「ヘウレーカ!僕はどこから」その4/DNAからイタリア人だとわかる
今日は令和元年7月3日。
7月1日の記事に引き続き、昨年の10月31日放映の
「又吉直樹のヘウレーカ! 僕はどこから来たのですか?」より。
又吉直樹さんと篠田謙一先生は、
国立科学博物館の自然史標本棟に行きます。
全国各地で見つかった人骨が保管されている場所です。
そこでもう1人、先生が加わりました。
坂上(さかうえ)和弘先生です。
坂上先生と篠田先生は一緒に人骨の研究をしていて、
ここ数年で、2人の先生が最も印象深かったという
骨を見せてくれました。
☝ 切支丹屋敷跡から発見された骨。全身の骨が発見され、
その頭蓋骨の骨を修復したもの。
保存状態が悪かったので、やっとここまで修復したそうです。
切支丹屋敷とは?下の図を参考にしてください。
「禁教令下の江戸時代に宣教師を収容した施設」
禁教であるにもかかわらず日本に入ってきた宣教師を
幽閉する場所だったのです。
今回発見された人骨は、ある有名な宣教師ではと予想されました。
ジョパンニ・バッティスタ・シドッチです。
シドッチは、切支丹屋敷に幽閉されていたことは
記録に残っているのですが、亡くなった後どうなったかが、
謎だったそうです。
いきさつを聞き書きします。
ナレーター:ジョパンニ・バッティスタ・シドッチは、
イタリア生まれのカトリック宣教師だった。
1708年、40歳の時、布教のため海を渡って
屋久島に上陸。しかし、すぐにとらえられ、
江戸の切支丹屋敷に収容されてしまう。
シドッチは、詮議をした幕府高官、新井白石に、
人格、学識を認められ、辛くも処刑をのがれる。
しかし、屋敷の下働きの夫婦を洗礼したことが
発覚し、地下牢に幽閉され、46歳で衰弱死。
その後、遺体がどのように扱われたのか、
正確な記録は残っていない。
頭蓋骨のの形状から、日本人ではないと予想はできるそうです。
身長も、当時の日本人には珍しい高身長で、170cm以上でした。
だからシドッチの骨の可能性はあるわけですが、
2人の先生は、人骨からDNAを取り出して
より正確に調べることに挑戦しました。
DNAを取り出したのは歯でした。
ミトコンドリアDNAとY染色体DNAだけでなく、
すべてのDNAを調べる最新の方法で解析を行いました。
これを「ゲノム解析」と言うそうです。
「NHKスペシャル 人類誕生」でも時々出てきていた言葉です。
人間の遺伝子の99.9%は同じだそうで、
残りの0.1%の違いで、人間は違ってくるそうです。
その違いに注目することで、
分布図ができ、発見された人骨がヨーロッパ人であることが
わかったそうです。☟
さらに、ヨーロッパ付近をアップにした分布図が
これです。☟
DNAを解析した結果、イタリア人であることが
わかったのです。すごいです。
シドッチについては、太宰治も書いているそうです。
「地球図」という短編小説です。
もちろん、太宰治大好きの又吉さんは読んでいて、
シドッチが、イタリアで本で勉強した日本語が
正確ではなかったこととか、
日本人はみんな、ちょんまげを結って刀をさしていると思って
その格好で上陸したら、そうじゃなかったといった
逸話が紹介されました。
短編なら、読んでみようかなと思いました。
2人の先生は、頭蓋骨をもとに、
シドッチの復顔像を作りました。
その写真です。
やさしく説いて聞かせた宣教師だったんだろうなあと
思います。
ここに書いたことは、この本に詳しそう。
「江戸の骨は語る 甦った宣教師シドッチのDNA」
(篠田謙一著/岩波書店)
つづく
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