火力発電Q&A『脱石炭』は世界の流れ」
(気候ネットワーク編/かもがわ出版) です。
※ここでも道草 石炭火力を考える/石炭火力の勉強を始める(2019年12月28日投稿)
☝ この記事で引用した「日本は石炭火力で多くの
人々の命を救える」というレポートと
比較して読むといいかなと思いました。
今回の本は「脱炭素」を進めるべきだという態度です。
特に関係するところを引用します。
Q9:日本の石炭火力の輸出は途上国に役立っているの?
A:地球温暖化を加速するだけでなく、環境破壊や人権侵害を
引き起こし、問題だらけです。
日本は、国内だけでなく、途上国における石炭火力発電所新
設計画にも関わっています。政府は、高効率の石炭火力発電
の輸出を日本経済の成長戦略のひとつに位置づけています。
そして、「途上国の経済開発を支援しながら地球温暖化対策
に貢献できる」と説明しています。
(中略)
日本が途上国への石炭火力発電の支援を続けていることに対
しては、かねてより厳しい批判が繰り返されてきました。気
候変動枠組条約締結国会議(COP)では、途上国向け石炭
事業支援を理由に、繰り返し『本日の化石賞』を贈られてき
ました。
(中略)
日本政府や電力会社は、「日本の石炭火力発電技術はクリー
ンだから、他の国より日本が輸出した方が地球環境に良い」
と説明しています。しかし、この説明は言い訳にすぎません。
まず、たとえ最新型でも石炭火力発電所のCO2排出量は膨
大です。また、日本が支援してきた石炭火力発電所には、実
際には最新型ですらないものが多いのです。例えば、JBI
C(日本の国際協力銀行)の支援で2010年以降に計画・
建設された石炭火力発電所のうち、高効率とされる超々臨界
圧(USC)を採用したのはわずか7%、一世代前の超臨界
圧(SC)が62%、二世代前の亜臨界圧(Sub-C)が
42%でした。
(中略)
さらに、JBICが2003~2015年に支援した途上国
の石炭火力発電所の約半数で、汚染物質を減らすための装置
が設置されていないことも明らかになっています。また、粒
子状物資の除去も5分の4の発電所で性能が不十分でした。
石炭火力発電所は、仮に最新の対策を用いても汚染物質をゼ
ロにすることはできませんが、汚染除去技術を持ちながら、
それを採用せずに「クリーンだ!」と宣伝するとは、さすが
にひどい話です。
(55~57p)
この話が本当なら、途上国のことを軽く見た行いと
考えられます。
日本ではできないけど、途上国なら造ることができると
考えているなら、残念なことです。
さらにこんなことが書いてありました。
日本の官民が支援している途上国への石炭火力発電事業は、
現地住民の生計手段の喪失や周辺環境の破壊、健康被害、人
権侵害などのさまざまな深刻な環境社会問題も引き起こして
います。
途上国では、石炭火力発電所の建設予定地の土地を確保する
ため、住民が強制的に立ち退きを迫られたり、建設に反対す
る住民が警察や軍に抑圧されたり、長期間にわたって不当に
勾留されたりする例もあります。例えば、日本が支援するイ
ンドネシアのバタン石炭火力発電所の計画をめぐっては、イ
ンドネシア国家人権委員会も地元住民に対する人権侵害を問
題視し、2013年に「売却教養につながる警官、国軍兵士
の交渉からの撤退」を勧告しました。地元住民が来日して直
接の訴えも行いましたが、JBICや事業者の伊藤忠商事と
電源会社からは適切な対応が結局取られませんでした。また、
建設後に農業や漁業を営む住民の生計手段が失われたり、石
炭火力発電所からの汚染排出で周辺環境が破壊され、十分な
補償が行われていない場合もあります。
このような人権侵害や環境破壊の問題は日本の国会でもたび
たび問題にされていますが、方針を改める様子がないのは、
とても悲しいことです。
(57~58p)
本当なら悲しいことです。日本側にも、
受け入れるインドネシア側にも問題があるようです。
実際にバタン石炭火力発電所の名前が出てきたので
調べてみます。
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